デヴィッド・ボウイ分析(19) ギターリスト選びに定評があるボウイ | デヴィッド・ボウイ(DAVID BOWIE)を100倍楽しむ方法

デヴィッド・ボウイ分析(19) ギターリスト選びに定評があるボウイ

2009年12月13日(旧)
デヴィッド・ボウイ分析(19) ギターリスト選びに定評があるボウイ
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ボウイは以前からギターリストを選ぶのが上手いという定評がありました。ボウイの場合、他のアーティストに比べて音の変化が激しいのですが毎回ピタリとハマるギターリストを参加させていると思います。ミュージシャンという職業というより根っから音楽が好きなんだと思います。しかも様々な音楽が.....。そしてこのあたりにボウイの変容の秘密があるような気がします。まずほとんど説明不要のMICK RONSONですが金属的な響きがジギー期にピタリと合ってると思います。次にEARL SLICK、この人は「DAVID LIVE」、「YOUNG AMERICANS」、「STATION TO STATION」、そして最新の「REALITY」にも参加しているわけですがアーシーで少し土の香りのする音でアメリカナイズされたソウルフルなアルバムに合うと思います。「HEROES」と「SCARY MONSTERS」に参加したROBERT FRIPP先生(ちなみに本当にギターの先生です!)、1974年のKING CRIMSON解散後"フリッパトロニクス"と呼ばれる独自の奏法を編み出し、「SCARY MONSTERS」で素晴らしいギターを披露、これ以上ない貢献をしたのは逆風のPUNK、NEW WAVEシーンの中で自分の存在を示す必要があったのでしょう。「STAGE」と「LODGER」に参加したADRIAN BELEWは当時所属していたFRANK ZAPPA BANDのツアーをBRIAN ENOが見て、ボウイに進言、ボウイからZAPPAへ電話を入れる形で参加したという経緯があります。変幻自在なギターリストでやEARL SLICKや後のSTEVIE RAY VAUGHANに比べると泥臭さが全く無くTALKING HEADS、KING CRIMSONなどの知性派バンドを渡り歩いたのには納得してしまいます。そして「LET'S DANCE」のSTEVIE RAY VAUGHANですがこの人は「LET'S DANCE」に参加以前、完全に無名でクラブでプレイしていたのをボウイがスカウトしたという経緯です。JIMI HENDRIXを更に骨太にしたようなブルース色の濃い音でモータウンやビッグバンドを1980年代に再現した「LET'S DANCE」にピタリとハマりました。ボウイはレイ・ヴォーンをかなり気に入っていたみたいでSIRIOUS MOONLIGHT TOURにも参加予定でしたが降板、急遽EARL SLICKが参加するのですが、このあたりもやはりボウイは上手でレイ・ヴォーンのギターもEARL SLICKと同様アーシーさがあるのでEARL SLICKに交代しても大して違和感が無いわけです。既に故人ですがこの人をスターに押し上げたのは紛れもなくボウイでしょう。ボウイとの付き合いが一番長かったのが「TIN MACHINE」から「HOURS」まで10年に渡って参加したREEVES GABRELSです。10年になるのに不思議とロンソンとの4年間の方が長く感じてしまうのが不思議です。ボウイ曰く"過去のギタリストの良い部分を集めた感じ"、エキセントリックとでも言えばいいのでしょうか?ボウイのメロディが以前と比べて弱くなってきた時期をよく支えたと思います。最後に一人抜けましたが「NEVER LET ME DOWN」に参加したPETER FRAMPTON。親父さんがボウイの出身校の先生でありフランプトンはボウイの後輩(ボウイより3歳年下ながら最初のバンドTHE HERDが世に出たのは1968年でボウイより早い)にあたります。名盤「COMES ALIVE」がありギターリストとしても超一流だったのですが「COMES ALIVE」以降パッとしなかったのをボウイが気にしてか?「NEVER LET ME DOWN」及びGLASS SPIDER TOURに参加。ツアー中の"LOVING THE ALIEN"ではボウイの期待に応えるように後半のストリングス・パートをギターに置き換えた名演を披露、これはボウイの優しさが出た人選かもしれないですね。

Never Let Me Down [ENHANCED CD]
Never Let Me Down [ENHANCED CD]



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David Bowie/Loving The Alien Live 1987