私が担当する連載では
●報道されている「結果としての事実」と、何故それが起きているのかという「原因としての事実」を知る
●正しい判断を下すための参考になる情報を提供する
●経済的な変化が、どのように私たちの家計に影響を与えるのかを解説する
●どのような対策を行うのが良いのかを紹介する
以上を骨子に今後連載をしていきたいと思う。
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金融バブル崩壊における家計の資産管理について(15) M.Amano
カリフォルニア州の財政破綻
リンク 揺らぐアメリカの連邦制 2009年2月18日 田中宇
(以下転載)
2月1日、米国カリフォルニア州政府が、財政破綻(支払い不能)を宣言した。加州政府の会計責任者(controller。John Chiang)はこの日、州政府の手持ち資金が底をつき、同日に支払われるはずだった州民に対する福祉手当、奨学金、税の還付金など総額37億ドルが支払えないと発表した。支払いを受けるべき人々に対して借用書(IOU)を発行し、いずれ支払い可能になったら払うことになり、州職員の人件費を浮かすため、平日に2日間、役所を閉めることにした。(California controller to suspend tax refunds, welfare checks, student grants )
カリフォルニアを国家に見立てると、世界第8位の経済規模を持つ国になる。
<中略>
昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻後、加州の財政危機は一気にひどくなり、10月以後、毎月のように「このままでは加州は財政破綻だ」という指摘が出てきた。州債の発行が試みられたが、サブプラム債券破綻に端を発した金融危機の中、国債以外の債券は売れない状態で、売れ残ってしまった。以前の財政危機では、銀行や投資家から金を借りられたが、今は銀行や投資家も破綻し、頼れなかった。州政府と議会は、急いで支出の削減を行ったが、赤字拡大に追いつかず、財政破綻の宣言となった。(California running out of money )
<中略>
▼46州が財政破綻に直面
米国で財政破綻しそうな州は、カリフォルニアだけではない。全米50州のうち、昨年12月の段階で41州、先月末の段階では46州が、大幅な財政赤字状態に陥り、今年度中に財政破綻を宣言するかもしれない事態になっている。フロリダ、テキサスなど、不動産債権の債券化ビジネスが先進していた州ほど、金融危機による税収減の打撃が大きい。リーマン破綻前の8月には、29州のみが深刻な財政難だった。リーマン破綻後、各州の財政が急速に悪化していることがわかる。(Tax the Rich! State Budget Crisis Deepens: Humanitarian Crisis Emerges )
昨年10月の時点で、各州の赤字額は、加州が150億ドル、フロリダ51億ドル、ニューヨーク55億ドル、アリゾナ20億ドル(120日以内に資金が尽きる)、ネバダ12億ドル、ジョージア18億ドル、ニュージャージは25億ドルなどとなっている。日本でも、急激な経済悪化の影響で、トヨタ自動車に頼っていた愛知県豊田市の法人市民税収が96%の減少になるなど、地方財政の悪化が話題になっているが、50州のうち46州が財政破綻しかけている米国も悲惨だ。(States That Can't Pay for Themselves )
<私のコメント>
アメリカのカリフォルニア州が2月1日に財政破綻、支払い不能宣言した。
カリフォルニア州が破綻しかかっていることは、以前から言われていた。
言われていた通りのことが現実となった。
カリフォルニア州は世界の経済国家規模で言えば、第8位になると言われている。
そのカリフォルニアが破綻したのだから、マスメディアはトップ記事で報道するのが普通だろう。
ところが、マスメディアでは全く報道がなされていない。
これは、緘口令がしかれているのかと疑ってしまう。
リーマンブラザーズの破綻よりもはるかに大きな問題だと思うが。
アメリカの債券や株の暴落、そしてドルの暴落を恐れてのことなのか?
しかも、カリフォルニア州だけではなく、全米50州のうち46州が破綻状況だと言うのだから、末期的状況である。
そのことも全く報道がされない。
とにかくマスメディアの情報統制の徹底振りには驚くほか無い。
山陽新聞のような一部のメディアしか報道していない。
リンク 米加州で公務員20万人一時帰休 財政破綻危機の支出削減で
これから、カリフォルニア州だけではなく、他の州にも財政破綻は拡大していくだろう。
そうなると、最後の引き受けては連邦政府である。
アメリカは借金国家であり、国民の金融資産よりも借金のほうが多い。
連邦政府には、FRBが作らない限り、海外から借りるしか手が無い。
では、アメリカの州や企業を救うアメリカ国債はどこが購入するのだろうか?
おそらく、日本が中心になるだろう。
日本はアメリカの事実上の植民地だからだ。
日本の莫大なお金でアメリカが一時的に救われても、再建される目処が立つかは不明である。
何故なら、国債そのものが借金であるし、アメリカの延命にはつながっても、経済危機の根本的な解決にはならないからだ。
そして、バブル崩壊の中でどれだけ損失が拡大し続けるかわからないからだ。
<家計への影響>
ドルの下落リスクが一段と高まってきている。現在ドル高になってきているのは一時的な現象だと思う。リーマンショックの時もそうだが、直前まで株は値上がりしていた。客観的に値動きを分析すれば、アメリカの財政赤字は底なしに巨大化しており、金融破綻、企業破綻、家計破綻と続き、次は州破綻にまでおよんでいる。そして全ての債務の負担は連邦政府とFRBに集約されていく。
連邦政府の財政は一段と悪化しており、今後も拡大していくだろう。
アメリカの国債はAAAという最高格付けがついたままだが、明らかにまやかしだろう。もはやアメリカそのものが海外からの支援なしには成り立たない状況である。
ここまでの事態になるとドルの暴落リスクを念頭に置いた資産管理を行う必要がでてきたように思う。
ドルの暴落は、アメリカ資産の売却によって引き起こされる可能性が高い。そうなるとアメリカの債券、株、不動産、預金、年金、保険などが叩き売られる。ドルの下落とアメリカの資産価格の下落がリンクし、スパイラル的に下落しかねない。
アメリカのドル建て金融資産は極めてリスクのある危険な商品になってきた。
日本の少なくない家庭がドル建て資産を保有している。
また国も企業も保有している。
ドルの問題は、国家財政、景気、消費、輸出入、金融資産、不動産、保険、年金、他、家計が関わる多くの分野に直結してくる。
大きな津波は来てからでは逃げられない。危険だと思うなら来る前に退避して様子を見るのが懸命だと思う。