オフィシャル・アルバム「Atom Heart Mother (原子心母)」リリースの翌年.ピンク・フロイドは,1月15日ロンドンはチョークファームのラウンド・ハウス公演から英国内ツアーを開始します.そしてそれに続けてドイツ,フランス公演を行い,約1ヶ月のブレイクをはさみ,4月3日のオランダ公演,4月16日から再度英国内ツアーを開始します.
 本CDは 4月16日から開始された 2度目の英国内ツアーから 5月15日にロンドンのクリスタル・パレスで行われた野外公演を,オーディエンス収録したもので,既発では HIGHLANDレーベルから,2005年に「Crystal Echoes (HL662/663)」のタイトルでリリースされています.
 この「Crystal Echoes (HL662/663)」も,録音時期が40年以上前という事を考えれば,かなり良好なオーディエンス録音の部類に入るのですが,今回はメーカー情報にも記載されている通り,今年に入って世代の若いテープ音源がネット上にアップされたのをきっかけに, Sigmaレーベルがトリートメント等を施し,新たに「Crystal Palace 1971 (Sigma 93)」としてリリースしたものです.
としてリリースしたものです.
 野外公演の関係か,音像が遠く多少篭っています.また曲間等含めて豪雨の影響でのオーディエンス・ノイズも多い音源です.
 ピンク・フロイドはオーケストラおよび聖歌隊なしの 4人編成で,ロジャー・ウォーターの "OK Here We Go" (あるいは "I Say, Can We Go ?") のかけ声と共に,SE(:Sound Effects) を伴った "Atom Heart Mother" の演奏を開始しますが,その演奏中に豪雨に見舞われたようです.演奏する側は屋根がある関係もあり "Atom Heart Mother" を継続して演奏します.音源には終盤部近くからそれを裏付ける強い雨音が終始バックに収録されています."Atom Heart Mother" 終了後に,テーパーが豪雨に対してどうするか話をしており,この会話は "Careful With That Axe, Eugene" の演奏にモロに被っています.そして "Fat Old Sun" でも導入部にはオーディエンス・ノイズがあり,"Fat Old Sun" 終了後にテーパーが,テープを停止します.但し次の "The Return Of The Son Of Nothing" のロジャー・ウォーターズの曲紹介時にはスタートしているので,曲が収録されていない訳ではありません.
 この公演で "The Return Of The Son Of Nothing" として,後の "Echoes" が披露されていますが,文献上では,4月22日英国はノーフォーク州(ノリッチ)公演とされ,1975年のツアー終了時まで演奏され続ける "Echoes" ですが,ここに収録されているものは初披露から 3公演目に当り,音源として残された最古の記録になります.まだオフィシャル・アルバム「Meddle (おせっかい)」に収録されている完成版とは,歌詞もエンディングも異なっています.銅鑼の音から開始される "Set The Controls For The Heart Of The Sun" は,演奏終了後の11分26秒にドロップアウトがあり,その後テープがカットされています.但し,続く "The Embryo" も終演後にカットアウトとなります.

 [参考]に載せている当日の写真で,デイブ・ギルモアの方は "A Saucerful Of Secrets" を演奏している際のものです.またメーカー情報にもありますが,この野外公演にはピンク・フロイドの他に,ザ・フェイセス,マウンテン,クイバーが参加していました.

メーカー情報では
 『ピンク・フロイドをトップビルに、フェイセス、マウンテンらが名を連ねて行われた1971年5月15日、ロンドンはクリスタル・パレス・ボウルでの野外コンサートを高音質オーディエンス録音で、過去最良・最長の1時間40分に渡って収録した、同公演決定盤が、好評Sigmaレーベルより登場です。
 本公演は、Echoes(この当時は Return Of The Son Of Nothing と呼ばれていた)最初期(最古)のライヴ音源が聴けるという点において、非常に重要。
 既発には2005年にHLレーベルよりリリースされていた「Crystal Echoes」がありましたが、本盤で使用されているテイクのジェネの若さは一聴して判るレベルであり、過去最良の鮮度抜群のサウンドでこの歴史的コンサートを堪能することができます。
 Atom Heart Mother 開始前のチューニングタイムからして、なんと1分40秒も長く収録されており、ジェネの違いから来る音の鮮度の良さ・音の近さは、まるで別物のサウンドでスピーカーから飛び出してきます。近年出現したカセットマスターからの1st Gen DATマスターを使用しているとのことですが、本レーベルは高かったピッチを調整、左右のバランスを整え(もともとモノラル音源)、散見されたアナログノイズを原音に影響が出ないように丁寧に除去したベスト・ヴァージョンを作成しました。
 文献によると、Echoes 初演は4月22日のノーフォーク公演とのことですが、このコンサートの音源は現時点においても出回ったことはなく、現状、前述の通り、Echoes最古のライヴ音源ということになります。同じく文献によると、「ステージ前の池にいた魚がショック死した」とありますが、真偽はさておき、それを裏付けるかのような、異様に生々しい、剥きだしそのものの生々しい迫力満点の演奏を聴くことができます。Return Of The Son Of Nothingと呼ばれたこの初期 Ehoes では、20分台のエンディング部分で最終版にはない、2声のコーラスが延々とフィーチャーされており(まさに幽玄そのもの)、公式版とは全く違うアレンジになっています。またご存知の通り、歌詞もこの段階では最終とは全く違うものになっています。野外特設ステージと言う事で、通常ライヴ以上に、特殊照明や音響装置に頼らないストレートな演奏が聴けるのもこの日(音源)の特徴で、その生身のストイックな演奏がファンには堪らないでしょう。
 ラストの A Saucerful Of Secrets と Astronomy Domine が未収ですが、本編に関しては、録音者が延々とテープを回しているので(一部カットはありますが)、曲間の長いチューニングタイムもそれぞれ生々しく記録されているのが本音源の特徴です。
 マニアックな音源だった1971年クリスタル・パレスが、これにて、誰でも楽しめる最良盤に変貌しました。今年のフロイド・タイトルを代表する1枚になること必至の名音源の究極アップグレード盤の登場です。』
との事.

Crystal Palace 1971 (Sigma 93)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - Crystal Bowl 1971 (Sigma 93)
 Live At The Crystal Palace Bowl [Garden Party],London,UK 15th May 1971

 Disc 1
  1. Tuning
  2. Atom Heart Mother
  3. Tuning
  4. Careful With That Axe, Eugene
  5. Tuning
  6. Fat Old Sun
  TOTAL TIME(48:24)

 Disc 2
  1. Tuning
  2. The Return Of The Son Of Nothing
  3. Tuning
  4. Set The Controls For The Heart Of The Sun
  5. Tuning
  6. The Embryo
  TOTAL TIME(50:13)

 Fat Old Sun
 
 The Return Of The Son Of Nothing (Part 1)
 
 The Return Of The Son Of Nothing (Part 2)
 
 The Embryo
 


 本CDの初回プレス分には 2つのボーナスが付いています.
 一点目が,1971年8月15日オーストラリアはシドニーのランドウィック競馬場での野外公演の様子をプロショットで捉えた映像「GTK 1971 (Bonus DVDR)」です.
 この当時,5月15日のクリスタル・パレス,8月06日,07日の箱根アフロディーテ,そしてこのシドニー・ランドウィック競馬場と幾つかの伝説的な野外コンサートで世界中のファンを魅了していたピンク・フロイドの姿を,楽しむことができます.

 GTK 1971 (Bonus DVDR)
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - GTK 1971 (Bonus DVDR)
  Originally Broadcast By GTK (Get To Know) On ABC TV
    In Australia On 23rd August 1971 Pro-Shot

  $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - GTK 1971 (Gift DVDR) - 2
 

 二点目は「A Saucerful Of Secrets (神秘)」のUKオリジナル・モノラル・マトリクス1,通称“ブルー・コロンビア”よりアナログ落しでCD化した「A Saucerful Of Secrets (Bonus CDR)」です.

  A Saucerful Of Secrets (Bonus CDR)
  $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - A Saucerful Of Secrets (UK Mono)
  Mono Version Of "A Saucerful Of Secrets (SX 6258)"
           Taken From The Original Record Disc.

[参考]
 Crystal Echoes (HL662/663)
  $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd Crystal Echoes (HL662/663)

 当日のプログラム表紙
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF Crystal Bowl 1971-05-15
 当日の写真
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF Crystal Bowl 1971-05-15cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF Crystal Bowl 1971-05-15


1971
 January
  17 Implosion,The Roundhouse,Chalk Farm,London,UK
  23 Refectory Hall,University Union,Leeds University,Leeds,UK

 February
  03 Great Hall,Devonshire House,University Of Exeter,Exeter,UK
  12 Lecture Theatre Block 6 & 7,University Of Essex,Wivenhoe Park,Colchester,UK
  13 Student Union Bar,Farnborough Technical College, Farnborough,UK
  20 Student Union,Queen Mary College,Strawberry Hill,Twickenham,London,UK
  22 Théâtre du Huitième,Lyon,FRANCE (Cancelled)
  24 Halle Munsterland,Munster,GERMANY
  25 Grosser Saal,Musikhalle,Hamburg,GERMANY
     (Aspekt, ZDF TV,Broadcast 7 March)
  26 Stadthalle,Offenbach,GERMANY
     (Aspekt, ZDF TV,Broadcast 7 March)
  27 ORTF TV Studios,Buttes Chaumont,Paris,FRANCE
     (Pop 2, ORTF2 TV,Broadcast 6 March)

 April
  03 Sportpaleis Ahoy,Rotterdam,NETHERLANDS
  16 Top Rank Suite,Doncaster,UK
  22 Norwich Lads Club,Norwich,UK

 May
  07 Central Hall,University of Lancaster,Bailrigg,Lancaster,UK
  15 Crystal Palace Garden Party,Crystal Palace Bowl,Crystal Palace,London,UK
  18 University of Stirling,Stirling,UK
  19 Student Health Centre Refectory, Edinburgh University,Edinburgh,UK
  20 The Ballroom,University Of Strathclyde,Glasgow,UK
  21 Students Union,Trent Polytechnic,Nottingham,UK


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