韓国での写真展に対しての想い
![ベトナムからの風](https://stat.ameba.jp/user_images/20111028/23/y-murasan33/1d/06/j/o0560037111576132535.jpg?caw=800)
ベトナム戦争参戦47周年記念式典で黙祷をささげる元兵士たち
正直、来月韓国で写真展を開催するのは恐ろしい。尋常じゃない恐怖感が全身を覆っている。
そんな折、ベトナムに住む僕の父親代わりのおじさんからメールの返信が来た。
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実は、日本人の僕が韓国でベトナム戦争の写真展をすることに関して、本当に恐ろしく思っています。
触れてはいけない場所、タブーとされている場所を突くというのは、非常に勇気がいります。
ベトナムの 現場でも非常に怖い目に幾度も遭いましたが、それ以上の恐怖に今回襲われています。
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◆そうでしょうね。その気持ちは良く分かります。今 から未知の領域に入ろうとするあなたの今の決意の心中には、身震いするような気持ちを抱かれておられることでしょう。
それを聞きました時に、開高健さんと石川文洋さんのお二人が、「ベトナム戦争の戦場」に入ってゆく時に答えられていた言葉を、ふと思い出しました。
◆開高さんも石川さんも、同じように戦場に入って、記事を書き、写真を撮られましたが、「戦争の現場に入って行くというのはこわくないですか」という質問をした雑誌社のインタビューに、開高さんは次のように答えています。
「ものすごくこわいですよ。夜中に考えていたら、僕はもう体が凍えてしまってね。」
そしてお守り代わりにベトナム語で、 「私ワ日本ノ記者デス」「ドウゾ助ケテ頂戴」 と書かれた日の丸の旗を持参することにしたことも、インタビュー記事の中で明かしたと書いてあります。
石川さんは 「ジャーナリズム列伝」の中で、「何が自分を戦場に駆り立てたのか」について、次のように述べられています。
「戦場の真実を伝えるといった使命感はむしろありませんでした。戦場で何が起きているか、自分の目で見てみたいという気持ちの方が強かったと思います」
◆今回のあなたの写真展によって、戦争の事実を提示し、その時の韓国の人たちの反応をしっかりと、石川さんのように、「自分の目で見て」くればいいのではと思います。
そして私は韓国の人たちは、一歩相手のふところに飛び込んでくれば、胸襟を開いて語り合える人たちも多いのだろうと思いますよ。
あの●●さんの友人の、韓国人のお二人のように。
こういう歌もあります。
切り結ぶ 太刀の下こそ 地獄なれ
一足進めば そこは極楽
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この前のベトナム参戦戦友会、つまり韓国の右系の人が、ベトナムに謝罪し、黙とうを捧げたことに関して、驚きました。
本来、僕自身が持っていた韓国のイメージが覆りました。
「今ある、KTX (新幹線)、高速道路、橋、ソウルの発展はすべてベトナムのおかげだ。みなさん感謝し、戦場で亡くなった兵士、民間人に黙とうを捧げましょう!」と言うのです。
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◆そうですか!!その言葉を聞いて大変嬉しくなりました。やはり韓国の人たちの中にも、自らの過去を冷静に振り返ることが出来る人たちがいるのですね。
実際に目で見た村山さんの言葉ですから、大変重みがあります。
私は時に、ベトナムに●●さんを訪ねて来られた二人の韓国人の姿を思い返すことがあります。
あのお二人は、実に謙虚で、年長者に対しての礼を尽くされる人たちでした。韓国の文化を体現している姿を、お二人に拝見しました。
◆今回の韓国でのイベントを通して、多くの韓国人の知己を村山さんも得られることでしょう。またそうであってほしいと思います。
写真展の健闘を祈ります!!
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僕が勝手に師と仰ぐ報道写真家の石川文洋さんが「使命感より、現場で何が起きているかを自分の目で確かめる」といつも言われていることを、僕は忘れていた。
現場で何が起きているのか、韓国の人たちは、僕の写真を見て、どんな気持ちを抱くのか。
それを確かめるだけでいいのだ。
気負いせず、行こう!