「ここは夢の中だよ」と友人は言った。「そして、ここに一個の飴玉がある。美味しそうだろう?実際、これはとても美味しい飴だよ。さあ、舐めてみてくれよ。どうだ?美味しいだろう?しかも、夢の中だから君の想像力が及ぶ限界まで美味しくできる。君は至上の幸福を味わえるよ。目を閉じて意識を舌に集中させてみたらいいよ。ほら。口の中にある飴がどんどんと美味しくなっていくだろう?このような機会は滅多にないよ。これは途轍もなく幸せな夢だ。君は最大限の美味しさを味わえる。しかも、夢の中だから飴はずっと消えないよ。君は至上の幸福を感じ続けていられる。せいぜい目が醒めないように祈っておけばいいよ。同じ夢は二度と見れないという法則があるのだからね。今、君はとても幸せな人間だよ」
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