日常の生活の中で、ぶらりと散歩する楽しみがある。近くの公園

を訪ねると、緑の木の下で遊ぶ親子や、ベンチで憩う老夫婦の慎ま

しやかな姿が見られ、人生のぬくもりを感じることがある。秋になっ

て木々が色づく小春日和に、紅葉の名所公園を訪ねるのも、日本

人として生まれた特権なのかも知れない。


 大山公園は、酒蔵の町大山(鶴岡市)の酒造家加藤嘉八郎氏が、

明治時代に大山城跡を整備して造成した公園である。サクラの名所

として知られ、また、大山下池は白鳥の飛来地としても知られている。

秋も深まり山々が色づいてくると、遠来のお客様白鳥が飛来する。

紅葉した山々を背景に、湖水に憩う白鳥や水鳥たちが、長閑な秋の

日を楽しんでいた。


       大山公園下池

       大山下池の紅葉と湖水に憩う白鳥と水鳥たち


 山形市の中心部東原町に、紅葉の名所もみじ公園がある。紅宝庵

清風荘として、茶会を催すなど公開されているが、昔は真言宗の巨刹

宝憧寺の庭園であった。庭好きの山形城主松平下総守15万石が、元

禄時代に池泉回遊庭園を造成したもので、後年築山にあった楓の巨

木に因んで、もみじ公園と名付けられた。古木は惜しくも枯死したが、

赤く色づいた楓の葉が、市街地にある庭園公園に秋の訪れを告げて

いた。


       もみじ公園

       秋の紅葉が映える池泉回遊庭園もみじ公園


 烏帽子山公園(南陽市)は、置賜地方を一望できる小高い山の上の

公園である。日本の「さくらの名所100選」に選ばれ、春は1000本のサ

クラが咲き誇る名所である。烏帽子山八幡宮の大鳥居は、石造りで石

に継ぎ目のない鳥居では日本一大きい。秋は紅葉した楓が、大鳥居に

寄添うにして、秋景色を演出していた。

    
       烏帽子山公園
      日本一大きい継ぎ目のない石の大鳥居ともみじ


 鶴布山珍蔵寺(南陽市)は、完正元年(1460年)極堂宗三和尚に

より開山されたと伝えられる名刹で、民話「鶴の恩返し」ゆかりの寺

である。寺の名「鶴布」は、鶴の恩返しに羽を織った布に由来し、珍

蔵寺の名は、珍蔵が鶴を助けたことに由来する。紅葉の名所として

知られ、「鶴の恩返し」と刻んだ梵鐘と紅葉のコントラストが美しい。


       珍蔵寺

       「鶴の恩返し」ゆかりの珍蔵寺梵鐘ともみじ


 出羽三森の一つである舞鶴山の頂上に舞鶴公園(天童市)がある。

月山や朝日連峰が望める景観の地で、春はサクラの名所として人間

将棋が行われる。花笠音頭の中で「花の山形 もみじの天童」と唄わ

れるように、天童は紅葉が美しい町である。公園には「王将」の石碑が

あり、色づいた木々が囲んで秋の季節を告げていた。


       舞鶴公園
           舞鶴公園の王将の石碑と紅葉