お浚い会のこと

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しばらく、モヤモヤしていた。

羽生結弦が言うように「精度と確率」をあげて「弾けた」じゃなく、しっかりした良い音で、弾きたいものだわ。一緒に出た仲間は、私の演奏を喜んでくれたけど、個人的には、胸のドキドキをねじ伏せる感覚は得られなかった。本番の緊張は火事場の馬鹿力ではなく、スカ撥になってしまった。だから、こそ。

夏を思い出せ〜

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夏の尾瀬沼、五感の記憶

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去年は夏に尾瀬へ行った。

第二長十郎小屋を宿に、朝靄を満喫。明けてみれば、十分な快晴、快晴。尾瀬ヶ原の木道を東電小屋方面に進むハイカーの姿が豆粒のように遠くまで全部見える。

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水の少ない湿地できた緑の上を風が優しく吹いている。空は真っ青で、水面に映る雲の形がくっきりと見える。底の硬い登山靴で木道を歩くので、自分の靴音だけははボコボコと煩いが、広いから、人の姿を目で確認できても、足音は聞こえてこない。自然以外は何もない。真空のようにさえ感じる。

群馬県側の鳩待峠方面へ進むと軽装の観光客の数が増えた。荷揚げのお兄さんが背負子に重いダンボールを4個か5個積んで、黙って歩いてくる。両腕を腕組みしているので、修行僧のようだ。昨日飲んだビールもこんな風に運ばれてきたのだろうか?


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初午。

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先週は関東地方にも、寒波が到来。ビルの窓から線路に雪が舞う様を見下ろした。折しも、満月の晩。地球の裏側では月食が見えたという。夜中にトイレに起きると、雪を降らせた雲はすっかり消えたのだろうか、リビングの明かりとりの窓から月光が差し込んでいた。

朝、待ち合わせのファミリーレストランに行く。表にメニューが出ているし、普段から店員さんの少ない店なので気付かず入ってしまったが、まだ、やってなかった。厨房から、日焼けした肌の男性が現れて、営業時間を告げられた。

トイレを借りたので、半日経ってまた同じ店に行く。

レジで支払いをする時に、朝のお礼を言うと「ああ」と営業スマイルを取り去った顔が日本人とはまた、違う笑顔だった。客と従業員が平等なんだな。彼が生まれ育った国では。



道端に梅が香る。河津桜も咲いていた。

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梅とさんさん桜はいずれ兄やら、弟やら、なのである。

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徳を積む。

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義父母のお供で、成田山新勝寺へ行く。昨日の強風のせいなのか、成田の気温は低い。参拝客は結構、いる。
 
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空港が近い成田市では、鰻が飛行機に化けた「うなりくん」がご当地キャラクターで、参道には有名店の川徳始め、鰻を食べさせる店がずらりと立ち並ぶ。椅子席の店を探して入り、10分くらい待って席に着く。小上がりのお座敷席は空いている。
 
広い店内に、髪をバンダナで包んだお運びさんが二人土瓶を下げてお茶を注いで歩いている。赤いバンダナさんが手を振ると、ピンクのバンダナさんが歩み寄って笑った。日本語でしゃべるが、二人はアジアの何処かの異国の人で、姉妹のようだ。
 
鰻重を載せたお盆を運ばれて、黙々と箸を動かしていると、中学生くらいの女の子を連れた夫婦が店に入ってきた。母親の鼻は高いが、鼻の穴は丸く、娘とよく似ている。父親は黒い皮のジャンバーを着て、田村正和のようなヘアスタイルをしている。
 
ピンクのバンダナさんが素早く親子に近づいて、英語で話しかけた。父親は親しげに笑い返し、親子は空いた席に案内されていった。
 
旦那さんの話では双方、マレーシアから来たという。バンダナは宗教的な意味合いあってのファッションだと知る。
 
 
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境内では、お坊さんたちの下駄の音が美しかった。
 
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立春

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夜、コンビニの前を通ったら、男の子が巻き寿司にかぶりついていた。北北西がどっちだか、初めて知ったよ。


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星占いで出会い運の良い日には、本屋さんに立ち寄ることにしてるんだけど、昨日は本屋さんに恩田陸の直木賞の壁が出来ていた。
 
蜜蜂と遠雷 蜜蜂と遠雷
 
Amazon
 
買わずにCREAのおひとり様温泉特集とマインドフルネスの本を立ち読み。映画舞台の棚でアドラーと鴻上さんの本をチラ見する。
どちらも俳優業の厳しさを語るところから始まっているんだけど、アドラーはお金の為の仕事をする中で、成長するコツを身につけなさいってあった。自分が、舵取りをしなさいって
 
鴻上さんの本は舞台で上がらない為には、役が生きる世界を事細かに想像し続けなさいってあって
 
ブラタモリ風に元禄花見踊の世界を想像してみてるんだけど、これは歌詞に、武士の花見の装いとしてでてくる熊谷笠。
 
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これが、初演の舞台、新富座。おもしろいね
 
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ポンチョ

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粛々とおさらい会の準備。表参道へ行く。
 
暖かく、風もない。外国人の買い物客が沢山、いる。東京オリンピックの誘致で海外からの観光客が増えたが、爆買いが終息して、ファッションにこだわるひとだけ残っている。
 
今日は洋服にも来られる和装コートを求めて骨董通りにあるsou souを訪れ、買えずに店を出て、また、戻る。
 
着物に羽織れるツイードのポンチョは短いウエスト丈とお尻がすっぽり隠れるロングの2種類があって、王子様のマントにそっくりだ。どちらがいいかしらと迷う。
 
鏡の前で金髪ボブのぽっちゃりしたご婦人が黒い柄物のワンピースを試着しているが、小柄なのでSサイズだ。赤ちゃんを連れた若いお母さんがシャツの色違いを頼んで、棚に戻さずに置きますね、と言って係りの店員さんが離れていってしまう。
 
同じポンチョを着たベレー帽の店員さんを捕まえると「私のは長い方です」といいながら、自分の裾の長さを、鏡の中で確認していた。
 
お姉さんのベレー帽を見て、途中、自分の好みを再確認しようとして立ち寄ったツモリチサトで、パリの小学生のようなコットンパンツを試着し「シャツをインしても似合いますね」と褒められたことを思い出す。
 
ツモリのお姉さんの発言にあやかり、リセエンヌ風のベレー帽の店員さんと同じロング丈のポンチョに決めた。
 
気温が高いせいか喉が渇いて、ドトールのテラス席でコーヒーを飲む。
 
朝焼けと三日月。
 
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午後、ランドマークホールで観劇。桜木町の駅前は雲ひとつない快晴で、海面を走る赤いバスが見える。横浜市が実験的に運営している水陸両用バスはクジラの柄だった。
空襲の焼け跡でなんにもなくなった野毛坂に市井のひとが闇市を始めた。主人公は品の良い戦争未亡人で、空襲で生き別れた下の娘との再会を信じて、生きている。闇市には、帰る場所をなくした軍人さんが自暴自棄になって、追い払っても、追い払っても悪さをしかけてくる。
 
それでも野毛で生き続けて、地元の漁師から仕入れた魚やクジラの肉を食材に、フライの屋台を引いて、中学生の娘に古本を買い与える。地面のじゃりを握りしめるようにして生きている。すごいねぇ。清貧なのだよ。
 
それを支えるエネルギーを持つ街として描かれている野毛坂は、舞台では二層の構造をなし、闇市の上層階は時空を超越している。トランプ氏もびっくりの無茶を言う。
 
生々しい過去の姿を歌舞伎のように、描いていた。
 
 

上を向いた犬のポーズ

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三軒茶屋で女子会。の、思い出。

 

まだ夕方なので、準備中の札が並ぶ三角地帯の路地を、女組でうろつく。若手スタッフの結婚祝いをやった店で「あと、何分待てば入れますか」とガラス越し、テーブルを拭く店のマダムを捕まえる。

 

マダム、上機嫌。
 
店の外の喫煙スペースに、5人分の椅子を並べてくれだ。ビールも出してくれた。東京で一番古いというモロッコ料理とワインの店だ。
厨房は男性ひとりで、ショートヘアに黒いタートルセーターを着たスレンダーなマダムは、忙しそうにしている。「ビオワインを色々揃えています」と言って、隣りのテーブルに白のボトルをずらりと並べ、「これはスグリの風味がする白ワイン」「こちらは洋梨に似た香り」と滔々と薀蓄を語るが、ちっとも覚えられない。確かに、色々あることだけはわかった。
 
私は、前に見た映画の女優さんに似ているなと、マダムの顔をぼんやり見上げる。
 

 

店には看板犬がいて、おやつのフードを時々、口に入れて貰いながら、カウンターのスツールの上におとなしく座っている。マダム、クロという名だ語る。黒い犬ではない。クロカンブッシュのクロなのだそうだ。

 

撫でてみたいが、犬を飼ったことのない私はどこをどう撫でていいのかわからない。小さな顎の下にくすぐるように触れ、次第に大胆になって、首すじを両手でこそぎ上げると、それが好きだったみたいでリラックスし始めた。

 

嬉しくなって「少しは上手くなったみたい」とつぶやくと、グウィネス・ケイト・パルトロー似のマダムはワインを給仕する手を止めて「あら、ホントだわ」と笑った。

 

満足して席に戻ろうとすると、カウンターから一番遠い壁際の席に座っていた友人が、犬をあやし始めた。その声は2m先にいる犬に届き、犬はしゃばしゃばの尻尾を夢中で振り始めた。犬の爪がアカンサス柄の貼り地を引っ掻き、スツールから飛び降りそうな勢いだ。

 

その興奮ぶりを見て、犬は私に付き合ってくれてたんだなぁ、とがっかり。客の相手を終えてひと息ついた犬は、ドッグポーズで大きな伸びをした。

 
 
 
ダル・ロワゾー
 
 

死んでいく母の愛は数あれど、母親役・宮沢りえさんの双葉像は、身に降りかかるアンラッキーを凌駕するようなキャラクター。こういうキャラが作れないと、女優賞はもらえないのね、とも思ったし、前に見たアニメは別々の話を合体させた感があったけど、こっちは登場人物全員に与えられたカセがあって、それがきちんと双葉に繋がっていた。独特の生々しさもあって、普遍的なテーマで作れるひとなんだなと思った。

 

台詞も良かった。みんな、観たほうがいいと思う。

 

映画館には、宮沢りえの母娘愛が見たくて来てるようなひともいて、見終わった後に「こういう話だって、知っていた?」とボソボソしゃべっていた。あと、この家族は貧乏なのか、物質文化をスルーして暮らしていて、娘たちへのご褒美にあたるものが「行為」だった。愛は、プレゼントじゃ伝わらない時代になったのだよ。

 

 

 

 

次はこれを見ようと思っている。

 

 

初期の遊川和彦さんのドラマが好きで、内田有紀さんが同じ気持ちでいたらしく「ボクらの時代」で遊川さんに質問していたのだけれど、彼の答えは

 

・・・始めは勢いだ。勢いが落ちてきたときに初めて「自分の飛行」が生まれる。自分にとってはそれが「女王の教室」だった。

 

と、言っていた。