先日の「Korakuen Stadium 1972 (Virtuoso 200)」,「Definitive Hollywood Bowl 1971 (Virtuoso 207)」に続いて,エマーソン・レイク&パーマーもの.

 アルバム「Brain Salada Surgery (恐怖の頭脳改革)」リリースに伴って,1973年11月14日米国はフロリダ州マイアミのハイアライ・フロントン公演を皮切りに行われた「Brain Salada Surgery Tour」の約半年前,つまり「Brain Salada Surgery (恐怖の頭脳改革)」リリース前に「Someone Get Me A Ladder Tour」と銘打って行われた欧州・北欧ツアーから,ツアー中盤に当たる 4月15日スイスはチューリッヒのハレンシュタディオン公演を収録したものです.

 未だ「Brain Salada Surgery (恐怖の頭脳改革)」リリース前で,且つレコーディング中だったという事もあり,この時期の公演では "Karn Evil 9" に関しては "Tarkus" の前か,後に "1st Impression" のみが披露されています.同曲のアレンジも同年11月からの北米ツアーを収録したオフィシャル・ライブ「Ladies And Gentlemen」に比べると,まだ粗削りであり,ある意味新鮮です.

 また "Still You Turn Me On","Toccata" が披露されるのも,このツアーからで,"Still You Turn Me On" は,オフィシャルと歌詞が異なっており,「Brain Salada Surgery Tour」では,30分を超える演奏もざらにある "Tarkus" は,23分程度にまとめられたコンパクトな演奏となっています.
 
 ちなみに,このツアー後の 6月から再度「Brain Salada Surgery (恐怖の頭脳改革)」のレコーディングを再開し,11月の北米ツアーに合わせて,リリースが行われます.

 音像は相応に近く,何故か "Tarkus" の 7分09秒~19秒まで,音のレベルが落ちているものの
,各楽器音のバランスも良く,全体を通して,高音質な音源と言えるでしょう.

 メーカー情報では
 『1973年「Brain Salad Surgery」製作前に、3月末から5月上旬にかけて行われたヨーロッパ・ツアー("Someone Get Me A Ladder Tour")より、4月15日のスイスはチューリッヒ公演を極上レベルの超高音質オーディエンス録音で1時間31分収録。
 この音源は、過去に某トレーディングリスト上で「トレ禁音源」として扱われていたもので、元々がツアー屈指のクオリティを誇る、まさにプレス盤リリースに相応しい音の格と質を兼ね備えた大傑作音源です。
 本盤は、現行リマスター処理により、既発盤CDRタイトルを完全に凌駕するパーフェクトな一枚に仕上がっています。既発を知る人なら、冒頭からあまりの音の良さに驚愕すること間違いありません。
 オープニングは「Abaddon's Bolero」で、この曲のプロショット映像が先日ネットを介して出現、ファンの話題をさらったのは記憶に新しいところ。イントロで聴こえる Toccata 風のカールのドラムとキーボードの重低音から、この音源が只者でないことは容易に理解できると思います。
 Karn Evil 9 1st Impression のプロトタイプ、そして「ここまで速く演奏する必要があるのか?」と思わせる、まさにぶっ飛びの Tarkus と、最強の演奏を最高音質で楽しめます。

 おそらくELPが最も勢いに乗っていた時期がこの1973年春のヨーロッパ・ツアーではないでしょうか。定番化したステージを再構築することで、大いにリフレッシュさせ、その演奏の肝の部分をダイレクトにぶつけまくるこの時期の演奏の凄まじさは、誰にも再現できない独特の質感を放っています。
 ベストトラックは間違いなく Tarkus で、初期の荒さとはまた違った形骸化とは無縁のオリジナルな魅力を満載した演奏を楽しむことができます。このムーグの高音がここまでしっかりと録音されていたのは奇跡的と言っても良いかもしれません。ファン必聴のパートが次々に現れます(特に Aquatarkusパートが凄すぎ!)。ELPのブートでここまで美味しいタイトルはこれまで無かったかもしれません(曲途中、更には、最後の最後でややテープの劣化が確認できますが99%最高レベルの音質で楽しめます。)。
 ディスク2では、Jeremy Bender / Sheriff でカセットテープ特有の経年劣化が確認できますが、Sheriff後半になると音像も落ち着いてきます。
 Take A Pebble 以降は全く問題ありません。Take A Pebble に組み込まれたグレッグのアコースティックパートは聴き所で、 Still You Turn Me On の未完成ヴァージョン(これも素晴らしい)に続く、曲調がガラっと変わる You Never Heard A Word(歌入り)なる小品は珍しく、まさに必聴パートになっています。10分近いピアノ・インプロヴィゼイションも聴きごたえ満点。
 Hoedown 終演後、キースが「カールのスネアドラムが壊れたので交換するからちょっと待って下さい」とMC。カールの軽いドラム試奏の後、15分の Pictures At An Exhibition がメインセットを締めます。Promenade から The Curse / Hut Of Baba Yaga - Gates Of Great Kiev と続く演奏ですが、Baba Yaga パートの狂乱の史上最速演奏ぶりは圧巻。Gates Of Great Kiev のエンド直前でのフェイドアウトが残念ですが、間違いなく、近年のELPライブ盤の中でもダントツ1位の内容と圧倒的魅力を誇る一大決定版。歴史的名録音盤が、満を持してのプレスCDで登場です。』

Zurich 1973 (Virtuoso 208/209)
 
 Live At Hallenstadion, Zurich, Switzerland 15th April 1973

 Disc 1
  1. Abaddon's Bolero
  2. Karn Evil 9 1st Impression
  3. Tarkus
  TOTAL TIME (41:50)

 Disc 2
  1. Jeremy Bender / Sheriff
  2. Take A Pebble
  3. Still You Turn Me On
  4. You Never Heard A Word
  5. Lucky Man
  6. Piano Improvisation
  7. Take A Pebble (Reprise)
  8. Hoedown
  9. Pictures At An Exhibition
  TOTAL TIME (49:11)

 Keith Emerson - Keyboards
 Greg Lake - Bass, Guitar & Vocal
 Carl Palmer - Drums & Percussion

 Abaddon's Bolero
 
 Karn Evil 9 1st Impression
 


 本商品には,以下の二特典が付属しています.

 一点目は,初回プレス分のみの付属となりますが,本公演と同日の1973年4月15日のチューリッヒ公演から,オープニングナンバー「Abaddon's Bolero」のライヴ映像を2ヴァージョン(音源をシンクロさせたもの と シンクロ前のオリジナル),プロショット映像で収録した「Abaddon's Bolero Live In Zurich 1973 (Bonus DVDR)」です.

 これは最近ネット上にアップされ,10月初頃に同店のギフト・アイテムとして配布されていたものです.

 メーカー情報では
 『今年に入って、突如、ネット上にアップされ、世界中のプログレファンを驚愕・狂喜させた高品質レア映像をDVDR化。
 1973年「Brain Salad Surgery」製作前に、3月末から5月上旬にかけ行われたヨーロッパ・ツアー「Get Me A Ladder Tour」より、4月15日のスイスはチューリッヒ公演から、オープニングを飾った「Abaddon's Bolero」の3分30秒のライヴ映像を驚愕のプロショットで収録。
 1973年ヨーロッパの映像と言えば、ツアーの様子をリアルなドキュメント映像で捉えた Old Grey Whistle Test、通称「Manticore Films」があるわけですが、本作はそれとは完全別モノ!
 こちらはスイスのテレビ局が独自に製作したものらしく、それが近年 SRF TV で放送された、とのことです(画面右上段に小さく番組ロゴが入っています)。その映像に独自にオリジナル・オーディオをシンクロさせたのがTRK1。編集前がTRK2というわけです。まずは圧巻の

 TRK1「Remastered & Synched」をご覧ください。
 当時の雑誌の写真をバックに強烈なボレロ・ドラムが鳴り響き、15秒後、ELPロゴの巨大なステージカーテンが左右に開かれます(なんて美しい映像!)。23秒目から 7秒間、そして38秒目から約10秒間、セカンドカメラと画面がスプリットするという独自な編集が観れますが、ステージスモークがたかれる中、本当に Abaddon's Bolero を演奏するELPのステージに、ファンは思わず感涙してしまうのではないでしょうか。
 50秒台のカールのアップに「うわ、音と絵がシンクロしている」と思い、1分台前半30秒間では、初めて観るやや前かがみになってメロトロンを弾くグレッグの姿に驚愕します(この姿を映像で観れるなんて!)。
 カメラは次に両手開きのポーズで2台のキーボードを操るキースの勇姿を捉えます。以降は三脚で捉えられたカメラがステージを左右にゆっくりと写していきますが、ドラマチックな曲調と共にその盛り上がりはピークに達します(イヤーこれは凄い!)。ラストはキースの挨拶で終了。(ネットにアップされた大元テイクでは1:52で右チャネルにオリジナル・オーディオに起因すると思われる大きなアナログノイズがありますが、本盤では修正済みです)。

 TRK2「Original」では、その編集&修正前のオリジナル映像を4分15秒観ることが出来ます。こちらはTRK1未収の37秒のリハーサルとステージ向かうメンバーの様子を捉えた38秒の映像を冒頭で観ることができます。
 ライヴの映像そのものはフィルム然としており、音と絵もシンクロしていませんが、元の素材はこうだったことを確認できる、これまたファン絶対必携・必見映像。これも貴重極まりない映像ですが、ここからTRK1までもっていくリマスター・マンの力量にはこれもまた驚きです。いずれにせよ、初めて目のあたりにする、1973年ユーロツアー伝説のオープニング曲「奈落のボレロ」のライヴ映像。プレス盤「ZURICH 1973」のボーナスタイトルとして、これに勝るものはないでしょう。オリジナル・メニュー付き。』

Abaddon's Bolero Live In Zurich 1973 (Bonus DVDR)
 
 Live At Hallenstadion, Zurich, Switzerland 15th April 1973
 PRO-SHOT Colour NTSC. 8min

 

 1. Remastered & Synched
 2. Original

 
 実際の映像は,過去ブログ『Abaddon's Bolero:Live In Zurich 1973 (Gift DVDR)』を参照ください.

 二点目は,初回ナンバー入りステッカー付きに限ってとなりますが,本商品に収録された公演の 4公演前に当たる,4月10日ドイツはルートヴィヒスハーフェンのフリードリヒ·エーベルト・ハレ公演をオーディエンスでほぼ完全収録した「Ludwigshafen 1973 (Special Bonus 2CDR)」です.
 この日の音源は既発で Hightlandレーベルから「Ganton 9 (Highland HL550/551)」としてリリースされているようですが,こちらは持っていないので,比較はできません.(ちなみにこの日の音源は,3種類前後あるようです)

 こちらの音源も,録音時の年代を考えれば,かなりの高音質ですが,テーパーがテープを何回も使い回して上書き録音している関係か,あるいは世代を重ねたコピー時に,上書き録音した影響が出たものかは不明ですが,メーカー情報にあるように,"Take A Pebble" の導入部,"Lucky Man" 終盤部,"Piano Improvisation" 導入部,"Take A Pebble (Reprise)" 終盤部,"Pictures At An Exhibition" の 2分55秒~ 3分39秒 等は特に別の音楽がバックで強く聴こえてしまうのが非常に残念です.

 この日の "Tarkus" における "Aquatarkus" の,エマーソンとレイクの演奏は興味深く,何と言っても,注目は,アンコールで演奏されている20分を超える "Toccata" でしょう.この時期,パーカッション・シンセサイザーを使用しておらず,ドラム・ソロの最中に当たる 12分40秒台~13分10秒台まで,カールの叩くドラムのリズムに合わせて,観客が手拍子をするのも微笑ましいです.
 またドラム・ソロ終了後の16分25秒からは,クレジットはされていませんが,"Rondo" へとなだれこみます.
 
 この "Toccata" ですが,残念ながらカット・インで始まり,01分42秒~47秒までテープ劣化の関係か,音のレベルが低くなりますが,01分48秒からは,導入部よりも音が安定し,高音質となります.またドラム・ソロを契機に "Rondo" になだれ込んだ 17分14秒にもテープ劣化に伴うドロップ・アウト等がありますが,この演奏は迫力があります.

 この音源の(別の音楽が被らない)マスターがの発掘を切に願いたいですね.

 メーカー情報では
 『1973年4月10日のドイツはルートヴィヒスハーフェン公演を高音質オーディエンス録音で 2時間に渡ってほぼ完全収録。
 2トラック目の Karn Evil 9 1st Impression の8分台の音劣化、更には Tarkus の15分台、更にはディスク2の前半(Take A Pebble全体)での静かなパートで別の音楽が重なって聴こえてしまう(これが痛い、勿体ない!)という失点さえなければ、問答無用でプレスCDでリリースだろうと思える、高品質音源タイトルです。
 高音の音のクリアーさ、全体の籠りの少なさは特筆すべきものがあり、ここまで優れたマスターがこれまで秘匿されていたことに驚かされる音源です。ツアー屈指の最高音質だからこそ、別の音楽が重なって聴こえてしまうパートは本当に惜しい。Hoedown のイントロでのムーグチューニングの音の良さは異様な程で、ここだけとれば本当に「Definitive Hollywood Bowl 1971」レベルです。ここからのコンサートエンドまでの46分は本当に凄い。
 特に貴重なのはドラムソロがフィーチャーされた22分に及ぶ初期アレンジの Toccata です。このテイクを「ZURICH 1973」のボーナストラックとして使用しても良かったと思う程の、今年ELP音源を代表する大傑作テイクです。この時期のToccataを、ここまで優れた音で聴けるとは…。こういうのを聴けば、コレクターの皆様も「まだまだ引退するわけにはいかないな」と思うのではないでしょうか。衝撃の一枚。』

Ludwigshafen 1973 (Special Bonus 2CDR)
 
 Live At Friedrich-Ebert-Halle, Ludwigshafen, Germany 10th April 1973

Disc 1
  1. Abaddon's Bolero
  2. Karn Evil 9 1st Impression
  3. Jeremy Bender / Sheriff 
  4. Tarkus incl. Epitaph
  TOTAL TIME (49:20)

 Disc 2
  1. Take A Pebble
  2. Still You Turn Me On
  3. You Never Heard A Word
  4. Lucky Man
  5. Piano Improvisation
  6. Take A Pebble (Reprise)
  7. Hoedown
  8. Pictures At An Exhibition
  9. Toccata (Incl. Drums Solo)
  TOTAL TIME (71:52)  

 Still You Turn Me On
 
 Hoedown
 

[参考]
 Ganton 9 (Highland HL550/551)
 

トリロジー(紙ジャケット仕様)



恐怖の頭脳改革(紙ジャケット仕様)



レディーズ&ジェントルメン(紙ジャケット仕様)




 Someone Get Me A Ladder Tour [1973]
  March
   30 Ostseehalle, Kiel, Germany
   31 Philipshalle, Dusseldorf, Germany

  April
   01 Forest National, Brussels, Belgium
   03 Saint-Quen, Paris, France
   04 Arena, Poitiers, France
   10 Friedrich Eberthalle, Ludwigshafen, Germany
   11 Friedrich Eberthalle, Ludwigshafen, Germany
   12 Stradthalle, Freiburg, Germany
   13 Sporthalle, Cologne, Germany
   15 Hallenstadion, Zurich, Switzerland
   16 Ernst-Merck-Halle, Hamburg, Germany
   17 Branby Hall, Copenhagen, Denmark
   18 Scandinavum, Goteborg, Sweden
   21 Oude Rai, Amsterdam, Holland
   22 Westfallen-Halle, Germany
   23 Munsterland-Halle, Munster, Germany
   24 Olympiahalle, Munich, Germany
   25 Stradthalle, Vienna, Austria
   26 Stradthalle, Vienna, Austria
   28 Velodromo Vigorelli, Milano, Italy

  May
   02 Studio, Bologna, Itally
   03 Bologna Palasport, Bologna, Italy
   04 Milano Vigorelli, Milan, Italy

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