特集 初めての海外旅行 台湾サイクリング「タンデム自転車」に参加して(その3) | ウイズ東淀川のブログ

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初めての海外旅行 台湾サイクリング「タンデム自転車」に参加して


          阿佐 和幸「全盲」

 

 その3  8月22日旅行1日目 日本から台北・新北投「しんぺいとう」前半


 出発までの前置きが大変長くなってしまったが、いよいよ本題の旅行へと進めていくこととしよう。
 8月22日、この日もものすごい蒸し暑さと汗で目が覚めた。例年8月も下旬となると、朝夕は少しは涼しい風も吹いていても良いのであるが、今年は全く様子が違う。この2週間くらいの連日のものすごい熱帯夜と猛暑はおさまることを知らない。連日朝から28℃。昼は37℃という熱帯よりも暑い日が続きっぱなしである。私の体力も相当に消耗しているし、これからの更に暑いかも知れない台湾旅行が心配である。
 
 朝食を済ませ、午前8時過ぎに家を出た。外はものすごい蒸し暑さと、容赦を知らない強烈な太陽が体をいじめてくる。徒歩10分で関西国際空港行きバス乗り場に到着。ここまで家族に荷物を運んでもらった。いよいよバスのトランクに荷物を積み込み、このバスに乗って今回は本当に海外に行くのである。今までもこのバスに乗ったことがあるが、旅行には行かずに、空港から電車で再び大阪市内に戻ってくるなどの、いわゆる乗りつぶしにしか使ったことが無いのであった。
 いよいよ出発。車内は冷房が効いていて心地よい。うとうとすること1時間少しで渋滞もなく関西国際空港に到着。到着後は重い荷物を持ち、まずは、点字ブロックに沿って案内カウンターへと進んだ。カウンターは比較的楽にたどり着くことができた。そこで、ジェットスターのカウンター近くの椅子まで案内していただき、旅行に同行する皆さんと会えるのを楽しみに待っていた。
 
 コーヒーを買おうと、自動販売機まで行ったところ、外国の方に声をかけていただき、無事にコーヒーを買うことができた。
「どこの方?」と尋ねたら「台湾」と答えてくれた。
台湾の方は日本人に対してすごく優しくて思いやりがあると聞いてはいたが、大変親切にしていただいて旅行への不安が少し少なくなったように思えた。
 
 そして、約束の時間となったが、皆さんはまだやってこない。その内に電話が入り、「どこにいるのか」と尋ねられた。どうやら20mくらい離れたところに皆さんは集まっていたようである。どちらも気がつかなかったようである。視覚障害者が多い集まりでは良くあることであるが、最近は携帯電話のお陰で、近くにいるのに会うことができないということもほとんど無くなってきている。
 無事に皆さんと会い、いよいよ出発である。と言っても実際に飛行機が離陸するのは2時間も先のことである。海外旅行に行くのになぜ2時間も前から集まらないといけないのか良く分ってはいなかったのであるが、実際に出国までを体験することとなった。
 
 最初はいわゆる搭乗手続きである。チケットとパスポートを確認し、大きな荷物を預ける。国内線よりもかなり時間がかかったようである。次は機内に持ち込む手荷物検査と身体検査である。ここまでに購入した飲み物や食べ物は手荷物として機内には持ち込むことができないのである。私も残っていたお茶を一気に飲み干した。検査は国内線よりもかなり慎重に行われた。
 
 次はいよいよ出国手続きである。我々はごく普通の観光なので特に質問されることもなく、チケットとパスポートを確認し、私のパスポートには最初の出国の印鑑が押された。ここから先は例の免税とトランジットエリアとなる。日本のようで日本でなく、外国のようで外国でないという特別地域なのである。ここまで来るのに1時間くらいかかった。その内に免税店が並ぶエリアに来た。高そうな香水の匂がしていた。ここからモノレールに乗り、いよいよ飛行機の搭乗口に行くのである。わずか2分くらいの乗車で別の建物に到着し、少し歩くと我々が乗るジェットスターの搭乗口近くにやってくることができた。ここまでで、1時間15分くらいはかかった。搭乗口近くにも店はあったが、あまりたくさんの商品は置いていなかった。とりあえず、おにぎりを買って、飛行機に乗ることにした。手荷物検査を受けた後、以降の店で買った食べ物や飲み物については機内に持ち込むこともできるのである。
 
 そして、離陸30分前となり、いよいよ機内に乗り込む。予想していた通りLCCのジェットスターの機内の座席間隔はかなり狭かった。だいたい市内を走る路線バスの座席間隔を少し広くしたくらいである。しかし、一応ほんの少しリクライニングするし、前の背もたれからテーブルも出すことができるようになっている。
 
 いよいよ離陸した。機内のアナウンスは最初は英語、次に中国語、最後に日本語と続いた。
LCCでは機内での飲み物や軽食はすべて有料となる。私もお茶を買ったが、日本円で約250円くらいであった。また、カレーライスを買った方は、約950円くらいだったようである。支払いは日本円でもできるが、おつりは全てシンガポールドルとなっていたようである。おつりの通貨の取り扱いについては、各航空会社で異なると想う。
 
 では、ここで今回旅行に参加したメンバーを簡単に紹介しておこう。
 総勢7名参加で、内視覚障害者は4名であった。全盲もしくはそれに近い視力の方が3名で後の一人はもう少し視力の良い弱視である。私より少し年齢の若い夫婦。そして年配の女性と私であった。
 一方晴眼者の方は3名で、今回の旅行の様々な準備をしていただいたOさんと年配の女性「Hさん」・そしてわたしと部屋をずっとともにしていただいた年配の男性の「OOさん」である。「お」で始まる方が二人おられたので、「Oさん」と「OOさん」として記すこととする。
 
とここで疑問となる。現地でサイクリングをする時にはもう一人晴眼者の方が必要である。これについては、台湾の現地の方にパイロットをお願いしているとのことであった。Oさんと「OO」さんの方は、海外旅行や自転車については大変経験豊富な方であり、我々からすれば冒険家と言う感じである。一方24日に私のサイクリングのパイロットをやっていただく女性の「H」さんは、なんとなんとタンデム自転車は数日前にわずか2時間しか乗ったことがないと言うことであった。しかし、女性いわく「毎日2時間以上は自転車で走り回っているし、毎週登山で鍛えているので、何とかなるかなあ。」とのことであったが、こちらとしてはこれを聞いてまたまた不安になった。どちらもタンデム初心者同士で本当に60kmも走るなんていったいどういうことになるのだろうと。
 
 そんなこんなしている内にあっという間に2時間半が経過し、いよいよ台湾に着陸した。着いたところは桃園「トウエン」国際空港であった。
 
・・・次号に続く