東雲

映画祭の会場は豊洲にあって、途中に東雲という駅があった。地元不動産屋のサイトによると、そこは埋立地に作られた街で、東雲という地名ができたのも昭和13年のことだという。

 

土曜の朝の車内は空席がめだっていた。東雲の海に上る朝日が車窓からシートに差し込んで来るあたりで向かいに座っていた男の子に気がついた。お母さんとふたりでキッザニアに行くのかもしれない、と思いながらもうつらうつらする。三時間睡眠が続いていたので、寝入ってしまう。電車のドアが閉まる音で飛び起きた。飛び起きて悲鳴をあげそうになった口元を手で抑えていると、向かいの男の子が私に注意を向けている。口真似だけで「寝ちゃった」と話しかけると、体をよじらせながらゲラゲラ笑う。そして、小さな手で4の数字を作って、私にアピールした。次の駅で下車して、ひと駅戻る。男の子は列車の手すりに指先を引っ掛けて掌を逆側に反らせながら4の形をずっと、崩さなかった。

 

ひと駅分の居眠りで頭がすっきりした。大分後になってから、男の子は私に年齢を聞かれたと勘違いして「自分は四歳だ」と返事したと気がついた。

 

 

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秋をあじわう その2

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女子旅に参加できなかったので、小田原の寺まで紅葉狩りに行ったのは11月の最後の日曜日。もう、散ってしまったかしら。
 
大井松田インターで首都高速を降る。途中のコンビニへコーヒーを買いに寄る。南足柄はアスファルトが黒々と濡れ、丹沢の山にはぶ厚い雲。工場らしき煙突に雲と同じ色の煙が立ち上るさまが見える。
 
三門の横の道路から、一番上の駐車場まで行く。雪かきしたあとの雪が溶けずに残っている。慧春尼堂からくだる道を逆走してお堂を覗きに行く。思い直して、本堂のある境内へ。瑠璃門下にある紅葉の写真を撮りに行く。
 
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紅色の紅葉をカメラマニアが夢中で撮影中。

 

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大天狗・小天狗を祀った御真殿を見学して、お約束の奥の院へ。鬱蒼とした杉林を貫く石段が新しくなって、350段が短く感じる。

 

 

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帰りは慧春谷をくだって、再び慧春堂へ。尼僧として生きた慧春尼さまに背中を押される思いでお堂を後にしたが、急な坂道せいだろう。

 

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神奈川県南足柄市大雄町1157
大雄山最乗寺
小田原駅から大雄山駅(大雄山線で21分)
 

 

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先日、深田晃司監督と主演の筒井真理子さん、古舘寛治さんのトークイベントの後にSNS掲載用の撮影タイムがあった。このふたりと深い因縁を持つ大賀くん演じる青年の感情が、生々しく頭に残る。二度観たら、また、別なことを思うんだろうなぁ。
 
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ふたりの役どころは町工場を営む俊雄と章江夫婦。過去も現在も、危ないバランスの中で日常を送っている。ふたりには写真のようなにこやかな瞬間は訪れない。だって、嘘つきなんだもの。それでも工場の経営は続き、若者は社長である彼を慕っている。浅野忠信さんが身につけている衣装がそうであるように、ひとは「見た目」という着ぐるみを身にまとい、日常を過ごしているのだ。

 

トークではカンヌの話も出て「映画界のプロたち、生涯を映画と共に生きようと決めた人たちが広い劇場の席を埋めている。街中がそんなだ。カンヌは映画人にとって特別な空間だった」と言っていた。めざましテレビでカンヌのスタンティングオベーションがどうとか紹介しているけど、深く考えたことがなかった。
 
トークの司会を勤めたテアトルの方が、声を「世界への扉を開ける日本人は深田監督だと思っている」と言っていて、こういうひとが生涯映画を撮り続けられるひとなんだなあ、私じゃないやと思った。
 
自宅に戻って録画してあった『ママゴト』を観た。古田寛治さんが男の子にキツくあたる母親の恋人役(胡散臭い有機野菜農場のオーナー)ででていた。

 

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秋を味わう

弟の長男の13回忌に弟と父親につきあって、わざわざ喪服で参列する。お寺を出たあと、旦那さんのトイレのため、三宿交差点を右折して世田谷公園に寄る。

 
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公園内を周遊するミニ列車がしきりとシュシュポポ、ピーと汽笛をあげるので、興奮した散歩中のブルドックが「抱っこして」と飼い主の胸へ飛びつく。ブルのくせにミニピン並みの跳躍力じゃんよと驚いていると、隣りを歩いたいた紺のロングコートの女性が振り返って「あれは完全にやり過ぎだよね」と私に同意を求めてくる。あまりに自然な口調でくつろいだオーラだったので、ずいぶん変わったひとだな、コートは上品なのにと絶句していると、コートの女性は「やだ。いないじゃん」と恋人を探しに行った。
 
その話を旦那さんにしたところ、旦那さんは混み合うデパ地下で私の手を引こうとして、知らないおばさんの手を握ってしまった事があると言い、困った顔をして笑った。

熊手

福をかき集めるという熊手。

 

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昨日の酉の市では本殿の賽銭箱近くの露店で、熊手の見物渋滞が起きていた。ど真ん中に飾ってあった巨大な熊手のロープを外し、そろそろと下ろす。

 
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近くで見ると人の背よりもでかい。ぽっかり空いたスペースで、迫力を知る。

 

先日、BSでやっていた映画。軽井沢で掃除に活躍するのも熊手。年末に向かって大詰めの「真田丸」も「半沢直樹」もやってなかった頃の頼りな〜い堺雅人さんが見られて、面白いね。お父さん役はあの鮎川誠さん。

 

 

 

 

演劇集団「白紙」

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先日、私の書いた脚本を朗読劇として、上映して下さいった「白紙」さん!

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主催で演出の、たかのたかしさんは爽快感溢れる美形なんだけど、なかなかに誠実なお人柄で、演出も人格のままだった。自分を疑うことのないまっすぐな主人公・友梨亜の姿に、私自身が励まされ、一緒にやったレッサーパンダの小林泉さんから「気の強いキャラクターって時々書くけど、真の強いキャラクターって、なかなか書けない」ってって言われて、嬉しかったあ。

小林泉さんの脚本は「白紙」さんにぴったりで、こういうマッチングの能力も、イトキンのプレスルームで身についたんだなあ。

ひとつひとつの出逢いが今の私を作っている。でも、その時は気付かない。無我夢中。

「怒り」

豪華キャストだけあって、予想以上に善悪かきちんと整理されていた。原作はもっと、複雑なんだろうなぁ。女性になりきった綾野剛にもびっくりしたけど、後々迄この映画について思い出したように語るマイダーリンにもびっくり。あまり見たがる方ではないけれど、映画好きなんだなと思った。