プリンス、さようなら。 | イージー・ゴーイング 山川健一

プリンス、さようなら。

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プリンスが逝ってしまった。来日した時、打ち上げのパーティが新宿であり、こみあった会場で席が空いていたので座ったらワーナーの人が飛んで来て、「そこはプリンスの席だから詰めてくれ」と言われた。しばしたらプリンスがやって来て本当に僕の隣りに座り、挨拶ぐらいはしたのだが非常に緊張したのをよく覚えている。その後、横浜のクラブで小さなギグがあった。

プリンスは音楽と生命と性のエネルギーの塊のような人だと思っていたので、その死が信じられない。まだ57歳なのだ。残念でならない。エレベーターの中で倒れていたのだそうだ。山形の宿舎で、ずっとiPhoneでプリンスを聴いている。今日は早朝から学生と研修旅行なのだが眠れない。

ミック・ジャガーはプリンスの死について「本当に悲しい。プリンスは革新的なアーティストで、素晴らしいミュージシャンであり作曲家だった。独創的な作詞家で、類まれなギタリストだった。彼の才能は無限だった。この30年で最もユニークで刺激的なアーティストの1人だった」と言っている。

「彼は多くの音楽の様式をぶち壊し、数多くのスタイルを発明した。彼自身もついていけなかった。きわめて多作だったね。これはめずらしいんだ。たいていは3曲書いたら後はその繰り返しだ。プリンスは作曲家としても豊かな才能を持っていたし、プリンスの凄いパフォーマンスも見てきた。他の誰にも真似のできない演奏だった。僕は、彼は最高だと評価している。彼と肩を並べるような新しいアーティストは見当たらないと思うね」(ミック)

プリンスがサンフランシスコの公園で、女物の下着を身に着けて歌っているのを見て、ミックは彼をストーンズの前座に起用した。「プリンスは今に凄くなる。今その良さが分かっているのは俺だけだけどな」と言った。

だがそのフロントアクトはさんざんで、キャベツが投げつけられたりした。そのコンサートを、僕の友人が観ている。ストーズの楽屋を訪れたデビッド・ボウイが、トイレで泣いているプリンスを見かけたのだそうだ。そのボウイも、もういない。

淋しく、悲しく、ヤケクソの気分である。僕らはプリンスもボウイもいない世界でこらからも生きていかなければならないのだ…。ああ、もう夜が明ける。