こんにちは。

一恵@リアルタイムです

 

 この本、随分前に読んだんですが、忘れてしまっていて、最近読み返しました。グイン・サーガの著者、栗本薫さんの作品です。

 

 切ない。リリーが可愛くてかわいそうで。

 

 多重人格というより、この場合はハッキリした二重人格ですが、程度の差こそあれ、自分自身が重なってしまいます。

 

 幼い頃のあまりに悲しい体験からジョーの中に生まれたピュアでか弱いリリー。リリーは自分の身体が病気で普通の女の子とは違うことを引け目に思っている。

 

 そのリリーがジョーの中に生まれたときからずっとそばにいて優しくリリーを見守っている正義の味方のケン。ケンはジョーの幼馴染だけど、女の子よりも女らしいリリーを愛してしまう。

 

 昼は医師として働くジョー。リリーはクラブでピアノを弾くケンと一緒に暮らし始め、やがて歌手として一緒にクラブで働くことになります。つまり、昼はジョー、夜はリリーということ。

 

 ひとりの人間がふたり分の生活をしているんだけれども、表に出るのはどちらかなので、混ざってしまうこともないし、お互いの存在すらも知らない。

 

 多重人格には複数の人格がお互いに混ざったり話し合ったり影響を与えたりするケースもあるようですが、ジョーとリリーは完全に別人。

 

 リリーは、病気の自分とケンとの幸せな生活がいつか壊れてしまうのでないかといつも怯えている。

 

 この不思議な二重生活が十何年も続くが、ジョーの婚約者の女子高生のぞみの出現でその生活は乱され始める。

 

 ケンとの初めての旅行にはしゃぐリリー。リリーには生まれてから初めての旅行だったから。その楽しさと、あまりに楽しいゆえの不安。

 

 そして、ついに悲しい別れが・・・・・・

 

 登場人物の心理を深く深く描いて、わたしもいろいろ考えさせられました。

 

 実体としては存在していないリリー。でも、ふたりにとっては確かに存在している。一恵も本当は存在していない。でも、このブログは一恵が存在している証でもあります。

 

 わたしの場合は、一恵というキャラクターを作って、意識的に成り切ってるわけですが、成り切っているとは言っても、本来の自分を完全に忘れてしまっているわけではありません。
 

 ただ、一恵という存在があるから、普段の自分がバランスをとって生きていられるのかもしれない。一恵のいないわたしというのは、今は考えられない。

 

 かなりの長編ですが、夢中で読んでしまいました。

 

いとしのリリー (角川文庫)/栗本 薫

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 びっくりしたのが、この話が元々舞台のための脚本だったということ。だって、一日のうちに男と女を行ったり来たりしている人の話ですよ。どうやって演じてたんだろう。


女装しちゃった-リリー
 

 後藤宏行という男優さんが演じていたようです。

すごくきれい。この写真、ホントにこの人?見たかったなあ。