冬の陽光 寒くて大気が白く濁っているように見えていた。世界が狭くなったように感じられるので私は砂利道を歩きながら息苦しさを覚えていた。早く太陽が沈めばいい、と願っていた。きっと暗闇の方が広いはずだ、と考えていた。 歩いても歩いても街が遠かった。ふと、狭いはずの世界が予想外に広いという事実に気付いた。木々が枯れていて地平線の彼方まで見渡せるのだった。道の先にまだ街は現れていなかった。夜になれば都市の輝きが見えてくるはずだった。私はやはり早く太陽が沈めばいい、と願っていた。目次(超短編小説)