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AmebaGG クリスマス企画
おいしいものを味わっている瞬間。
ことに甘いものをゆっくり時間をかけて味わっている時が
いちばん、贅沢な瞬間かなあ。
舌の上で溶ける上等のバターや生クリームの豊かな味わい。
和菓子もいいですよねー。
上等のお茶を舌の上でころがすように
味わうのもまた贅沢ー。
喫茶店にひとりで入って、無為の時間をすごすとき。
…
私の贅沢な瞬間というのは、時間をかけてじっくり味わうこと、
なんじゃないかなあ。
夜空を見上げて、月を眺めているとき。
薔薇園で、ひとつひとつの薔薇の名前を手帖に書き写しながら
歩いているとき。薔薇の花の香りも、贅沢な瞬間のひとつですよね
それから…
見たかった絵のまえに、立ち尽くす時間。
もう十何年前になるかなあ。
東京駅・ステーション・ギャラリーで「バルテュス展」が
開かれたことがありました。
バルテュスはベルギー生まれの、シュール・リアリズムの画家の
ひとりに数えられることの多い画家で、
少女をモチーフにした作品にとくに惹かれていました。
でも、画集でしかみたことがなかったので、
はじめてその絵の前に立った時、予想外の大きさに
圧倒されました。
猫と少女と手鏡がモチーフの連作。
『嵐が丘』のヒースクリフとキャサリン。
画集でみていた絵もあったけれど、
書きかけの連作は、まだ油絵の具がぬれぬれとしていて、
記憶に間違いがなければ、展示中もバルテュスがすこしずつ
手を加えている、というような説明があった気がする。
そんなことって、あるのかなー。
美術館ではなくて、ステーション・ギャラリーが会場だったのは、
バルテュスが自然光での展示を望んだからだそうです。
東京の12月頃の午後3時だった。高い窓から差し込む淡い光のなかで
みたバルテュスの絵…
あれはほんとうに贅沢な瞬間だった。
発見。
私の贅沢って、孤独とセットだ(笑)。