808.5　セラフィムの夜

こんにちは。

一恵＠リアルタイムです。

　天使のような容貌と肉体を持つ人妻、涼子の人生が変わったキッカケは、剣道の稽古だった。後輩の大島につきまとわれ、陵辱を受けてしまう。

　生まれつき生理のない涼子は自分の身体の秘密を知り、心が大きく揺れる。睾丸性女性化症候群。顔も身体も完璧な女性だが、身体の奥には睾丸が隠れている。性染色体もXYつまり男性だということ。

　自分でも月経のない女だという自覚しかなかったが、下腹部を圧迫された時の鈍い痛さがそれを思い起こさせる。

　そんな涼子に異常なまでにつきまとう大島。ついに涼子は自分を守るために大島を殺めてしまう。涼子が助けを求めたのは、大島の腹違いの兄でヤクザ者の山本だった。

　山本は涼子のためにすべてを捨てて逃げることにし、自分の母親の国である韓国に向かうが、フェリーの中で組に雇われた殺し屋が襲い掛かってくる。大きなダメージを受けながらも殺し屋を倒し、やっとのことで釜山の海に投げ込む。

　ホテルの地下に迷い込んだ涼子に声をかけてきたのは、倒したはずの殺し屋の男。涼子はそれが山本と戦った男とは全然気付かなかった。

　レイプのシーンや、暴力、殺人のシーンの描写が凄くて、まるで自分が襲われているような気がして、痛くなってきそう。

　性の境目で揺れる涼子と、国籍で揺れる山本。

息をもつかせぬ格闘の数々。読んでて疲れてしまうほどです。

　ＩＳが主人公ではありますが、よく考えたらこれは別に女装じゃないですね。少なくとも見た目の身体も本人のメンタルも女性そのものですから。