こんにちは。

一恵@リアルタイムです。

 

 マドンナの深き淵と読みます。

署内で上司と不倫の末、一児の母であり、未婚の母である女刑事、村上緑子(りこ)が主人公。

 

 著者は柴田よしきさんという女流作家。結構ハードなセックスシーンとかもあります。最初はよしきという名前だったので、著者は男性かと思っていましたが、やはり登場人物、特に女性の気持ちの描写なんかで、女性だなと思いつつ、最後の解説でやっぱりぃ~となりました。

 

 さて、署内の会議室で女性の悲鳴と刑事の怒鳴り声がするので、緑子が行ってみると華奢なきれいな女性が泣きながら緑子に抱きついてきた。乱暴で問題のある刑事が身体検査をするというのを、必死に逃げ回っている。

 

 身体検査そのものを拒否しているのではなく、立会いを婦人警官にしてくれと頼んでいるのに、強行しようとする刑事。だって、そいつは男なんだぜという。

 

 しかし、どう見たって女にしか見えないし、声だって完全に女で、本人も女だって主張する。緑子が身体検査することになり、疑いも晴れた彼女から、相談されたのは、保母だった親友の失踪。

 

 そんな幕開きから、四年前に起きた乳児誘拐事件と所轄の廃工場から発見された主婦の惨殺死体。一見バラバラの事件が実はひとつにつながって行く。

 

 ヤクザとの息詰まるやりとりや、元刑事の私立探偵など、複雑な人間関係の中、緑子にも危機が迫るってな感じで、結構ハラハラドキドキ。映画化して欲しいわ。

 

 最初に出てきた、気になるTGの彼女も、悲しみを乗り越えて、新しい生き方を見つけることになります。

 

 主人公緑子を通して、ジェンダーと母性に切り込んだ警察小説で、このシリーズ、気になります。

 

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