板橋本町の駅からほど近い、環状七号線と旧中山道の交差点で現在は仲宿商店街にある焼肉屋。ここも昔から店が出来ては潰れの呪いの地だったような気が…。

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同じ環七沿いにもいくつか店があるけど、「二郎」系の店とかができるまでは安定していなかった。一方、道路を隔ててすぐ南側にある居酒屋「中山道 北斗」はかなり昔からある老舗。今の住所に引っ越す前の前、20数年来この近所に住んでいて「この店に入ってみようかな」と思いながら、入らずじまいで今日まで来てしまった。

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若かった当時、酒を飲むのは歌舞伎町とかばかりを選んでいたからだ。一人飲みとかできなかった坊やだったし、当時の友達とか飲み仲間が集まりやすいのが新宿だったのもある。店を探すのが簡単だったというのも理由か。といっても、入っていたのはチェーン店ばかりだったが。

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あと、飲んで乱れるのを近所の人に見られたくない、ちょっと離れたところならわからないだろうという考えもあった。ちょうど、不良が家の近所では悪さをしないようなもんだ。その反動か、今は「近所をどんどん開拓していこう」という気持ちに変わったから、いずれ行ってみようと思っている。実は、すぐ近くに比較的最近できた「金魚」の方には「シャリ金あります!」という謳い文句に釣られて入ったばかり。あまりたいしたツマミが無かったので再訪は無いだろうけど。

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今回はランチで利用。買い物帰りに前を通っていたのだが、いつも立て看板にランチのメニューが書かれていて、いつか入ってみっぺと思いながら、かなりの回数スルーしていた。何しろ、この近所でランチといえば、ちゃんこ料理の「くらち」。ここのランチメニューは値段は割と高めだが、かなり質と量を伴った料理が食える。いつも閉店とか定休日とか営業期間からずれていたり(ちゃんこ屋のせいか、夏はやらない)して、一度行ったきりだったのだが。「やまと」には申し訳ないが、正直今回も「くらち」に入れなかったから妥協して入ったところはある。

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ランチのハラミ丼900円。焼肉屋のランチって美味いんだよな。しかも丼にする肉は、質は悪くないけど、一品にはできない程度の細かい肉で、それを集めてまかないとかランチで出すって感じだ。問題は味付けかな、と期待を膨らませて注文。

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出てきたその丼を見てちょっと悲しくなった。絶望的に少ないのだ。しかも、少なさをごまかすように肉の下に千切り生キャベツとマヨネーズがご飯に敷いてある。ハラミ肉自体は柔らかくて濃い味付けがご飯に合うものの、こういう肉とキャベツ・マヨの割合だとマヨネーズ味が勝ってしまう。確かに余りもののハラミを巧く活かしたとはいえるし、肉の味付けは好きなタイプなのだが、タレ味付けした焼肉は、まずは邪魔が無い状態でご飯と合わせて食いたい。「焼肉といえば白いご飯だろうが」という名言にもあるように、そのコンビネーションは無敵だ。そこにキャベツ・マヨが「あっしも助太刀しますぜ」とドヤ顔で登場されても、ご飯もタレ焼肉も「お前足手まといになってるよ…」って顔を見合わせちゃう。確かに、俺はこれまで「生姜焼きを食う時に千切り生キャベツを合えて食うのが好き」と書いてきたが、それはあくまで時々のアクセント。通常の肉プラスご飯を十分堪能しているからこその遊びに過ぎない。キャベマヨ(どんどん省略していくな)が出ずっぱりでは、今度は鬱陶しく感じる。例えていえば、ドラマの「水戸黄門」でのうっかり八兵衛みたいなもの。八兵衛がいてトラブルを起こすことによってストーリーに起伏がついて面白くなるのは確かだが、うっかり八兵衛が常にフレームの中心で頑張っていると、今度は何ともしまらなくなる。黄門様も助さん格さんも「お前、水戸に帰れよ」って怒りだすはずだ。お銀に後ろからグサッと刺されちゃうかもしれない。うっかりじゃすまないのだ。マヨネーズは本当に強烈な個性があって、俺も最近はお好み焼きやタコ焼きを食う時には必ず添えるが、店の人が「マヨネーズ好きなんか、そんなら」とドバドバやられたら「もうマヨネーズの味しかせえへんがな!」と突っ込みを入れてしまう。

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ただ、これも全て肉を少ししか用意できなかった予算面の都合がでかい。肉とタレの味が量的にも勝っていれば大丈夫なのだが、完全に飲まれてしまっている。900円でこの量、というのがとにかく悲しい。昨今、肉が高くなっているのはじゅうじゅう(焼肉だけに)承知しているのだが、それでも企業努力というか気概を見せてもらいたい。同じ900円で件の「くらち」に行ったなら、と考えてしまうと余計にだ。

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付け合せのデザート、マンゴープリンは美味しかった。ただ、普通に美味しいという感じ。量も含めて普通。もっとも、マンゴープリンだけ絶品だというのも焼肉屋としては頓珍漢。そういえば、池袋で行列を作っていたあるラーメン屋があって、そこの一番の売りはプリンとかスイーツだった。ラーメン屋だったらラーメンで勝負しろよ! ラーメンの味、たいしたことねえぞ!って憤っていた記憶がある。俺はまだ行列ができない開店当初に入って、「普通の味のとんこつラーメンだな」と思っていたが、広告費を積んだのかメディアの力に上手く乗って、一時期行列が増え続け、最初に開店した池袋の東口の店舗だけでなく、西口にも進出。しかし、露出の低下と共に行列はほどなく途絶え、今は閑古鳥が鳴いている。なお、執事はこのラーメン屋 が好きだそうだ。

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Text by 大王

やまと焼肉 / 板橋本町駅本蓮沼駅
昼総合点★★☆☆☆ 2.3