031:おかん先生と教室 | 【障害児園ドタバタ奮闘記】天使達に囲まれて……

031:おかん先生と教室

おかん先生には一目置いている。


それはけっして保育士資格を持っているからじゃない。


長年の経験。

仕事のこなし。


いや。

そういう具体的なモノもあるだろうが、もっと目に見えないモノ。


言うならば、彼女を取り巻く空気。


ホンワカ感


が、何にも変えられない大切な要素。




「ユルユルと行きましょうぞー。」

「まぁまぁナントカなるからさ。」

「悩んでも仕方ないから悩まずにやっちゃいましょう。」


彼女の一言一言は、一見何も考えていないよう。


でも。


今急いでも仕方が無い事。

悩んでも仕方が無い事。

考えるよりやった方がいい事。


案外それが近道で答えだったりする。


奥が深い。




当然おかん先生は、このカニ組の責任者。


年齢的にも一番上だし、経験的にも一番だろう。

でも、それ以上に言葉では言い表せない安心感がある。




確かに園長は、見るからにどっしりしている。

話し方も穏やかで、体格との相乗効果が効き過ぎて、時々何を考えているのか読めない事もある。




それに比べておかん先生。


園長ほどではないが、中肉中背をもうちょっとふっくらした体型。


「白髪が目立ってきたから染めてるんじゃないわよ。オシャレ染めよ!!」


と強調する時点で認めちゃってる茶色い髪。

中途半端に伸びたパーマ。

ちょっぴり派手なTシャツ。


外見はいわゆる「大阪のおかん」なのだ。


でも一転。

さっきも書いたように、話をすると柔らかな物腰。

そして前向きなユルユル感。


中身はまるで、大きな空と大きな海に囲まれて育った「ナンクルナイサー」沖縄の人のよう。


なんともミスマッチな外見と中身。


でも、言う事が読める。

やる事が判る。


きっとこういうのがホンワカ感の素になっているのだろう。




さて。

今日はちょっと教室の格好というか、いつもの情景を話そう。


きっとコレから皆さんが、このブログを読むにあたって想像しやすくなるはずだ。




小学校の教室より二周りほど小さな教室。

正面にホワイトボードが掛かっている。

その上にアナログの丸い時計。


後ろには子供達の手提げカバンを掛けるフックが銘々に。


正面を向いて左手には、個人個人の棚。

それとオモチャや本の棚。


その棚は大人の腰までの高さまでで、その上は窓。

外の景色が見える。


反対側、右手やや後方に扉がある。

子供達を送り迎えする扉だ。




そして通常、カニ組には4つのテーブルが出ている。

そう1職員1テーブル。


各テーブルには毎日、3~4人の子供が座る。

席は特に決まってなくて、来た子供が適当に座って「今日のテーブル」となる。


ちなみに職員のテーブルも特に決まっていないのだが……ドアのトコロに基本青井先生が立つせいか


ドアの前のテーブルは青井先生。


と暗黙のうちに決まってしまっているようだ。


と……職員の席は必然的に以下の通りとなる。



    正面


林       おかん



山田      青井   扉



なぜ?


それは昔、ワタシの勤めていた保育園の乳児クラスの場合と全く一緒。


掻い摘んで、簡単に説明しよう。




子供ってのは突発的に何をやらかすか判らない。


何も無いのに滑って転んだり

何かあるのに全然目に入ってなかったり

隣の子の足がフライドチキンに見えたり


なので、自分の受け持つ子供達を最優先で見つつ、

さらに死角となるであろう他の先生の子供達も遠目で時々チェックする。


こうしてお互い補完するのだ。


たったコレだけの事だが、一人一人で子供を見るよりも、格段に事故・ハプニングが少なくなる。


時々


「林先生、タダシ君ちょっと注意。」

「青井先生、キヨシ君がなんか口に入れようとしてる。」


と牽制球を入れるだけで、格段に少なくなるのだ。




で……さらに。


保育士資格を持っているのはおかん先生とワタシ。

このクラスの責任者は、おかん先生。


当然オカン先生が教室の前列のテーブルのどちらかに陣取るのだが……

そうなると、決まって青井先生の横となる。


コレにも確固たる理由があるのだ。


おかん先生とワタシは、林・青井先生に比べ……ゴメン手前味噌。


ワタシ達は資格もさる事ながら、絶対的に経験値がある。

現場で叩き上げられた、いわゆる「勘」ってヤツがある。


その保育士2人が、若い2人を挟んで見守る。

こうする事によって、補完牽制球フォーメーションはより強固なモノとなるからだ。




ちなみにこの席順は、こんな理由から、ワタシが初登園したその日から、ほぼ固定されている。

1~2度青井先生が前列に座った事があるが、その時でも暗黙のうちに席順は



    正面


おかん     青井



林        山田   扉


と、なった。




もし、今ココを読んでるアナタに子供がいるとして……例えば保育園の乳児クラスにいるとして……


コレが出来ているかどうか


ってのは、随分と重要なチェックポイントだったりするのだ。


例え保育士が2人であっても3人であっても、補完できるシステムが出来てるかどうかはとっても大切なのだ。




さて、そんなワタシのカニ組。


明日は残り1人。

印象の薄い「林先生」にライトを当ててみようと思う。




---つづく---






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