坂口安吾の短編に「桜の森の満開の下」という作品があります。

 主人公は山賊で、自分の欲を満たすためには人殺しでもなんでもやる。実際、手に入れた美しい女の欲を満たすために、殺人を重ねる。

 そんな男が、満開の桜の下になにか怖ろしいものを感じて、頭がおかしくなりそうで、満開の桜の下に落ち着いていることができない。

 特に夜に咲き誇る桜に怪しいものをわたしも感じます。

 そんな怪しいまでの美しさと豊かさをもつ桜を見たいと思ったら、ここしかありません。染井吉野の発祥の地、染井霊園の桜。

 満開のときは枝もたわわに、密度の濃い花を咲かせます。
まして、夜は夜でお墓だから怖いし、きっと栄養が行き届いてるんだろうなあと想像したりで、ぞくぞくします。


女装しちゃった-100410009

 今年は満開のときを逃してしまって、この写真は昨日。もちろん昼間。まるで雪が積もっているような、散った桜の花びらの絨毯。

 きっと来年は、夜の怪しい桜の写真を撮りますね。
桜以外の何かが写るかもしれないけど。