こんにちは。

一恵@リアルタイムです。

 

 男子高校生が信頼していた女教師に思い切ってカムアウトするところから物語は始まります。自分の心は女だということ、父親は昔かたぎの堅物で、母親は父親に従うだけで理解されっこないということ。大学生の男性とつきあっていること。

 

 ところが、予想に反して先生は彼をホモ扱い、変態扱い、狂ってるとまで言われる。この辺、読んでいても辛い。

 

 やがて、この高校生は性転換手術も受け、絶世の美女に生まれ変わるが、雪の城崎温泉で恋人の男と共に血だらけで倒れているところを発見される。男は死んでおり、彼女はなんとか命を取り留めるが、襲われたときの記憶がないと言う。

 

 捜査の結果で身元が判明し、その両親に警察から電話がかかる。行方不明だった息子が見つかった、その息子が瀕死の重傷を負っている、その息子が女になっていたという知らせに、父親はパニックに陥ってしまう。

 

 恋人と思われた死んだ男には結婚式を間近に控えた婚約者がいた。

 

 一方、女になった息子を激しく拒否した父親は、教師時代の教え子の警視庁の警部に連絡を取り、城崎温泉まで一緒に行ってくれと頼む。

 

 段々と真実が明らかになり、思いがけない犯人、犯人が犯行に至る経緯はショッキング。少しずつ少しずつネタばれしていくんですが、最後に一気にそれがつながるところがすごいです。

 

 よくこんなストーリーを考え付くと感心してしまいます。

さすが、推理小説家(吉村達也)は一味違います。

 

 性同一性障害の主人公が最初から最後まで登場し、その気持ちや葛藤も描いているので、嬉しいような辛いような。一気に読み切ってしまいました。

 

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