次のふたつの文章を見比べてください。

どちらが読みやすいですか?

【例文1】
角から突然クルマが飛び出してきたのを私たちは見て、大きな声を上げた。

【例文2】
角から突然クルマが飛び出してきたのを見て、私たちは大きな声を上げた。


いかがでしょうか?

【例文2】のほうが読みやすいと思います。

ポイントを見ていきましょう。

【例文1】
角から突然クルマが飛び出してきたのを私たちは見て、大きな声を上げた。

【例文2】
角から突然クルマが飛び出してきたのを見て、私たちは大きな声を上げた

この例文の述語は「声を上げた」です。

見て」ではありません。

一方、主格は「私たちは」です。

【例文1】の主格は「見て」にかかっています(述語の「声を上げた」にもかかっていますが、比重が弱いです)。

【例文2】の主格は述語の「声を上げた」にしっかりとかかっています。

【例文2】のほうが読みやすいのは、このためです。


そもそも例文を具体的に説明すると、次のようになります。

角から突然クルマが飛び出してきたのを(私たちが)見て、私たちは大きな声を上げた。

この「私たちが」を省略したものが【例文2】というわけです。

なぜ省略できるかといえば、主格の「私たちは」が、「見て」の主格も兼務してくれるからです。


なお、「私たちは」を強調したいときは、次のようにすればいいでしょう。

私たちは、角から突然クルマが飛び出してきたのを見て、大きな声を上げた