立地といい、間口の狭さといい、常連客でごった返す風景といい、一見客にとって敷居の高さ抜群の店。1階はカウンターのみで後ろの通路部分も狭く、太っている客は入れない(2階は座敷らしいけど入ったことない)。俺はギリギリセーフ? それでも混まない内に入ろうと口開けを狙ったが、直前に一人、入ってみたら二人先客がいた。この人達は、もしかしたら開店時間の前に入っていたのか?
開店の支度の追われているのか、女将が一人で慌しく作業中。入ってきた俺にも一瞥したが、いらっしゃいもないので、もしかしたら常連バリアであまり歓迎されていないのか? ここにはかつて二度ほどしか来店していないし、絶対覚えていないはずだから事実上一見客。まして、以前に入った時には店主もいたし、状況が違う。だが、女将はすぐにおしぼりを渡して注文を聞いてくれた。しかも、見ていると他の客が来ても絶対にいらっしゃいは言わない。それが基本らしい。だけど、その後は丁寧な言葉遣いと接客振り。ああツンデレなのか、と納得。
まずはホッピーを注文。ジョッキがでかい。レモンも入っている。380円でこれはなかなか良い。しかも、ホッピーの瓶がよく冷えている。飲み物に気を遣っている点はすごく評価できる。外は寒いけど、ホッピーは冷えていなきゃいけない。さすがに冬にシャリ金はきついけど…。
突き出しはキュウリとカブの浅漬け。俺の好きな漬かり具合。つま楊枝が突き刺さっているが、焼き物とこれだけで終わる客は割り箸使わずじまいで帰るってことか。
焼き物の注文を聞かれたので、カシラとタンを塩で注文。それから、名物であるホルモンとバラを注文。どちらも1本180円はする高級品だが、外せない。そしてシロも。これらはお任せで。といっても、ホルモンはこの店特製のニンニク醤油ダレで出されると決まっているが。
タンはわずかに臭うが、焼き立てでその点も払拭するくらい美味しい。「ビッグ 」の上タン塩を思わせるボリュームと焼き具合、旨味で感心する。カシラも同時に出てきたが、こちらも臭みは無くジューシー。焼き加減はどちらも上々だった。
ところが肝心のホルモンが何だかけっこう臭い。タレが原因か? 肉が原因かわからないが、最後まで臭かった。肉の臭みなんだからしょうがない、というよりは…。一番の売りがこれではちょっと残念。前頼んだ時はこんなじゃなかったような気がするが。
シロとバラがタレで出てくる。シロは弾力があるけど、タレと合う。バラも表面をわずかに焦がしてある焼き加減。どちらも臭みが無くて美味い。
忙しくなる前に欲しい物は頼んでおこう、と思い食べながらレバ塩を追加。タンとかと同様に、このレバもでかい。焼き加減はもうちょっとだけ甘めだと良かったんだけど、ここは「秋元屋 」系でもない昔ながらのやきとん屋なんだから、このくらいが普通だろう。塩も効いていて、美味しい。そういえば、後からレバを頼んだ常連が薄塩で注文していたから、ここの塩加減はけっこう濃い目なんだ。
焼き物に関しては、量も焼き加減も上々だった。これは以前来た時の記憶の通り。同時に、今までもたびたび入ろうと思って店を覗くが、いつも満席で入れないことばかりだったのも思い出した。タンとかは塩でも美味しかったが、むしろタレの味付けが理想的だった。ここの焼き物はタレで食うべき、と確信した。次はタレ縛りにしてやろうか、なんて。
しかし、意外だったのがホルモンの臭い。名物になっているくらいだし、記憶でもすごく美味しくて、必ずまた食べたいな、と思っていたのに。「加賀屋 」のそれと同じだが、あそこのも同様の「あれ? こんなだったっけ?」っていう印象だった。やきとんをいろいろな店で食いまくって、俺自身が臭いについては厳しくなってきたのかもしれない。
中のお代わり、これまたけっこうな量。普通なら3杯いけるレベルだが、俺は最近抑え気味にしているので2杯で終わらせる計算。一気にジョッキには入らないが、チビチビ外を追加して2杯で締めた。実は地味に後から後から客も入ってきて、席が埋まってきたのもその理由。デブはさっさと出るに限る。
焼き物ばかりテンポ良く頼み、また次々と出てきたが、野菜も食べたいと思って朝鮮もやしというのを注文した。恐らくナムルかキムチ味付けだろうと思ったら、やはりキムチ系だった。豆部分も多く酸味が強い。もやし一本一本が細くて詰まっているので、見た目より食いでがある。辛味が強く、味付けも濃いのでこれだけで一杯いける。他の店でよく突き出しとしてこういうメニューが出されるが、ここのは突き出しレベルよりワンランク上の価値を感じた。
カウンターの中から女将が大根をおろしているらしい音が聞こえてくる。ここの大根おろしはおろし立てということだ。大根はおろしたばかりだと炭水化物消化酵素や尿酸排出効果があり、非常に体に良い。ビタミンC等もあるが、いずれも生でかつ早く食べないと効果が薄れる。大根はおでんとかブリ大根とか煮た料理も美味いのだが、それでは栄養成分は十分に摂取できない。大手チェーン店ではおろした後のを袋入りで納品しているから、これらの栄養成分は摂取できない。はっきり言って辛くないおろしてから時間が経った大根は残りかすみたいなもの。おろしたてのあの辛い奴こそが、大根をもっとも有効に食べる方法だ。この店ではそれが行われているということを知って「良心的だ!」といたく感心。ま、個人店では大体そうらしいんだけど。思わず大根おろしも注文しようとしたけど、ぼちぼち酒も回ってきたのでこの辺で。
狭くて混むのはわかっていたから30分くらいで出るつもりだったが、もやしも酒も意外と量があってなかなか減らないから帰れない。嬉しい誤算だ。一時間足らずで退出したが、先客は全員残っていた。これからくだを巻いてくるんだろう。俺も短い時間だったが、とても楽しく過ごせた。
Text by 大王
開店の支度の追われているのか、女将が一人で慌しく作業中。入ってきた俺にも一瞥したが、いらっしゃいもないので、もしかしたら常連バリアであまり歓迎されていないのか? ここにはかつて二度ほどしか来店していないし、絶対覚えていないはずだから事実上一見客。まして、以前に入った時には店主もいたし、状況が違う。だが、女将はすぐにおしぼりを渡して注文を聞いてくれた。しかも、見ていると他の客が来ても絶対にいらっしゃいは言わない。それが基本らしい。だけど、その後は丁寧な言葉遣いと接客振り。ああツンデレなのか、と納得。
まずはホッピーを注文。ジョッキがでかい。レモンも入っている。380円でこれはなかなか良い。しかも、ホッピーの瓶がよく冷えている。飲み物に気を遣っている点はすごく評価できる。外は寒いけど、ホッピーは冷えていなきゃいけない。さすがに冬にシャリ金はきついけど…。
突き出しはキュウリとカブの浅漬け。俺の好きな漬かり具合。つま楊枝が突き刺さっているが、焼き物とこれだけで終わる客は割り箸使わずじまいで帰るってことか。
焼き物の注文を聞かれたので、カシラとタンを塩で注文。それから、名物であるホルモンとバラを注文。どちらも1本180円はする高級品だが、外せない。そしてシロも。これらはお任せで。といっても、ホルモンはこの店特製のニンニク醤油ダレで出されると決まっているが。
タンはわずかに臭うが、焼き立てでその点も払拭するくらい美味しい。「ビッグ 」の上タン塩を思わせるボリュームと焼き具合、旨味で感心する。カシラも同時に出てきたが、こちらも臭みは無くジューシー。焼き加減はどちらも上々だった。
ところが肝心のホルモンが何だかけっこう臭い。タレが原因か? 肉が原因かわからないが、最後まで臭かった。肉の臭みなんだからしょうがない、というよりは…。一番の売りがこれではちょっと残念。前頼んだ時はこんなじゃなかったような気がするが。
シロとバラがタレで出てくる。シロは弾力があるけど、タレと合う。バラも表面をわずかに焦がしてある焼き加減。どちらも臭みが無くて美味い。
忙しくなる前に欲しい物は頼んでおこう、と思い食べながらレバ塩を追加。タンとかと同様に、このレバもでかい。焼き加減はもうちょっとだけ甘めだと良かったんだけど、ここは「秋元屋 」系でもない昔ながらのやきとん屋なんだから、このくらいが普通だろう。塩も効いていて、美味しい。そういえば、後からレバを頼んだ常連が薄塩で注文していたから、ここの塩加減はけっこう濃い目なんだ。
焼き物に関しては、量も焼き加減も上々だった。これは以前来た時の記憶の通り。同時に、今までもたびたび入ろうと思って店を覗くが、いつも満席で入れないことばかりだったのも思い出した。タンとかは塩でも美味しかったが、むしろタレの味付けが理想的だった。ここの焼き物はタレで食うべき、と確信した。次はタレ縛りにしてやろうか、なんて。
しかし、意外だったのがホルモンの臭い。名物になっているくらいだし、記憶でもすごく美味しくて、必ずまた食べたいな、と思っていたのに。「加賀屋 」のそれと同じだが、あそこのも同様の「あれ? こんなだったっけ?」っていう印象だった。やきとんをいろいろな店で食いまくって、俺自身が臭いについては厳しくなってきたのかもしれない。
中のお代わり、これまたけっこうな量。普通なら3杯いけるレベルだが、俺は最近抑え気味にしているので2杯で終わらせる計算。一気にジョッキには入らないが、チビチビ外を追加して2杯で締めた。実は地味に後から後から客も入ってきて、席が埋まってきたのもその理由。デブはさっさと出るに限る。
焼き物ばかりテンポ良く頼み、また次々と出てきたが、野菜も食べたいと思って朝鮮もやしというのを注文した。恐らくナムルかキムチ味付けだろうと思ったら、やはりキムチ系だった。豆部分も多く酸味が強い。もやし一本一本が細くて詰まっているので、見た目より食いでがある。辛味が強く、味付けも濃いのでこれだけで一杯いける。他の店でよく突き出しとしてこういうメニューが出されるが、ここのは突き出しレベルよりワンランク上の価値を感じた。
カウンターの中から女将が大根をおろしているらしい音が聞こえてくる。ここの大根おろしはおろし立てということだ。大根はおろしたばかりだと炭水化物消化酵素や尿酸排出効果があり、非常に体に良い。ビタミンC等もあるが、いずれも生でかつ早く食べないと効果が薄れる。大根はおでんとかブリ大根とか煮た料理も美味いのだが、それでは栄養成分は十分に摂取できない。大手チェーン店ではおろした後のを袋入りで納品しているから、これらの栄養成分は摂取できない。はっきり言って辛くないおろしてから時間が経った大根は残りかすみたいなもの。おろしたてのあの辛い奴こそが、大根をもっとも有効に食べる方法だ。この店ではそれが行われているということを知って「良心的だ!」といたく感心。ま、個人店では大体そうらしいんだけど。思わず大根おろしも注文しようとしたけど、ぼちぼち酒も回ってきたのでこの辺で。
狭くて混むのはわかっていたから30分くらいで出るつもりだったが、もやしも酒も意外と量があってなかなか減らないから帰れない。嬉しい誤算だ。一時間足らずで退出したが、先客は全員残っていた。これからくだを巻いてくるんだろう。俺も短い時間だったが、とても楽しく過ごせた。
Text by 大王