おはようございます。熱狂の渦に巻き込んだWBCですが、日本中の多くの人が、テレビの前に釘付けだったようです。
21日に日本テレビ系で放送されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝、日本―キューバ戦の平均視聴率が関東地区で43・4%、関西地区で40.3%を記録したことが22日、ビデオリサーチの調べで分かった。瞬間最高視聴率は、関東が試合終了時の午後2時58分で56.0%、関西が王監督の胴上げシーンの同2時59分で52.8%だった。
近年まれに見る数値ですね。
No.280:凱旋
・ 凱旋:成功を収めて帰ってくること。戦いに勝って帰ること。
日本中を沸かせた王ジャパンが、凱旋帰国しました。
野球の国・地域別対抗戦「ワールドベースボール・クラシック(WBC)」で初代王者となった日本代表チームが22日夜、成田空港着のチャーター機で凱旋(がいせん)帰国した。
到着ロビーには、偉業を祝福しようと約1300人のファンが出迎えた。
米大リーグ所属のイチロー(32)(マリナーズ)と大塚晶則(34)(レンジャーズ)を除き、大会最優秀選手の松坂大輔(25)(西武)ら28選手が王貞治監督(65)(ソフトバンク)を先頭に姿を現すと、大歓声とともに日の丸の小旗が振られ、「よくやった」「おめでとう」と、世界一を祝福する声があがった。
直後に行われた記者会見で、王監督は「日の丸を身につけて戦うことをうれしく思って戦った。選手はよくやってくれた」と改めて喜びを語った。
偉業を成し遂げた男たちの表情は、本当に魅力的です。そして、一人一人のコメントは、実に素直で、また含蓄に富んだものでした。
王監督は「フィギュアの荒川選手が凱旋(がいせん)した時にうらやましいと思っていたが、日を置かずして、自分たちもそのような熱烈な歓迎を受けるとは思っていなかった。やはり勝負事は、勝たなければいけないなと感じている」と笑みを見せた。
また、選手に対して「調整が大変だったと思うが、シーズンオフもしっかりトレーニングしてくれた。選手のこの大会にかける意欲を知って、うれしく思った」と、労をねぎらった。
ホームランバッターとして、世界一という記録を達成し、今度は、指導者としても、世界を制したことになります。試合直後のシャンパンファイトでの・・・
「諸君は素晴らしい。今日はとことんやろう!」
・・・というかけ声は、最高でした。
決勝で快投を演じ、3勝を挙げて今大会の最優秀選手に輝いた松坂(西武)は、「今まで優勝したという実感はあまりなかったが、空港でたくさんの人が出迎えてくれて世界一になったなと実感した」と熱烈なファンの出迎えに感激した様子。代表チームにいた1か月間について、「代表チームではいつも新鮮な刺激をもらえる。毎日が勉強だと思って過ごしていた」と振り返った。
チームリーダーとして、文字通りチームをひとつにしていったイチローですが、あるテレビ番組で、松坂選手に対して、こんな鋭い指摘をしていたのを思い出します。
「おまえ、どっか深―いところで、舐めてない?」
まさしく、わが意を得たり、という感じでした。他を圧倒する実力で、高校卒業と同時にプロの道に進み、自他共に認めるピッチャーであるのは事実ですが、どこか、気を抜いて、緊張感が持続しないような、ここ一番で独り相撲を演じてしまう物足りなさが、目立っているように感じていました。多分、イチローという「次元」の違うスーパースターと接することで、ひと回りもふた回りも大きくなったのだと思います。
先発して好投した準決勝の韓国戦と決勝の間に第一子が誕生した上原(巨人)は「本当に忘れられない三日間になると思う」と、二重の喜びをかみしめていたが「シーズンになったら自分の存在感を示したい」と、ペナントレースに向け気を引き締めた。
彼の「力投」は、鬼気迫るものがありました。いつもの「ヘラヘラ」した表情など、微塵もありませんでした。十二分に「存在感」を見せ付けたと思います。公式戦では、対戦チームにとって、「要注意」であることは間違いありません。
主砲の松中(ソフトバンク)は「自分のチームの監督を絶対世界一の監督にしたいと思って戦った。達成できてものすごくうれしい」と感慨もひとしお。
3日後に迫ったパ・リーグ開幕に向け、「チームが一つになれば勝てるということが分かった」と、リーグ優勝に向け決意を新たにしていた。
このところ、大舞台で、実力を発揮できないでいたのですが、今大会では、「雪辱」を果たすとともに、プレッシャーという「呪縛」も解けたように感じます。
「野球人生最大の屈辱を味わって、最低の酒を飲んで、でも最後には最高のお酒が飲めて。こんな経験をさせて頂いたことに感謝しています」。イチロー選手が感慨深げに話した。
歓喜の瞬間、マウンドで両手を突き上げた大塚選手も言った。「日本国民の方たちに、感動を与えられたことをうれしく思っています」
チームを離れ、2人はキャンプ地・アリゾナに向かう。「凱旋(がいせん)帰国したかったですが、寂しくエコノミーでアリゾナへ向かいます」と会場の笑いを誘った大塚選手とは対照的に、イチロー選手は「野球をやってきて、これほどチームメートと同じ気持ちでひとつの目標に進んだことはありません。もう、やばいですね」と感極まった様子で語った。
会見後、空港に向かうバスに乗り込む日本代表を見送った2人。イチロー選手は別れを惜しむように、選手、スタッフの一人一人と握手を交わし、「このチームでメジャーで戦いたい。それぐらいすばらしいチームでした」と繰り返した。
メジャーの二人が与えた影響は、計り知れないでしょうが、その二人にとっても、本当に、意義のある大会だったようです。とくに、イチローにとっては、未踏の大記録を樹立しながらも、未だに残る「偏見」や「人種差別」に悩み、低迷を続けるマリナーズというチームの状態で、孤軍奮闘しながら苦しんでいたと思われ、今回の、まさしく「チーム一丸」となった経験は、何ものにも変え難いものだったのでしょう。
今までとは別人のように、「喜怒哀楽」をストレートに表現したイチローは、またこれから、「当たり前」のように、「未知の領域」への挑戦を続けると思います。
「勝って兜(かぶと)の緒(お)を締めよ」
・・・なんていうのは、「当たり前」なんでしょうから・・・。
PS.
スポーツの醍醐味を堪能した大会だった。ひたむきな姿勢が、純粋に感動を呼んだのだろう。最高だ!