いよいよロング・クロスカントリーです。今までと違うのは、距離が長いことと、初めての飛行場への着陸の回数が多いこと。結構時間もかかるはずです。

 

 初めての飛行場に飛ぶとき、目印に向かって飛んでいるときはリラックスできますが、そろそろ飛行場が見えるはずというあたりで見つからないと不安になってきます。でも焦りは禁物。

 

 冷静に方角と周りの景色を地図と見比べて捜せば、必ず見つかります。幸い、ひとつ目の飛行場は簡単に見つかりました。ここではタッチアンドゴウをして、方角を変えてふたつ目の飛行場に向かいます。

 

 クロスカントリーのときは、いつも使っている飛び慣れた機体とは別の機体を使いました。VORという、いつもの機体には付いていない航法用の計器が付いているためで、その分機体重量が重くなっています。それが微妙に着陸の感覚に影響します。

 

 ふたつ目の飛行場は大きな街を飛び越えたところにある小さな飛行場で、すぐには見つからなくて、ありそうなところを旋回していたら、飛んできた方向にありました。知らない間に上を通り過ぎていたようです。

 

 無線で呼びかけますが返事もなし。風向きを確認して滑走路に入る方向を決めて、一度飛行場の上空を通り越して、高度を落としながらUターンして滑走路に入って行きます。

 

 なんと、この飛行場、タクシーウェイがありません。滑走路一本だけ。滑走路の真ん中に出口があるので、着陸したあと滑走路の上でUターンして出口まで滑走路上を戻ってきます。

 

 すると、ハンガーから人が出てきました。この飛行場、この人ひとりしかいないようです。なんと事務所の屋根に拡声器が付いていて、飛行場のどこにいても航空無線が聞こえるようになっていました。

 

 わたしの下手くそな無線が拡声器で流れていたとは恥ずかしい限りです。燃料満タンを頼むと、おもむろに脇にあるガソリンスタンドのポンプのところに飛行機を押して行きました。

 

 わたしのホームの飛行場では、飛行機のところにトラックが走ってきて燃料を入れていたので、全然気が付きませんでした。

 

 出発のときは自分で押して向きを変えて、滑走路の端までタクシングして180度向きを変えて離陸です。エンジン音で自分では聞こえないんですが、自分の無線の声が拡声器で流れていると思うと照れくさかったです。

 

 最後の飛行場は、少し大きな飛行場でしたが、自分でも納得の出来ない着陸をしてしまいました。一度大きくバウンドしてしまったんです。ゴウ・アラウンドすべきだったなと反省しながら事務所のラウンジに入ると、コーヒーを飲みながら談笑していたおじさんから「ロング・クロスカントリーか?」と聞かれてしまいました。

 

 しっかりと下手くそな着陸を見られてしまったようです。ひどい着陸を見られて恥ずかしいわと言うと、ちょっと入ってくる高度が高かったねと優しく慰めてくれました。

 

 気象情報を確認して、あとは帰るだけなので気が楽です。飛び立ってから4時間半後に帰ってきたホームの飛行場では慣れていることもあって今日一番の着陸ができました。