この子は、全部持っている | やどかり族の育自日記

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やどかり族(宿借り族=転勤族)の妻の育児の日々。
つたない母と子供の成長を、鼻歌うたうように綴ります。
「好奇心」「対話」「自立」「多様性」がキーワード。今のとこ(笑)

クラウドファンディング(インターネット上で、寄付を行う仕組み)で、
寄付をしたプロジェクトが、
広島の街中で、展示会に出展するというので、足を運んでみた。

広島で行われている様々な社会貢献活動の団体が、
自らの活動を各ブースでPRしている。

ブースに立つ人は、格好がシンプルで、愛想がいい人が多い。
自分の活動の説明になると、口調に熱が入り、早口になる感じも似ている。
多くの人を巻き込んでいく必要があるのだから、
尖った格好でもいけないし、口下手でもいけないのだろう。
(自然とそういう人が集まってくるのだと思うけど)

こういう場に足を運んで、いつも思うのが、
同じような活動に従事している人の雰囲気は、
みんな似通っているなぁという事。

システムエンジニアの方が集まる交流会、
クリエイティブ(デザイナー等)な仕事をする人たちの交流会、
ママ友に向けたお花見交流会、
過去、色々参加して来たが、どの会も全く雰囲気が違うし、
なおかつ、参加している人の雰囲気は、何となく似ている。

それは、仕事で求められるスキルから来るものだと思う。
営業マンは、話さないと仕事にならないけど、
システムエンジニアが、話すのが上手である必要はない。
すると、やはり、システムエンジニアの交流会は、
物静かな人が多く集まる。

社交的で、プログラムも書けて、絵も上手で、
いつでも冷静で、論理的に物を話せて、忘れ物もしない、
というような、完璧な大人はどこにもいない。
不完全でもちゃんと生きていける。

当たり前?
そう、当たり前なのに、我が子の不完全さは、
なぜかヤキモキしてしまうのだ。
ああだ、こうだ、とケチつけたくなる。

活き活きと自らの理想を語る社会活動家の方々を眺めながら、
人は不完全でいいのだ、と思っていた。

そして、子供は、たとえ傍から見て不完全であっても、
自分を幸せにするのに必要なものは、
生まれた時から全部持っている、と思った。

「この子は、落ち着きがないから」とか
「この子は、社交的じゃないから」と、親が子の将来を心配するのは、
それは、親が見てきた世界の大人と比較しているからに過ぎない。

業界変われば、世界が変わる。
世界は無数にある。
その子が持っている才能にふさわしい性格を、
子どもは必ず兼ね備えているものだ。
そして、いつか親の知らない世界に羽ばたいていく。

その過程には、試験を通らなきゃいけなかったり、
長い訓練で身につけなきゃいけない事もあるだろう。
でも、それを身につけよう、乗り越えようとする意志も、
努力できる力も、ちゃんと生まれつき持っている。

だから、親は何も心配しなくていい。
ただただ、信じていればいい。

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この気付きは、私の子どもを見る目を変えた。

「この子は、全部持っている」
そう思うと、イライラする事が本当に無くなったのだ。



昨晩、激しい姉弟喧嘩の末、あーちゃん(4歳1ヶ月)が、
かんしゃくを起こして泣き喚いた。
仲裁に入った私にも、泣き叫びながら叩いてくる。

あーちゃんは、怒ると唾をプッと吐きかけてくる癖があって、
「ママの意地悪!」
と言いながら、睨みつけて唾をはきかけてくる。

今まで、
「そのプッってやるの辞めてって言ってるでしょ!」
「何でそういう事すんの!?」
と、口をつまんだり、頭を叩いたり、
大人気なく、子どもと一緒になって怒り狂っていた。

自分が感情に任せて怒っていたのも多分にあるけれど、
もっと根底には、怒って言い聞かせないと、
娘がその悪い癖を直さずに、他の人にもやるんじゃないか、
という恐怖感があったんじゃないか、と思う。

でも、「この子は全部持っている」って思ったら、
私が力づくで辞めさせなくても、
この子は、ちゃんと理解できる日がくるって信じられた。

「あーちゃん、ママ、そうやって、プってやられると嫌な気持ちになる。
だから、辞めて欲しい」
冷静に話しかけたのだけど、怒り狂ってる娘は、
ギャーギャー泣き叫ぶばかり。
「ママの意地悪ー!ママ嫌い!」
と、声をカラカラにして叫んでいる。

顔が真っ赤だ。小さい赤鬼みたい。
ため息が出るほど、手がかかる。
でも、大丈夫。
この子は、ちゃんと、全部持っている。

「おいで」って呼びながら、両手を差し出すと、
赤鬼がフラフラ私の胸の中にやってきた。
細い体を、ギューっと抱きしめてあげたら、
怒りに満ちた叫び声はトーンダウンしていき、
赤鬼が「寂しかった」とさめざめ泣いた。

聞きながら、何故か私もウルっと涙ぐんだ。

怒りって不安の裏返しなんだな。
軌道修正しないと、ダメな大人になるかもしれない。
親が焦れば焦るほど、それは子どもへの怒りとなって向かうのだ。

でも、大丈夫、この子は全部持っている、って思うと、
親の方も安心して、叱ろうと思わなくなる。
親が包み込むと、子どもも安心して、怒りもおさまってくる。

あぁ・・これに気づくのに4年かかったなぁ。
もっと早く気づいていれば、イヤイヤ期も、
少しは楽に乗り越えられたかもしれないのに。

「子どもは、全部持っている」という気付きは、
「私だって全部持っているのだ」という気付きにつながり、
やろうと思った事は、何だって出来る、と私の未来も明るくなるのでした。


 

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