真実を知る日 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 目が醒めると今日は真実を知る日だった。私は自分が惑星という巨大な球体の表面で生活しているという現実を思い出した。普段は地面がどこまでも平坦な板のように広がっていると信じ切っているのだが、一年に一度だけ自己暗示から解放される日が設定されているのだった。

 誤った妄信が口論を引き起こす原因になり、結果として評判を落とす事態が引き起こされては不味いので他人から指摘されれば簡単に暗示が解けるように設定されているのだが、この一年間は私に真実を教えようと働き掛ける人間が現れなかったので認識が改まる機会がなかった。

 久し振りに巨大な球体の表面で生活しているという事実を思い出したので、私はベッドから抜け出すと、足裏の感触を恐る恐る確認しながら窓辺まで歩いた。そして、カーテンを開けて空を見上げた。青空の向こう側に広大な宇宙空間があり、そこに無数の天体が浮かんでいると想像してみると気が遠くなるように感じられた。

 すぐに私は落ち着かない気分になった。球面の上に立っているという事実が頼りなく感じられて仕方がなかった。私の感性は変わっていなかった。そこで、まだ一日は始まったばかりだったが、再び自己暗示を掛け直した。真実の時間は終了した。

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