シェアリングエコノミーに続く注目度の高いキーワードに「無人コンビニ」があります。7月8日、Eコマース最大手のアリババは、淘宝造物節(タオバオ・メイカーフェスティバルにて無人店舗「TAO CAFE――タオカフェ」の開店計画を発表し、二日後の10日、アリババ本部所在の杭州で第一号店をオープンさせました。
タオバオのIDさえあれば、入店も決済もすべてフリーパス。顔で認証すれば、入店を許され、決済もすべてAli Payで済まされるからです。開業初日、見物も含めて1万人の顧客が殺到したということです。
しかし、この「TAO CAFE」は無人店舗の第一号ではありません。昨年8月、広東省の中山市で生鮮フルーツ(O2O)販売のプラットホームBingo Freshが運営するBingo Boxが無人店舗の第一号とされています。このほど上海にも登場した「Bingo Box」はその言葉の通り、約15㎡のコンテナ店舗で、24時間無人営業、商品点数は賞味期間の長い食品やドリンク、日常用品など約500種類が並べられています。現在全国で20店舗以上展開していますが、開業から現在で盗難や万引きなど一度も発生していないと言います。それもそのはず、お店は自由に出入りするものではなく、入店するにはQRコードで本人認証し、本人の携帯や実名、決済アプリ(口座連動)など個人情報とすべて連動していますので悪い知恵でも働こうとしたらすぐに本人を特定されるのでたかが十数元の商品のために捕まれるのはコストが高すぎると利用者も賢くなっています。
アリババが参入するまで、すでにbingo Boxのほか、F5未来商店やTake Go、Easy Goなど様々な形態の無人店舗が展開されています。
こうした無人店舗を支えているのは、RFID(Radio Frequency Identification)という決済システムで、本人の特定と決済はスマホのアプリで完成させることに特徴があります。無人だから商品は安いだろうと思われがちですが、本人認証や商品管理などシステムの開発には初期投資は決して安いわけではありません。しかしBingo Boxのようにコンテナ式営業ですと、小売業にとってネックになっている店舗の賃借が必要とされなくなり、その分、賃料を節約できますので、一般の有人コンビニと比較した場合、全体のコストは約四の分の一とされます。
無人コンビニと言えば、Amazon Goが先駆者とされ、アマゾン米本社で第一号店を試験的に営業開始して以来、ベンチャーや創業者にも注目されていますが、しかし中国の起業家たちの行動がもっと素早かったのです。そこにビジネスチャンスがあると見て、VCやPE投資もすでに始めています。6月28日、VCの「創新工場」は前出「F5未来商店」に対して3000万元(約4億9000万円)の初期投資を完了したと発表しました。続いてBingo Boxも7月3日、VCからの1億元(約16億円)の融資を受け、今後一年以内に全国で5000店舗を展開していく計画を明らかにしました。
日本では、オフィスに無人のコンビニボックスを設置するするサービスが30年ほど前からありましたが、残業や小腹がすいた時に100円を投入して好きなお菓子を一個取り出したりするものでした。30年が経った今でも中身が若干変わったものの、コンビニボックスの形態そのものに何ら変わりはありませんでした。
そのような意味で、中国の社会の変化に驚異的ものだと言わざるを得ないものと感じました。
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