先日、あるテレビ番組で、司会者が、その場に居たふたりに「サッカー初心者にも分かるように、オフサイドのルールを説明してください」という要望(お題?)を出しました。

すると、1人が説明を始めました。「オフサイドというのは、ゴールと最終ラインのあいだに人が居てはいけないというルールで~」

「最終ライン」という言葉を使った時点で、初心者への説明としてはアウトでしょう。

「オフサイド」を知らない人が「最終ライン」という言葉を知っているとは思えません。これでは、理解するどころか、余計に混乱するだけです。

もう1人が説明を始めました。「オフサイドというのは簡単に言うと、待ち伏せ禁止のルールです。つまり~」

完ぺきとは言えないまでも、こちらの説明であれば、サッカー初心者でもイメージしやすいのではないでしょうか。

そもそも「オフサイド」は、ひと言で説明するのが非常に難しいルールです。

説明するのが難しいルールをそのまま難しく説明しても、伝わらないのは当然です。

後者の説明が前者より優れているのは「簡単に言うと~」という具合に、話を単純化した点と、誰もが知っている「待ち伏せ」という言葉を使った点です(言葉が短いのもいいですね)。

強いていうなら、「敵のゴール前での待ち伏せ禁止」と言えば、さらに分かりやくなったでしょうか。

もっとも、サッカーの知識がある人にしてみれば、「オフサイド=待ち伏せ禁止」という説明は、正確さを欠いていてイヤなのかもしれません。

しかし、知識のない人への説明で大事なのは、大枠のイメージをつかんでもらうことではないでしょうか。

正確な説明をしたいのであれば、イメージをつかんでもらってからでも遅くはありません。

自分が知っていること(もの)を、そのことを知らない人に説明するときには、できるだけ簡潔に、なおかつ、相手が理解(イメージ)しやすい言葉を使うことが大切です。