NHK大河ドラマ「江 姫たちの戦国」での、オープニング映像での江姫 上野樹里さんの能舞、全てに意味を持たせて、音楽にもきちんと割り当てて考案しました。

それを、細かく公開します。
これを読んで、今後、ご覧になってみて下さい!(^ー^)ノ


◎「江 姫たちの戦国」オープニング映像能舞◎

浅井三姉妹として生まれ、信長の影響を大きく受けた江姫が、能楽を見聞きし、その影響を受けていたことは想像に難くありません。
江姫の舞は、全て能の古来から伝承している型で表現しています。

細かい型の意味としては、

◎「正面にパッと顔を向ける」
能では「オモテを切る」といって、想いや気持ちが強いことを表します。
江姫の内面的な「強さ」を表します。

◎「左、右と、手で差して見流し、両手を開くようにして空を見渡す」
能では本来、周りの美しい景気を見渡す時などによく用いる型。左、右と指すのを「指し分け」、両手で開くようにするのを「天の扇」といいます。「天の扇」は、文字通り、天を見上げ夜明けを見渡す時に用いられる型。
世の中の流れや、時代の先を見る「先見の明」、新しい時代の新しい流れ、うねりを生み出す、江姫の生き方、生きる姿勢を表しています。

◎「両手でそっとすくい上げ、空に放つ」
江姫の中から新しい命が生まれ、江姫自身の手によって世に放たれたことを表しています。
つまり、「世継ぎ 家光の誕生」です。
また、江戸時代に新しい流れを作り出した江姫自身の生き方も表現しています。(この型は、今回の為に創作しました)

◎「両手を羽ばたかせ、空を仰ぎ見る」
時代に翻弄され、しかしその中でも自分らしくいることを見失わず自由に生きた江姫。時代の荒波も、江姫は楽しく、自由に羽ばたいている。
また、周りにも、素晴らしいオーラを振りまいている。
そういうことを表現しています。
能では本来、蝶の精霊が花の側で楽しく舞う場面で用いる型です。

◎「両手を胸の前で合わせ、眼を閉じる」
幸せや、楽しかった想い出や、大切なものは、ずっと私の心の中にある、どんなに辛くても、一生大切なものは、ここにあるのだ、という江姫の気持ちです。
能では本来、「寿福を抱く型」といって、祝言能「高砂」のラストに舞う大事な型。眼を閉じているのは、上野さん自身のアイデアです。
実は、この「寿福を抱く型」は、当初カットされる予定でしたが、上野さんの舞と表情が素晴らしく、NHKが映像採用することに変更しました。
(当初からカットされること承知で私もこの舞まで創り、上野さんも気に入って下さりここまで撮影してくれました。)

江姫の、強さ、優しさ、自由さ。江姫の生きる姿そのものを表現しました。

オープニング映像 能舞作 振付指導
金春流能楽師
山井 綱雄