ロッド・スチュワートに学ぶ愛の言葉/ I Dont Want To Talk About It | イージー・ゴーイング 山川健一

ロッド・スチュワートに学ぶ愛の言葉/ I Dont Want To Talk About It

 ずっと谷崎潤一郎のことを書いていたら、たまにはロックのことを書いてくれというメールを頂くようになった。あと、多いのは、男の恋愛相談ね。どいうわけか、女の人からそういうメールが届くことはあまりないんだが。

 というわけで、「ロッド・スチュワートに学ぶ愛の言葉」というのを何回かに分けて書こうと思う。これだとロックにも恋愛相談にも対応できるからさ。

 いわゆる良心的なロックファンには馬鹿にされることの多いロッドだが、いやいや、素晴らしいロッカーだ。そのロッドはとにかく「愛の歌」しか歌ってこなかった。それでここまで来たわけで、たいしたものである。

 最初に取り上げるのは" I Dont Want To Talk About It"だ。

 I can tell by your eyes that you've prob'bly
 been cryin' forever,
 and the stars in the sky don't mean nothin' to you,
 they're a mirror.
 I don't wanna talk about it, how you broke my heart.
 but if I stay here just a little bit longer,
 If I stay here, won't you listen to my heart, whoa, my heart?

 ずっと泣いてたんだよね。目を見ればわかるよ。
 空の星なんて君には意味がない。ただの鏡みたいなもんなのさ。
 君がどれだけぼくを傷つけたかってことは、
 もう話したくないんだ。

 ただぼくがもう少しここにいられればなァ。
 そして君がぼくの心に耳を澄ませてくれるなら。(私訳)

 この主人公が「君がどれだけぼくを傷つけたかってことは、もう話したくないんだ」と言ってるぐらいだから、この女性は彼にかなりひどいことをし たんだろう。もしくは、今もしているんだろう。ここで「おまえなんか知らないよ。昨日の新聞と同じだぜ」と言ってしまうのがミック・ジャガーなんだが、 ロッドはちがう。

 2番の歌詞はこうだ。

 If I stand all alone,
 will the shadow hide the colors of my heart;
 blue for the tears, black for the night's fears.
 The star in the sky don't mean nothin' to you,
 they're a mirror.
 I don't wanna talk about it, how you broke my heart.
 but if I stay here just a little bit longer,
 if I stay here, won't you listen to my heart, whoa, my heart?
 my heart, whoa my heart, this ol' heart.


 もしもぼくが1人になれたら、
 影がぼくの心の色を隠してくれるだろう。

 ブルーが涙を、ブラックが夜の怖れをね。(私訳)

 60パーセントぐらいの確率で、多分この主人公は彼女と別れることに決めている。だって、そのほうがずっと楽だからだ。涙も怖れも、1人になれさえすれば影が隠してくれるのだから。
 ポイントは2つである。

 孤独な背中を見せて歩き去って行く勇気があること。
 そして、彼女を許す優しさがあるかどうかということ。

 ある意味では、女から女に気ままに乗り換えていくミックのほうが精神的には楽かもしれない。でもロッドは本当の女好き、人間好きなので、個別な 場面ではじつに女々しいんだよね。そこが、カッコいい。" just a little bit longer"と囁くように歌うロッドを見たら、多くの女の人が「やっぱりこの人にしよう」と思うんじゃないだろうか?

 ロッドに合わせて何度も口ずさんでたら、ぼくもこの曲を案外とうまく歌えるようになったんだよね。今度ライヴでやろうかな。

 だとしたら、デュエットしてくれるエイミー・ベルみたいな可愛い女の子を探さないと !


 YouTubeで見られます。

 ↓

http://www.youtube.com/watch?v=7RkWs6P2IwE