夏の農夫 | 山口粧太オフィシャルブログ『東京生活』

夏の農夫




咲きましたよ、去年の向日葵が。

実は今年は向日葵より唐辛子屋さんになりたかったので、春先に苗をいくつか植えてみた。
順調に成長を始めたある日、雑草とは違う、でもなーんか見覚えのある茎が2本、苗の間を掻き分けるようにして背を伸ばしているのに気が付いた。

 うぬ、これは… 向日葵。

撒いた憶えはないので、去年の花先から零れ落ちた種が芽を出したのであろう。

 おぬし、いつの間に…

嬉しくはあったのだが、出てきた場所が悪い。ほんと悪い。唐辛子のど真ん中。
高さが既に20cmはあったので、根を傷つけないように慎重に土を掘り、去年と同じ席に移してやった。

 よーし、ど根性向日葵、でっかくなれよ。とエールを送ったのだが…


翌日になると2本とも首をもたげてしまった。
引っ越しによる疲れは多少は予想していたので、多めに水をやり、頑張らなあかん!と念を送ってはいたのだが、日に日に弱っていくばかりなのだ。
植物に詳しい知人に相談すると、
「移植は小さな時じゃないと難しい。植木屋なんか成木(セイボク)を移動させる際は、あらゆる手を尽くして挑むのだが、死んでしまう可能性も低くはないので、あらかじめ代わりになる似た木を捜しておくらしい」

 あー、俺はやっちまったのか…

と、しょんぼりした夜を悲しげな月と過ごした次の朝。
それでも唐辛子屋を休業するわけにはいかないので、今度は俺が首をもたげて水やりに行くと…
なんと、向日葵に新しい葉が付いているではないか。

「おい、やったな!えらいぞ!」

と思わず声に出た気持ち、お察し頂けるだろう。
不思議なもので、同時に眼を覚ました2本の向日葵は、手品かと思わせる程の変化を続け、写真の大きさ(2m50cm)にまで成長を遂げた。おまけに1本は双子なのだ。

「来年もここだぞ!」 と、上から偉そうに俺に言う。




唐辛子屋の今日の収穫。
採れたては、何でもおいしいね。