リッケンバッカーベースの中でも最も人気の高い4001

 

しかも63年製ファイヤーグローの修理をご紹介します。

 

 

2年前の事、古くからのおお客様のご紹介で

 

63年製Rickenbacker 4001S FGの修理依頼を受けました。

 

 

 

特にこの年代のリッケンバッカーはネックが極端に細く

 

ナット裏のボリュート(補強)が無い為

 

ヘッド起き、ネック折れなど様々なトラブルがあります。

 

この4001Sはヘッドが起きていました。

正面からは解りませんが

 

真横から見ると・・・・・・・・??

これでは、ナットと弦に角度が無い為、音が濁ってしまい

 

本来のリッケンサウンドは出せません。

 

ヘッドには3~4度ぐらいの角度が付いています。

 

しかし、長年の弦の張力によって

 

ヘッドが起きてしまいました。

 

 

ヘッド角度を矯正する為に専用治具を作り

本来のヘッド角の所で固定した状態で

 

補強材を埋め込みむ方法を選択しました。

 

補強材にはハードメイプルを埋め込みました。

 

 

これで固定すれば、ヘッド角の矯正ができるはず・・・・・・

 

 

補強用メイプル材を埋め込み、クランプで締めると・・・・・・

 

あれ・・・・・これは・・・・・・

 

ヘッド折れの修理跡が浮かび上がってきました。

 

ヴィンテージギターにはあり得る事です。

 

塗装がオリジナルでは無い事は解っていましたが

 

50年以上も経ったギターですから、どの時代に

 

誰が修理したかは知る由もありません。

 

それと分かれば、更に補強材を追加して

 

強度を高めるしかありません。

 

 

前回のネック修理は塗装で修理跡を消していたようです。

 

私は、出来る限り自然な仕上がりになるように

 

突板を張って修理跡を消す方法を選びました。

 

まだ薄らと埋め木(補強材)の跡が見えます。

 

この後、木目を描いて徐々に近づけます。

ファイヤーグロー塗装前の段階で

 

補強材の跡は殆ど解らなくなりました。

 

ヘッドの表側にも突板を張って修理跡を消しました。

 

 

ボディーのサンバースト(ファイアーグロー)に合わせて

 

ネックのヒール際からラッカーで再塗装します。

 

特にヴィンテージギターは色合わせが難しいので

 

慎重になります。

 

何度かに分けて少しずつ着色します。

 

 

 

 

 

ヘッドの修理以外にも

 

フレット打ち替え、指板塗装のやり直しも行ないました。

 

 

 

その他、長年の使用で剥がれたクロムパーツの再メッキ加工

フィンガーレストをアクリル材を加工し製作しました。

 

 

 

 

 

 

ストラップピンの跡が付いていましたが

穴を埋めてリペアーしました。

 

最後にヴィンテージボディーとのバランスを考慮して

 

ソフトレリック加工を施しました。

 

 

 

63年製4001Sのヘッドは

 

ポールマッカートニーの愛器と

 

非常によく似たエラの張ったヘッドです。

 

カッコいいですね。

 

 

 

そして肝心なヘッド角の仕上がりは・・・・・・

 

こんな感じです。

 

 

ヘッド角も正常になりました。

 

当然のことながら張りのある本来のリッケンサウンドが

 

蘇りました。

 

長時間の大工事でしたが

 

無事完成してお客様に届ける事ができました。

 

長文を読んで下さりありがとうございます。

 

 

最後に、オーナー様から頂いたメールの

 

一文をご紹介します。

 

「あり得ないはずのヘッド角がついたその事こそが驚異でしたが、
画像を通じて見たそこに至る裏の作業がここまで緻密に行われていたとは
あらためて神業の凄さ、凄まじさに感嘆し言葉もありません。
昨今「超越した」、「特に優れた」から更に上段で使われる言葉としてよく「神~」が使われておりますが、
今回の4001s修理については私にとっては「神対応」でした。
あり得ないはずのヘッド角の復旧、復活などはまさに「神技」。キースさんに依頼して本当に良かったです。
やはりヘッド角がついたことで音が格段に良くなりました。
もちろんヘッド、ネック、指板塗装、トラスロッドカバー修理、見えないざくり部塗装等々期待以上です。

帰宅後リッケンを奏でるささやかな時間が明日への活力となっており
この楽器には本当に救われております。」

 

(修理依頼の4001sオーナー様より)
 

 

 

修理・製作のお問い合わせは

 

Keith Guitars(キースギターズ)

 

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三重県鈴鹿市追分町 2251-5

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e-mail fabgear@keith.co.jp

 加藤三千生