新作能 光の素足、あと1週間!!

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ROAD TO 光の素足

第4話 第11回山井綱雄之會、あと1週間


いよいよ、新作能 光の素足、上演まであと1週間!!


日々、稽古を重ねながら、確かな手応えを感じています!
ちょっと真逆な言い方かもしれませんが、新作だとか云々よりも、『今伝えたい想いを伝える』。これに尽きるとも言えます。そういう想いも込めました。

宮沢賢治の童話『ひかりの素足』の少年・一郎は、弟・楢夫が亡くなっても、生かされた訳です。

『生きる』って、何なんでしょうね?…


少し前に観た映画「聖の青春」と、今回出演下さる五大路子さんが演じられた戦火の後の横浜を生き抜くお芝居、そして65歳で引退した天龍源一郎のドキュメンタリー映画。
これらを観て、私の中で沸き起こった、共通の想い。


『光の素足』って、何なんでしょうか?
神様?仏様?それとも、、、?



新作能「光の素足」は、童話ひかりの素足の後日譚として、描かれます。


舞台は、夏の夜。
少し人里離れた丘の上には、満天の星空が広がっているのでした、、、



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新作能「光の素足」あらすじ


童話「ひかりの素足」の出来事から数年が経ちました。一郎少年はあちらの世界で光の素足と出会ったことも忘れ、その時の臨死体験によって幻視幻聴に悩まされています。

最初に山中で一人剣舞(けんばい)に励む少年(ツレ)が登場します。賢治の詩「原體剣舞連」に乗せて勇壮に舞います。その勢いは山の風を轟かす見事なものでした。しかしどこか孤独と悲愴の影が漂っています。

どこからともなく現れた山仕事の老人(前シテ)が少年に声をかけます。その不思議な雰囲気に、少年は自らの悩みを語り助けを求めます。老人はその夜の再会を約束して姿を消します。

少年が子細を語って退場すると、場面は一転し天上の世界となります。
毎夜、星のめぐりの勤めに奉仕しているふたごの星のポオセ童子とチュンセ童子(アイ)は、数日前に起きた蠍と大鴉の騒動を思い出して二人で再現して遊んでいます。やがて夜が迫って来ました。二人は勤めに帰って行きます。

一郎少年(後ツレ)が老人との再会を期待して山へやって来ると、満天の星が迎えてくれました。流れ星に目を奪われていると、俄に白い光に包まれて光の素足(後シテ)が登場します。

「約束通りにやって来ました。あなたの苦しみを少し柔らげてあげましょう。」

一郎が舞っていた剣舞の詩に導かれ、光の素足は賢治の魂となって一郎に言葉を与えます。賢治の言葉の数々が紡ぎ合わされて大きな力となり、やがて言葉も消えて光の素足から少年一郎へ力が注がれます。

光の素足が消えると、一郎は山の草原に目を覚まします。遠くに祭りの音が聞こえます。人々の中へ帰って行く一郎を、満天の星が祝福しています。

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能楽 金春流
第十一回 山井綱雄之會
宮沢賢治原作   新作能 「光の素足」金春流版初演! 


  宮澤賢治の童話の世界観を能にした新作能「光の素足」(観世流 中所宜夫師作)を金春流versionとして初上演。五大路子氏の朗読と中井智弥氏の二十五絃筝の音色、山井綱雄初挑戦の新作能で宮沢賢治の世界に誘います。


■ 日時
2017年2月26日(日)14:00時開演   (17:30時終演予定)


■ 出演
解説とお話
山井綱雄
中所宜夫(観世流能楽師)

朗読    光の素足  (宮沢賢治  作)
:五大路子(女優)
二十五絃筝:中井智弥(二十五絃箏奏者)

仕舞
誓願寺クセ:富山禮子
天鼓:金春安明 (金春流八十世宗家)

新作能「光の素足」
原作  宮沢賢治
能作  中所宜夫
金春流版 節附・監修   金春安明
金春流版 型附・演出  山井綱雄


シテ(老人/光の素足):山井綱雄
ツレ(少年一郎):中所宜夫
アイ(ボウセ童子・蠍):山本則重
アイ(チュンセ童子・大烏):山本則秀
笛:     一噌幸弘
小鼓: 田邊恭資
大鼓: 安福光雄
後見:    金春安明
地頭:    高橋  忍


■料金
S 席(正面席) 10,000円
A席(脇正面席) 8,000円
B席(中正面席) 6,000円
学生席(GB席) 3,000円


■ 会場
国立能楽堂
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-18-1
JR中央・総武線 千駄ヶ谷駅下車徒歩5分
都営地下鉄大江戸線 国立競技場駅下車徒歩5分
東京メトロ副都心線 北参道駅下車徒歩7分


■お申し込み・お問合せ
Confetti(カンフェティ)
http://confetti-web.com/
0120-240-540
通話料無料・オペレーター対応(受付時間 平日10:00~18:00)





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ROAD TO 光の素足

第3話 昨日、初の全体申し合わせ



昨日、家元宅で、初めて全体申し合わせ(リハーサル)を行いました。

能は通常、普段の公演でも、公演の数日前に軽く一回出演者全員が集まっての「申し合わせ」と我々が呼んでいる通しリハーサルを行います。

(因みに、この通しリハーサルが無い公演も、能では結構あります。つまりは、ぶっつけ本番です!)

しかし、さすがに、新作能ではそういう訳にはいかず、昨年の夏から、家元宅に度々集合して、この新作能光の素足の作品作りは行ってきました。


能の根幹である謡(うたい:能の声楽)は、家元金春安明先生により、金春流版の節付けを、作者の中所さんの作られた通りに付けて頂きました。

そして、それを実際に謡って頂く金春流一門の能楽師の皆さんに、家元や中所さんを交えて、実際に、やってみながら、ああだこうだと作り上げていったわけです。


実際の舞台での舞や演出は、中所さんからはどうぞ自由にやって下さい、と言って頂き、中所さんが今までやっておられたことも参考にしながら、自分で色々考えながら、肉付けしていきました。

この辺りは、やはり他のジャンルと沢山のコラボの経験と、そして、この40年の能楽師舞台生活のキャリアと、能のシテを140番以上も勤めさせて頂いてきた貴重な経験を総動員して、考えてきました。


それが、ひとつ、昨日は初めて形になった訳です。

地謡は、有名な『雨ニモマケズ』の全文が後半の盛り上がりに出てくるのですが、言葉は大変に有名ですが、お囃子の『地拍子』という能の音楽のリズムで謡うことが大変で、でも、お囃子とスイングして、素晴らしい地謡になりつつあります!

私としては、新作能ですから、極論を言ったら何をやっても許されます。しかし、能とは何なのか??こういう、当たり前のことに行き着きます。

そして、私は、『光の素足』を演じる訳ですが、宮沢賢治その人と向き合うことになります。

そのことが、ずっと、私の頭のなかから離れませんでした、、、


師匠に教えて頂いてきた金春流伝来の型を駆使して。そして、それ以外にも、作品と向き合って、自分の中に湧き出るものを、型にしていく、という作業と、同時並行でした。


そして、ひとつの形となった、金春流版の新作能 光の素足。


これは、いける!!そんな、手応えを感じました。


(続く、、、)

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ROAD TO 光の素足

第2話 ひかりの素足と光の素足



宮沢賢治の童話 ひかりの素足 の後日談として描かれているのが、実は、新作能 光の素足 です。
なので、今回は、原作の世界観がどうしても能の前に欲しくて、朗読を入れることにしました。

その朗読をして下さるのが、女優 五大路子さん。五大さんは、ご自身の劇団を率いられたり、大変に熱いパッションを持った方です。
そして、その後ろで演奏して下さるのが、二十五絃箏奏者 中井智弥くん。
こちらも、新作能と同時並行で制作してくださり、来週リハーサルがあります。
これだけでも、かなりの聞き応えだと思います!

原作のあらすじを、最後に。

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童話「ひかりの素足」あらすじ

雪道で遭難した兄弟の物語。

炭焼きの父に連れられ、山に来ていた一郎と楢夫の兄弟は、学校があるため母の待つ家に帰ることになった。父は山に残り、兄弟は自分たちだけで帰路を歩きはじめる。
山の天候は変わりやすく、荒れはじめ、とうとう歩くことも出来なくなり、二人は抱き合い吹雪の中をじっと耐えていた。

やがて、気がつくと吹雪はやみ、兄の一郎は、ひとり藪の中を歩いていた。そして、弟の楢夫を見つける。二人は帰路を探してぼんやり明るい光の方へと歩いていく。そこには何とも痛ましい姿をした子供たちが鬼に追われていた。鬼は鞭を打ちつけ子供たちを追いたてる。つまずいた楢夫にも鞭を打ちつけ、一郎は弟をかばおうと自分が打たれようとした。
その時どこからか「にょらいじゅうりょうぼん第十六。」という言葉が聞こえ、一郎も唱えてみると、辺りは一転し黄金色に包まれた。その中をひかりの素足がまっすぐ歩いてきた。ひかりの素足が現れると鬼はひれ伏し、子供たちの傷も癒してくれた。
ひかりの素足は楢夫にやさしく「お前はしばらく兄さんと別れなければならない。兄さんはもう一度お母さんのところへ帰るんだから。」といい、一郎には「お前はも一度あのもとの世界に帰るのだ。」といった。一郎はただ手を合わせ眼を伏せて立っていた。するとすべての景色がぼうっと霧の中のように遠くなっていった。

一郎が「楢夫」と呼ぶとそこは雪の中だった。一郎は楢夫を抱いたまま雪に埋まっていた。
猟師に雪の中から助けられながらも弟を見ると、楢夫はかすかに笑ったまま息絶えていた。
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