夢を荒らす嵐 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

 布団を被り、暗闇の中で両目をしっかりと閉じている。大粒の雨が屋根や壁に衝突する音や、強風の刃が空気を切り裂いていく音や、雷の塊が地面に墜落する音などが聞こえてきている。騒々しい。既に深夜だが、一向に眠れる気がしない。

 危険な世界から逃亡したいという願望が胸中で疼いている。私はすべて夢の世界の出来事であると認識するように努めている。雨も風も雷も私の肉体には接触していない。だから、別世界の現象であると断定したとしても不自然ではないかもしれない。

 そのように考えていると突如として凄まじい爆裂音が室内に響き渡り、私は驚いて咄嗟に両手で布団を払い除ける。至近距離に落雷したのではないかと思ったが、暗闇の中で辺りを窺うと意外にも室内には静けさがある。雨音も風切り音もまるで聞こえてこない。不審に思って立ち上がり、窓から屋外の様子を窺ってみるが、雨はまったく降っていない。それどころか、街灯の光に照らされた路面は濡れてもいない。

 その事実を目の当たりにして私は狐につままれたような心境になる。夢を見ていたのか、夢を見ているのか、どちらとも判断が着かなくなる。

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