日本語では、主格・主語を省略するケースが少なくありませんが、省略したことで、意味が分かりにくくなるとしたら本末転倒です。

<例文>
剛くんがガリガリ君の食べ過ぎでお腹を壊し、夜のお祭りに行けなくなってしまった。一緒にお祭りに行く人がいなくなってしまった宏志くんはご立腹だったが、お腹が治ったその日に下痢になってしまった。

上記の文章ですが、正しく理解できましたか?

1番目のセンテンスは問題ないと思います。

ところが、2番目のセンテンスの意味がよく分かりません。

「お腹が治った」のが、「宏志くん」のようにも読み取れます。

また、「下痢になってしまった」のが、「剛くん」なのか「宏志くん」なのかも、この文章でははっきりしません。

意味が分からなくなった最大の原因は、「お腹が治った」や「下痢になってしまった」という述語に対応する主格・主語が省略されているからです。

2番目のセンテンスに、正しく主格・主語を盛り込むと、次のようになります。

<例文の修正>
一緒にお祭りに行く人がいなくなってしまった宏志くんはご立腹だったが、剛くんがお腹が治ったその日に、こんどは自分が下痢になってしまった。

これで意味が伝わったと思います。

やみくもに主格・主語を盛り込めばいいというわけではありませんが、意味を伝えるうえで不可欠な主格・主語については、省略してしまわないように気をつけましょう。



※本記事は以前に書いた「文章の書き方/主格・主語の省略に気をつけて!」の改訂版です。大事な基本なので、くり返しお伝えしています。