近年、九州から西日本にかけて、日本蜜蜂の『子捨て』の病気が蔓延してきています。
「サックブルード病」といいいます。
この病気は、ウイルスが原因で幼虫が白く濁った状態で死んでいき、それを働き蜂たちが巣箱外に捨てに出る症状が見られます。
巣虫が原因での子捨現象は日本蜜蜂にはつきものでしたが、このウイルスによる子捨てはケタはずれの数になります。写真のように驚く数が捨てられます。当然若蜂の生産がなくなり近々その群は消滅してしまいます。
ウイルス自体は感染力としてはそんなに強いものではないのですが、ある意味それが厄介でもあるのです。長くそのエリアで病気が続くことを意味するのです。
現在じわじわと中国地方エリアを北上している感じです。今島根、広島を通過して地元の鳥取県にも入ってきたようです。
日本ミツバチは、病気に強いという定説があったのですが、このごろ様々な病気の話を聞くようになりました。一説にはネオニコチノイドに代表される様々な農薬によって、ミツバチが持っていた本来の『免疫力』が低下してきていることが大きいといわれています。
昨年から、他県の蜂友だちも6群とか8群単位で全滅という悲しい報告をもらっています。今年も、それが繰り返されている方もあれば、クリア―できた方もおられます。新たに症状があらわれ、苦慮されている方も知っています。そうした方には、いくつかの対処法をアドバイスさせてもらってはいますが、残念ながら絶対という対処法は今のところありません。1日も早く治療法が確立してくれることを願っています。
現在、その分野の研究の第一人者は長崎にお住まいのD氏だと思います。D氏が今年から新たに取り組まれている治療法が成功するかどうか楽しみにしているところです。
なので、今は、自分の群をいかに守るかの観点で考えて行く事が大切ではないでしょうか。
私が被害拡大を避けるために、予防策としてやっていることを列記しておきます。
①蜂場を一か所に集中させないで分散して管理し、所有群の全滅を避ける。
②あらかじめ、野生ミツバチや飼育蜂がいないエリアを見つけておき、そこに隔離用の蜂置き場を設ける。子捨ての症状が出た群があったら、一刻も早くそこに移動、隔離して様子を見ながら治療する。
③ウイルスは人間の手や靴底から伝染し易いので、そうした症状の蜂を扱った場合は入念にエタノールやアルコールのスプレーで殺菌する。
④感染した蜂の蜜は他の群には絶対与えないようにする。盗蜜なども絶対避けるようにする。
⑤消滅した群の巣箱は煮沸するか、または焼却処分する。
以上の様な対応をしています。少しでも参考になることがあれば幸いです。
最後に、このウイルスは人間には全く問題がないので、蜜を食べても大丈夫です。ご安心ください。