売上を上げる店舗要因を科学的に発見する | 街マーケティング

街マーケティング

「住まい探しや出店は、まず街を選べ。」と言われます。エリアマーケティングの専門家が
街選びに役立つ、「元気な街、話題の施設」を紹介します。

 ―数量化理論1類/要因分析事例、その方法を事例でシミュレーション紹介ー


●店舗売上に寄与する運営・販売要因がわかる

 「売上アップのため、運営改善や施策に取り組んでいるのですが、なかなか効果が出ません。」

という相談を受けることがあります。売上には、商品やサービスの品揃え、店内ゾーニング、適時の陳列やPOPなどプレゼンテーション、配送サービスなど店舗の付帯機能、接客の顧客満足度、店舗へのアプローチのしやすさなど様々な要因が関係しています。
 
 何をどこまで改善すれば、売上アップにつながるか。
 
 店舗の運営には上記のような様々な要因が複雑に関係しているため、どうしたら目標に届くか、多くの試行錯誤を繰り返しているのが現実ではないでしょうか。

 店舗 
 

●何をどの程度優先的に改善したら良いかがわかる

 改善優先度の高いポイントを探し、再現性が得られるよう実施していく。これに役立つのが、店舗の「売上要因分析」です。

 店舗の構成要因の何がどの程度売上貢献しているかを、データサイエンスで分析し、最も効果的なアプローチを探し出す方法です。実施されている運営要素や施策展開が、現実にどの程度寄与しているかを科学的に把握します。単独店では難しいのですが、多店舗展開企業であれば実施可能です。
 
 売上効果が、店舗構成要素との関連で統計的に示されるため、一般化出来、再現性の高いものとなります。具体的な手法は、扱うデータに応じて、数量化理論1類、重回帰分析、決定木分析などが使われます。

 店舗構成要素は、面積など量的データで把握出来る要素は少なく、有無など質的データを使った方が多くの変数を扱えます。そこで、この説明変数に質的データを使える数量化理論1類で分析した例を紹介します。


●売上と店舗要素の関係式を策定。

 売上に寄与しそうな店舗構成要素を仮説的にピックアップ。構成要素は、データで収集し、その後1,0のダミー変数に変換します。構成要素は、大きくMD、VMD、付帯機能、接客サービス、プロモーションと最近注目されているO2O対応と想定しました。

データ 

 これを基本に、数回、数量化理論1類で分析を行い、説明力の高い式を設定していきます。

 まず、売上と仮説ピックアップした店舗構成要素を相関分析をしてみました。品揃えの独自性と通販サイト、VMD展開の有無と相関が高いようです。また、休日数が多くなれば当然売上にはマイナス相関します。

相関 

 数パターン試行錯誤し分析した結果は、品揃えの独自性、通販サイトの有無、デジタルサイネージの有無、イベント開催がプラスに売上寄与。また休日数/月5日未満・以上がマイナス寄与している式の説明力が高くなりました。

式 
 

 数量化理論1類式は、その説明力をいくつかのポイントで確認します。まず、実測値と予測値を比較し精度を確認。同じく、重相関係数(R2乗値)をチェックします。この式は、0.9779と精度の高いものになりました。

式検証 

 この他、外的基準(売上)への寄与度を、アイテムレンジで把握します。この場合は、品揃えの独自性の寄与度が最も高く、次いで通販サイトの有無となりました。また、休日数がマイナス寄与していることが分かります。


●既存店の要因分析で、根拠に基づく店舗改善での売上拡大が期待出来る。

 この数量化理論1類式に、店舗の変数データを入れ替え売上を予測します。例えばT店は、12,000万円の売上ですが、イベント開催をプラスすると予測結果は、17,834万円となります。イベント開催の導入で、5,834万円の売上可能性が拡大することになります。

シミュレーション 

 事例の数値は、全てダミーですがその方法と効果は、ご理解いただけたと思います。

 売上額、集客数など目的とする変数を、店舗要素など他の指標で説明出来る事が数量化理論1類分析の最大のメリットです。売上に寄与している店舗の機能、属性などの要因がハッキリします。

 この特徴を理解して特に既存店改善に活用すれば、漠然としか把握出来なかった売上寄与要因と改善効果が明確になり、経営判断に大きな効果が期待出来ると思われます。 



【店舗開発企画への活用】

 数量化理論1類を使った店舗の「売上要因分析」方法は、既存店活性化だけに効果は限りません。その変数である店舗構成要素を、固定的な店舗機能要素に置き換えることで、店舗開発のデザイン企画に活用することも出来ます。

 つまり、売上の期待出来る店舗デザインがエビデンス(根拠)に基づいて再現できる形で開発できる訳です。


 当社webサイトで、店舗「売上要因分析」を紹介しています。関心のある方は、下記URLページへ。

http://www.wonds.co.jp/WONDS_Site/html/tree.html