オフィシャル・アルバム「Trilogy (トリロジー)」リリースに合わせて行われた,1972年6月からの欧州ツアーに次いで,7月からの日本,北米ツアーを終了した EL&P は,約1ヶ月のブレイクをとり,11月10日のボーンマス・ウィンター・ガーデンズ公演を皮切りに英国ツアーを開始します.
 本CDRは,1972年11月17日スコットランドはグラスゴーにあるグリーンズ・プレイハウス・シアターで行われた19時からのアーリー・ショウと,21時30分からのレイト・ショウの 1日 2回の公演をオーディエンスで粗完全に収録したものです.
 オーディエンス・ノイズが多少気になる部分はありますが,Disc1から始まるアーリー・ショウは,全体を通して音像も近く,バランスも良く,収録された年代を考えれば高音質の部類に属しており,充分聴けます.Disc2の中間から始まるレイト・ショウは音に篭りがあり,コアなファンでないと厳しいかも知れません.そうは言いつつも,最近では私の耳の方がすっかりブート音質に慣れてしまい,一般の人の感性とは異なっているかも知れません.(爆)
 またマスターの劣化と思われるドロップ・アウトが随所にありますが,然程気になりません.

 商品としてみた場合,Disc1の "Take A Pebble" の導入部が,前トラックの後ろに含まれる等,全体を通してトラックの切り方が雑な上に,ジャケのクレジットとトラックの切り方が異なっているものもあり,ハッキリ言って,今一です.まぁ,この Blue Cafeレーベルは元々仕事は雑で,以前購入したものは,2枚組で,CDR盤面にDisc1とDisc2と印刷されているにも関わらず,両方とも内容が一緒というのもありました.(爆)

 実際に収録されている演奏の方は,乗りに乗っている時期という事もあり素晴らしく,オープニングが "Bolero" のSEからスタートする英国ツアーの音源は非常に限られているため,これだけでも歴史的価値があると言えるのではないでしょうか.この英国ツアーのセットリストは毎公演粗同様ですが,個人的には必聴の 1枚だと思います.

 アーリー・ショウの方は,オーディエンスの "ELP" "ELP"...のシュプレヒコールから始まり,続けざまに演奏される "Hoedown".
 そして "Tarkus" の直前,直後にメーカー情報に記載されているように,シンセサイザーにより怪獣:Tarkus の雄叫びを思わせるような音色を出しています.
 "Tarkus" の3分33秒にマスターの劣化等に起因しているものなのか否か不明ですが,カットを強引に繋いだ後があります.何時も感じる事ですが,"Battlefield" 他における,グレグ・レイクのギター・ソロは,独特のスケールと運指であり,最初に聴いた40年強前には違和感を感じました.(笑) "Battlefield" と,"Aquatarkus" の間には,日本公演同様グレグ・レイクの弾き語りによる キング・クリムゾンの名曲 "Epitaph" の一部を披露し,静かに "Aquatarkus" へと移行していきます."Tarkus" の20分過ぎ("Aquatarkus")には,"Karn Evil #9:1st Impression (Part 2)" の導入部を思わせるシンセサイザーの音色も披露されています.
 新作アルバムから "Endless Enigma" を演奏しますが,残念な事に 5分58~59秒程度に何故か歪みがありますが,然程気になりません.
 "Alan Freeman Theme" は,イギリスで有名なDJ:アラン・フリーマン(:Alan Freeman)が自分の番組のテーマソングにしていた関係から,同曲名でクレジットされていますが,実際は "At The Sign Of The Swingin' Cymbals" という曲です."Endless Enigma" から,この曲を挟んで "The Sheriff" への流れも,この時期の定番です.
 そして "Lucky Man" "Piano Improvisation" を挟んで演奏される,往年の "Take A Pebble" ですが,"Lucky Man" では,一部オーディエンスの合奏も聴くことができます.続く"Piano Improvisation"中に一部歪む箇所がありますが然程気になりません.
 一段と歓声が大きい "Pictures At An Exhibition" は,後半(アルバムでいうと B面先頭)の "Promenade" から "The Great Gates Of Kiev" までの演奏で,72年以降のツアーで演奏されているパターンと一緒です.マスターテープが伸びてしまっているのか,何箇所かピッチが不安定な箇所があります.また ""の2分23秒にはテープ・チェンジの為なのか10秒程度のカットがあります.このカット以降,ヒス・ノイズが目立ち,遠めの音像になり,音質が劣化すると共にグレグ・レイクのボーカルが殆ど聴こえなくなります.収録場所(位置)が明らかに異なっているのは無いでしょうか.そうするとテーパーが異なっているかも知れません.
 続くアンコールの "Nutrocker"ですが,演奏が始まると観客の盛り上がりは凄いです.そこからメドレー形式で演奏される "Rondo" ですが,残念なことに 0分56秒,1分46秒等にカットがあり,1分48秒から音像が変わり,若干篭った音になります.カール・パーマーのドラム・ソロ中(8分48秒~)にドラムのリズムと交互に観客が手拍子を打っているのも凄いですね.(笑)

 始めに記載しているように,レイト・ショウ部分に関しては,音像が若干遠く,多少音に篭りがあり,且つ音のバランスが悪く,ボーカルが聴き辛い状況です.また "Endless Enigma" のピアノ・ソロ部分,"Take A Pebble" の中間に挟み込まれた "Piano Improvsation" 等は,ヒスノイズが目立ちます."Nutrocker"では,テーパー近くのオーディエンスが,メロディーを口笛で吹いています.また "Rondo" は,カール・パーマーのドラム・ソロの部分:7分44秒のところでフェイド・アウトで終了します.

 メーカー情報では
 『70年代英国プログレッシブ・ロック界最強のトリオ”エマーソン・レイク&パーマー”(ELP)の初期72年の貴重な発掘初ライブ音源がまたもや登場!
72年11月17日スコットランド・グラスゴーでのアーリー・ショウおよびレイト・ショウを当時の良好オーディエンス・マスターよりほぼコンプリート収録。
 当時の最新アルバム「トリロジー」収録の「永遠の謎」、英国ではお馴染みの「アラン・フリーマンのテーマ」そして「ザ・シェリフ」と続く演奏も注目でしょう。怪獣の雄叫びで始まりキング・クリムゾンの「エピタフ(墓碑銘)」が途中歌われ珍しくラストも雄叫びが入っている大作「タルカス」そして「展覧会の絵」さらにアンコールでの「ロンド」の熱演等、今回も聴き逃せない発掘レア・ライブ音源です!』
との事.

Scottish Trilogy (Blue Cafe-312A/B/C)
 $cinnamonの音楽そしてときどき競馬予想-ELP - Scottish Trilogy (BlueCafe312A/B/C)
 Live At Greens Playhouse Theatre, Glasgow, UK 17th November 1972

 Disc 1
   1. Introduction
   2. Hoedown
   3. Tarkus (Incl. Epitaph)
   4. Endless Enigma
   5. Alan Freeman Theme
   6. The Sheriff
   7. Take A Pebble
   8. Lucky Man
   9. Piano Improvisation
  10. Take A Pebble (Conclusion)

 Disc 2
   1. Pictures At An Exhibition
   2. Nutrocker
   3. Rondo
   4. Hoedown
   5. Tarkus (Incl. Epitaph)
   6. Endless Enigma

 Disc 3
   1. Alan Freeman Theme
   2. The Sheriff
   3. Take a Pebble
   4. Piano Improvsation
   5. Take a Pebble (Conclusion)
   5. Pictures At An Exhibition
   6. Nutrocker
   7. Rondo

  Live At Greens Playhouse Theatre, Glasgow, UK November 17th 1972
   Disc 1 & Disc 2 Track1~3:Early Show
   Disc 2 Track4~6 & Disc 3:Late Show

 上記は,ジャケットのクレジット通りの記載をしていますが,Disc1のTrack4とTrack5は実質繋がっており,Trackが切られていません.よってDisc1のTrack数は 9です.
 
 Hoedown (Disc1,Track2)
 
 Tarkus (Disc1,Track3) (Part 1)
 
 Tarkus (Disc1,Track3) (Part 2)
 
 Tarkus (Disc1,Track3) (Part 3)
 
 Take a Pebble (Disc1,Track7)
 
 Endless Enigma (Disc2,Track6)
 
 Nutrocker (Disc3,Track6)
 



[参考]
 British Tour 1972
  November
   10 Winter Gardens,Bournemouth,UK
   11 Gaumont Southhampton,UK
   12 Capitol Theatre,Cardiff,UK (2 Shows)
   13 Free Trade Hall,Manchester,UK
   15 St.Georges Hall,Bradford,UK
   17 Greens Playhouse,Glasgow,UK (2 Shows)
   18 Guildhall,Preston,UK
   19 Trenton Gardens,Stoke,UK
   21 De Monfort Hall,Leicester,UK
   22 Top Rank Suite,Liverpool,UK
   23 Capitol Theatre,Cardiff,UK
   24 Birmingham Odeon,Newcastle,UK (2 Shows)
   25 Sheffield City Hall,Yorkshire,UK
   26 Hammersmith Odeon,London,UK (2 Shows)
   27 The Dome,Brighton,UK
   29 Odeon,Newcastle,UK (2 Shows)

  December
   01 Caird Hall,Dundee,UK

[関連記事]
 「Abaddon's Trilogy (Virtuoso 139/140)
  $cinnamonの音楽ときどき競馬予想-ELP Abaddon's Trilogy Front
 「Rock Explosion Special (Bonus DVDR)
  $cinnamonの音楽ときどき競馬予想-ELP Abaddon's Trilogy Gift