野球少年、昭和の香り | やどかり族の育自日記

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やどかり族(宿借り族=転勤族)の妻の育児の日々。
つたない母と子供の成長を、鼻歌うたうように綴ります。
「好奇心」「対話」「自立」「多様性」がキーワード。今のとこ(笑)

私が買い物から帰ってくると、子ども達は勝手に公園に行き、

友達と野球をしていた。

 

公園には、午前中から夕方まで、

野球をして遊んでいる男の子2人組がいる。

小学校2年生と小学校3年生。兄弟。

 

子ども達が入れ替わり立ち替わり公園にやってきて、

その野球兄弟と野球をして帰っていく。

 

あーちゃん(5歳9ヶ月)とはる君(3歳5ヶ月)も、

その入れ替わり野球チームの仲間だ。

昨日は、午前も午後も彼らと野球をした。

 

野球をした、と言っても

うちの子達は野球のルールは何ひとつ分かっていない。

バットもグローブも持ってない。

当然、バットにボールをあてるのも、キャッチボールも難しい。

 

それでも、優しいお兄ちゃん達に手ほどきしてもらいながら、

何とな〜く、野球の雰囲気を味わっている。

 

「おい!はるちゃんには手加減したれや」

と、野球兄弟が他の子に声をかけてくれ、

はる君はニコニコとマイペースに塁から塁へ走った。

 

ちょっと手を伸ばせば、すぐタッチアウトに出来るのに、

「待て待て〜」

と、鬼ごっこのように追いかけてくれた。

 

攻守交代になり、はる君がグローブ(借り物)を

外さなきゃいけない場面では、

はる君が、グローブを外したくない、と泣いた。

 

「はるちゃん、はるちゃん、また後でグローブ出来るけぇ。

バッターやってみ?」

「そのグローブは外さないけんけど、俺の使う?」

どう考えてもゲームの邪魔になっているはる君を、

野球兄弟は常に気遣ってくれる。

 

スーパーウルトラ優しかった。

こんな子達がいるのか?

昭和のガキ大将みたいな匂いがする。良い意味で。

 

彼らは来る者拒まずで、1歳の男の子が混ざりたそうに見ていると、

声をかけて、一緒に砂遊びまでしてくれるのである。

大人でも出来る事じゃない。

 

実は、彼らはとても兄弟が多い。

お母さんにもお姉さんにも何度か会っているけれど、

一体全部で何人兄弟なのか、未だに分からない。

小さい子の扱いが上手なのは、そのせいもあると思う。

 

子ども2人でヒーヒー言ってる自分を思えば、

お母さんは、きっと大変だろう。

でも、明るく、逞しく、優しい彼らは、希望に見えた。

世間一般の、”手をかけられている”風ではないかもしれないが、

きっと、家族に愛されてるんだろうな、と思った。

 

「黒田好きなん?」

黒田投手のスマホカバーがついた携帯を見て、

野球兄弟の片割れに話しかけられた。

 

 

「そう。好きなんよ。カープで誰が好きなん?」

「あのねー、新井とねー、菊池とねー、丸とねー、エルドレッドとねー」

「いっぱいおるね」

「そう、みんな好き。カープぶち好きじゃけぇ。あ、でも石原は好かん」

「あはは、全然打たんけぇね。よう打つ人が好きなんじゃね」

 

私の目の前で素振りしながら、あどけない笑顔で話す彼を、

可愛いなぁと思う。

余計なお世話かもしれないが、

この子達に幸せになって欲しいなぁと思う。

 

夕方、家に帰ろうとした時、私達と入れ違いに、

別の少年がグローブとバットを持って公園にやってきた。

「よっ!」

と野球少年に声をかけ、自然とまた野球が始まった。

さすが、広島カープのお膝元。

 

赤く染まる空の下、名残惜しそうに公園を去る我が子らと、

手をつないで帰る。

右手にあーちゃん、左手にはる君。

「ねぇ、ママ、グローブとバット買ってぇ」

と言う子ども達。

「そうだね、次のお休みに買いに行こうね」

サイズ合うのあるかなぁ、どこで売ってるのかなぁと考えながら玄関をあけると、

旦那さんが作ってくれた魚の煮付けの匂いがした。

 

醤油の甘辛い匂い。うっすら夕日の入る部屋。

わんぱく坊主達の笑顔。砂で汚れた子ども達の服。

 

温かかった。愛おしかった。何もかもが。

 

自分が見ている光景が、まるで映画のワンシーンのように広がる。

背中から温風に包み込まれ、足元がふわりと浮かぶような感覚。

自然と眉尻が下がり、口角が上がり、息を吐いて、

「ただいま」。

 

人生の幸せは、こういう何気ない瞬間を

ちゃんと逃さずに拾い集められるかにかかっている、と思う。

 

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昨晩、「●●君ごっこ」と野球兄弟を真似たごっこ遊びをする、あーちゃんとはる君でした。もはや、ヒーロー(笑)

 

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