NHKで稽古のドキュメンタリーを放送していた。ハムレット役の大袈裟で早い感情の流れにどう反応していくか、家族の暖かさの中で育ったオフェーリアが裏切られ、壊れていく過程をどんなタッチ演じるか模索していて、途中、「おおかみ女」などと揶揄されつつも、写真にあるようなナイーブで神々しいオフェーリアになっていた。

稽古の途中、プロンプターに頼る場面もあった。再放送だったので、すでに埼玉公演は終わってしまったんだけど、大阪以外にも台湾とロンドンで公演があるそうで、台詞を理解できない外国のひとにも伝わる芝居をつくっていかなきゃいけない。そこで、蜷川幸雄さんは「今一度、台詞の意味を感じ、それを芝居に出して欲しい」と語っていた。

稽古の序盤、満島ひかりが台詞に詰まって、そこで感情が途切れないよう、プロンプターの台詞を催促する仕草をしていた時があって、台詞の正確さと感情は別な次元にあるのだと感じた。満島ひかり、稽古中に台詞を忘れたことに対しては、少しも落ち込んでいなかった。

そういえば、三味線で失敗したときのことを相談にのってもらっていて、「ミスタッチした音はそこで捨てて、全体の流れと次にくる音のことを考える。」って言われたんだけど、それと似ているなと思った。

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