松山市住宅情報館会長日記 『空き家率』

 

 総務省の調査によると現在の日本の空き家率は820万戸を超えていると言う。その空き家率は13.5%になっている。日本の人口減少を加味して、このまま進むと15年後の空き家は2000万戸を超えると言う。空き家率は30%になると言う。30%が空き家と言う事は両隣のどちらが空いている状態だと言う。空き家率が30%を超えると地域のスラム化が進むと言われている。農村部に限界集落と言う言葉が出始めて久しいが、都市部ではスラム化が目の前まで来ている。隣近所の住人の年齢をチエックしてほしい。60歳以上の人が多い住宅団地であれば若者が好むかどうか、若者に売れるかどうかチエックする必要がある。若者は職場と買い物・病院、保育園や学校・行政サービスの整ったコンパクトシティー(再開発マンションや巨大団地)に住みたがる。

 

 松戸市や船橋市と言った東京都のベッドタウンで1戸200万円とか500万円とか投げ売りの住宅が売りに出されている。1戸建てだって駅近でない物件の空きが出始めた。判断基準は車に乗れない高齢者が安心して住めるかどうかで空き室が進むかどうかの分水嶺となる。まず交通、買い物、病院、これが高齢者にとって利便かどうかで不動産価値が決まる。空気がきれいとか景色がいいとかで価値は決まらない。その不動産から幾らの家賃・地代が見込めるかと言う収益還元法で決まるのだ。不動産価値は自分の好き嫌いではなく収益還元法で評価して判断しなければならない。不動産の価値は早い話が貸すこと・売ることが前提になる。

 

 アベノミクスとオリンピックを前にして日本の都市部や商業地域で地価上昇がみられる。こうした状況を見て土地価格が上昇したバブル期を思い出す人がいる。しばらく待てば郊外の住宅地も反転して上昇するのではないかという期待感である。ここで忘れていけないのは確実に進む高齢化と人口減少である。私に言わせれば住宅地と言われる地域は例外なしに全て下落に向かう。人口が8000万人になっても土地価格が下がらないのは都心部の商業地だけである。私の判断基準は交通、買い物、病院が徒歩5分(400m)以内の場所ならば不動産価格は下がらない。早い話が、近隣に空き家が出ない場所である。良い場所なら周囲が黙っておかない。空き家の出始めている地域はスラム化の歯止めが効かなくなる。そんな地域は早いうちに対策を立てる必要がある。