終わらせます③ 設立メンバー | 山本義幸 シルバーアクセ デザイナーブログ

山本義幸 シルバーアクセ デザイナーブログ

シルバーアクセサリーのデザイナー&クリエーターとして自らの製作や想いを語ります。F.A.Lなどのブランドアクセサリーからアーティストコラボのアイテムやグッズ、アート作品としてのオブジェなど、製作活動についてのあれこれをお伝えします。


 

本日の第3回目はVenom Glow設立メンバーなお話。

 

 

会社のコンセプトを作るきっかけになったギャラリーベノムグロウがなくなるということは

 

自分の中ではチームVenom Glowでしてきたコンセプトのひとつの終わりみたいなこと。

 

設立メンバーで作ったことのコンセプトが立ち行かなくなるのなら、


ちゃんと終わらせなきゃいけないってことだとも思います。

 

 

シルバーアクセなんて独りで作り続けていても


喜んでもらえる作品や良い作品さえ作っていれば必ずブランドになっていくことだし


独りでもできることなんです。

 



できるだけ多くの人に応えようと思わなければ


自分を見失うことも少ないし


少なくともブランドの世界観やオーダーの納品期日だとか


いろんなことの約束は守りやすい状態ではあるとおもいます。

 



 

例えば席数が5席しかないこだわり抜いたラーメン屋さんみたいに。

 

そのラーメンが評価されて


たとえ大行列ができて食べられない人がでてきたとしても

 

またお願いしますとお断りをして

 

毎日を数十人のお客さんを相手に、自分の働ける年月をずっとこだわりのラーメンを作り続けながら毎日を繰り返していくような。

 

そこまでのラーメンを作れるだけの努力や


それを長く続けていくだけの忍耐力があれば


それは誰にでもできることではないわけだし


お客さんもとても嬉しい。




僕はこんなことができる人をすごく尊敬したいし


素敵な人だと思います。

 




でも、残念ながら若い頃の自分はこれとは違う進み方をしてしまったんだと。

 

若い頃は地味なことはダサいことだなんておもっちゃってたりして

 

田舎でくすぶってるのはいやだ。


広い世界で活躍したいんだ!

 

世界は自分で変えられる!


みたない無謀なことになっちゃう。


 


お恥ずかしながらそう思っちゃったんだなと。

 


それで僕がするそんな話に


仲間も集まってしまったがゆえに進んでいってしまうみたいなことだったのかもしれません。

 

 

 

13年前くらいの当時の荒れた自分たちのことを知ってくれているお客さんなら、あるていど懐かしいなぁ〜って思ってもらえるかもですが

 

どこか大人の社会からドロップアウしようとした若者が、また大人の社会に闘いを挑んでいくような

 

そんな設立メンバーとの思い出話しです。

 

 

 

 

2008年当時のVenom Glow初期の設立メンバーは

 

F.A.Lを作っている自分と、まだMad Graffitiがはじまる前に工場長をしてくれていた(ユウ)※後のMad Graffitiのデザイナー。

 

ディーラーショップの営業などをしてくれていた松田(のりちゃん)とギャラリーベノムグロウの立ち上げから店長をしてくれていた坂本(セースケ)の4人でのスタートでした。


 

当時はオレ金髪リーゼント、のりちゃん赤髪モヒカン、ユウは腰まである黒髪ロン毛、セースケは前髪切られるのを嫌がるやつなのにtattoo野郎。

 


みたいな組み合わせ。

 


ロックしてるバンドマンみたいに自由に生きたかったし、当時はそんな見た目でも笑ってやり過ごしてくれていた販売店さんたちの理解もありました。


平成に生き残った昭和感!


みたいな


まだどこか世間とズレていることがカッコいいみたいな時代だったのかもしれません。


 

どこか遊び半分で。


それでも仕事に対しては真面目に取り組んでいて


とくに

 

のりちゃんとセースケが販売を頑張ってくれたからこそのギャラリーベノムグロウだったし

 

憂がF.A.Lの量産を担ってくれながら


並行して後に生まれるMad Graffitiを作ることに情熱を燃やしたことで作れられてきたVenom Glowだったように思います。

 


全国の色んな店でツアーイベントをして

それこそ売れないバンドマンが全国をどさまわりするような楽しい思い出もたくさんありますが

 

ただ自分たちだけが楽しいだけで終わることも死ぬほどいやだったので


子供なりのプロ意識もありながら

遊びも仕事もストイックに取り組んでいたと思います。

 

とにかく当時は勢いにまかせて走っていただけ。

 

仕事って意味ではむちゃくちゃなやり方をしていただけに

 

のりちゃんもセースケもユウも、さぞや地獄のような日々だったことでしょう。

 

 

当時の工房は20畳くらいのプレハブ小屋。

 

寝る時間も削って仕事するなんて当たり前。

 

ありがたいことにまだ日本全国に力をもってるアクセのショップもたくさんあってそれなりにたくさんオーダーももらえた良い時代でした。

 

専門誌とかもたくさんあって、まだまだシルバーアクセも盛り上がっていた時代でしたしね。

 

一発当ててやった!!みたいな実感まではありませんでしたが


それなりに手応えがあった売れ方をしていたので毎日大忙しでした。



 


ギャラリーベノムグロウを出店した2008年から

 

その翌年の2009年に愛知県岡崎市にSTUDIO Venom Glowを出店して法人化したような流れだったのですが


プレハブ小屋からSTUDIO Venom Glowに工房も移し


新しい環境でそれぞれがこれから先のことに胸を躍らせた時代。


工房も1人に1つの作業ブースを作ったり


お店が休みの日にはみんなで集まって大型のテレビで映画をみながら飲み会をしたり

 

自分たちが遊びの延長な自由も感じながらも


子供たちだけで集まって遊ぶ秘密基地のような場所を手に入れたような感覚だったのかな。


ただ、

 

本当に子供たちだけの集まり。


会社という意味では誰もまともに会社としての在り方や作り方を考えていないような状況。


30歳手前の若者だけの集まりがやることなんて


出勤のシフトもあるようでないような


労働時間だって決まっているようで誰も守らない。


仕事にあわせて残業や徹夜するのなんて当たり前。


製作の仕事も生産性なんてまったく考えられていないもんだから


急にでっかい仕事が入ってきたら


スペシャルブラックな労働状況になる。




はじめは気の合う友達同士が集まって


自由な仕事の仕方をしていたような感覚が、


しだいに


納期が間に合わないのは何が悪い?


仕事が遅いのは気合いが足りない!!


みたいな


何が悪いのかわからないし


何をどうすればうまくいくのか誰もわからいような状態。


気がつけば


仕事だけはどんどん増やしていき

 

毎日全員がギリギリの中で働いているような状況になっていく。

 

きっと、それを無理やり突き動かしていたのがF.A.Lをなんとか押し上げていきたい僕が


Venom Glowとしてのチームワークを作り出さなきゃいけない状況にも気付けず


目の前の問題を解決するためだけに


周りを強引に巻き込みながら突っ走っていったってことが当時の大きな過ちだったんだと思います。


そのときの僕は会社に勤めた経験もありません。


会社が何かも知らないのに


会社を作れば会社ができると軽く考えていたのが間違え


会社という入れ物があり、自分はF.A.Lを全力で作っていれば、会社は仲間の誰かが作ってくれる。


中身は自然にできあがっていくものだと勘違いしていたんだと思う。


 


それでも負けん気だけは強かったので


それなりに仕事は増えて、名古屋や岡崎市のお店にスタッフも増えたりと、外側から見てくれていた人たちには勢いあるよな〜なんて言ってもらえてたんでしょうが

 

仕事は増えていくのに会社としての組織はできていない。


仕事の分担や役割、解決法が誰もわからない


目隠し状態でも進むしかないような状況になっていく。

 

それでも止まることはできずに


しだいに何がやりたいのかわからなくなっていく。

 

それぞれが個人としてやりたいことと、仕事としてやらなきゃいけないことへの気持ちがどんどんズレていくような感覚。

 

誰も解決できずにこんな状態が数年続けば


友達感覚も消え、仲間割れになっていきながら


荒れた時代に突入するって


流れだったように感じます。

 



法人化して1年目から大きなクラッシュに見舞われ


それが荒れまくっていく時代のはじまりになるなんて


その当時は自分もまったく想像していませんでした。

 


 

→「終わらせます④」に続く

 

 

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F.A.Lデザイナー 山本義幸

 

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