プロローグ
その1

2008年9月13日早朝、私とまだ見ぬ息子の安産祈願ため、
ダンナは大阪へと自転車で出かけていった。

まぁ、自転車熱のため、という部分も大きかったと思うが。

わたしも、翌日には実家(愛媛)に帰るので、
出産したらぶらぶら買い物なんてできないだろうから、
新宿にでも行って来ようかな~。
と思って、昼過ぎから出かけた。

でかい腹を抱えて、ふうふう言いながら伊勢丹と三越をめぐり、
早めの夕飯がてら大好物のカレーを食べていると、
ダンナからメールが

「箱根神社の安産杉ってのにお祈りしておいたよ!」

おぉ、わたしが新宿をうろうろしている間に、
ダンナは箱根の山を登りきっていたようだ。

箱根……正月の大学駅伝でトレーニングを積んだ選手たちが
全力で登っている峠だよなぁ。。。
と思いをはせる。

カレーを食べて外に出ると、雨が降りそうな雲がでている。

と、再びメールが、

「芦ノ湖(箱根の頂上の湖)を出てしばらくしてどしゃ降りの雨だよ」

なんでも、道の駅に避難したが、もう閉まっているという。

「食料がバナナ1本しかない。最悪、今日はここで野宿かな」

というじゃない!

もう、安産とか願っている場合じゃないよ、
はやく、道中の無事を祈願したほうがいいよ!!


しばらくして、どうなったか電話してみると、

「あー、雨は止んだんだけどね。パンクしちゃって。」

!!!

なんだか、先行きが不安。
そして、果たしてわたしは安産なのか。。。


結局、パンクを修理するもしばらくしてまたパンクしたということで、
その日は沼津市内で宿泊し、翌朝パンクを直してもらうことに。

翌日、羽田に向ったわたしに

「気をつけてね」

とメールを送ってくれたけど、
その言葉は、そのままダンナに贈りたかった。

続く