すぐにOpenGL ESにはいきません。
 まずは、どうやって3次元座標データがモニター画面上の遠近感のある画像になるのかって話から。
 例えば、こんな立方体。

テン・シー・シー-cube

 三次元座標値 x, y, zで構成される頂点の配列p[0]~p[7]からど~うやったら、こういう遠近感のある表示になるのか、ちゅ~話ですわ。

 単純に考えれば、目の前にモニタ画面があると仮定して、目から出て画面上の各ピクセルを通る直線がそのままのびると、空間上のどの物体と交わるかを計算し、交わる物体の色でそのピクセルを表示すればいいわけです。

テン・シー・シー-fig.3

 空間上の目の座標、モニタ画面のピクセルの座標が決まれば、あとはその2点を通る直線方程式と、物体平面の方程式とで交差するかを計算できるので、交差した場合、物体の色、交差しなければ空間の色を表示するという処理をモニタ画面すべてのピクセルでおこなえばいいじゃな~い。というわけです。

 レイトレースですな。

 で、これはかなり時間かかる作業なんで、リアルタイム3次元表示には向かないんですが、この応用で、例えば上の立方体の場合なら、p[0]~p[7]の頂点と視点で直線を作り、これがモニタ画面上のどのピクセルと交差するか計算して、各頂点のモニタ画面上の位置を計算したら、あとは普通の平面上の2点間として線でむすんじゃえ~てやると、かなり計算が省略できるわけです。

テン・シー・シー-a1
1つめの頂点のモニタ画面上の座標を求める。

テン・シー・シー-a2
同じように2つめの頂点のモニタ画面上の座標を求める。

テン・シー・シー-a3
その間を結ぶラインは、画面上の頂点の2次元座標同士で結んでしまう。

 で、これよりもっと単純なのが、視点を原点とし、z軸をモニタ画面平面と垂直、中心をとおるようにしてしまう方法。

テン・シー・シー-4

 この場合、視点とモニタ画面までの距離と、視点と頂点までの距離の比率が、そのまま物体のモニタ画面での縮小率として利用できることになるわけです。小学校で習う三角比ですわ。

テン・シー・シー-5
視点とモニタ画面までの距離aと視点とチューリップまでの距離bの比率は、そのままモニタ画面上のチューリップの大きさと実際のチューリップの大きさの比率と一致する。

 ここから、頂点pのx,y,z座標は、視点からモニタ画面までの距離screen_zを使い以下のようにモニタ画面上でのx',y'座標に変換できるわけです。

x' = screen_z/z * x
y' = screen_z/z * y

つーわけで、上記の関数を作るとこうなります(2次元座標のCGPointにならって3次元座標構造体Point3dも定義してる)。

typedef struct {
double x;
double y;
double z;
} Point3d;

double screen_z = 1.0; // 目からモニタ画面までの距離

// 透視変換。inPt3dの3次元座標を、モニタ画面上の2次元座標に変換してoutPt2dに入れて返す。
void projection(const Point3d* inPt3d, CGPoint* outPt2d)
{
double scale = screen_z / inPt3d->z;
outPt2d->x = scale * inPt3d->x;
outPt2d->y = scale * inPt3d->y;
}

 この変換関数を使う3次元版のCGContextMoveToPointやCGContextAddLineToPointをそれぞれ

void move3d(const Point3d* inPt3d)
void line3d(const Point3d* inPt3d)

として用意。
 あとは、このmove3d、line3dで各頂点間をラインで描画するだけです。

テン・シー・シー-1
ほらね。透視図っぽいでしょ。つっても画面に平行か垂直な面ばっかなんで、一点透視にしかならないんだよね~。ほんとに最初の立方体のような描画できるんけ~という声が大半と思われ。
そんなあなたに、次回は回転!

 サンプルプロジェクトではWindow-Based-ApplicationテンプレートでProjectionというプロジェクトを作り、ProjectionAppDelegate.mソース内にUIViewを継承したProjectionViewクラスを定義、実装してます。
drawRectメソッドでやってる

CGContextTranslateCTM
CGContextScaleCTM

は、3次元空間上のモニタ画面座標への描画が画面いっぱいに表示されるようにしてる処理っす。

 サンプルソースの詳細も次回。
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サンプルプロジェクト:Projection.zip