H703 社会人093 | 【ラブストーリー】はお好き?

【ラブストーリー】はお好き?

小説です。お楽しみいただけたら、幸いです。



病気の娘を抱え、それでも娘の夢の実現の為に、また、娘の成長の為に、日々努力して来た、母睦美、病気を克服した娘とその学校のクラブ仲間を、今では、彼らの専属の芸能事務所の社長として、誰一人脱落する事無く育てる事を心に誓ている。
お互いを切磋琢磨し、常に自分磨きをわすれない、彼らを世界中の人達に観てもらいたい。
そんな風に思っていたのに、自分が思っていた以上に、早く世界に飛び出して行く事がものすごく不安だったり、自分の手元を離れて行くようで、寂しかったりする思いをかかえていた。

今回のアルバムを引っさげてのツアーの最中、何度かその会場で、顔を会わせる事になった、<大人達>4人は、皆、同じような、喜びと、同じような、不安を抱えている事を知り、今後の<子供達>のあり方に付いて、話し合う様になった。
もし、このミュージカルが成功に終われば、まずは、アメリカでのCDデビュー、とコンサートツアー。
そして、そのあと、ラスベガスや、ロサンゼルスで、富田と松本合同プロデュースの舞台が展開できないか、すぐにでも、調べて、動き出そう。
もし、失敗におわったら、その時は、そっと日本に戻って、今迄と同じ様に、コツコツやって行けば良い。
でも子供達はきっと、今迄と同じ様に、動く事はなく、新しい何かを身に付け、新しい目標を持ち、それに向かって、走って行くだろう。
まわりにいる、<大人達>が<子供達>の勢いに振り飛ばされる事無く、何とか、彼らの前に立って、引っ張って行けるように、自分達も進化して行かないと、いけない。
そんな風に話し合っていた。

いよいよ、彼らは、アメリカは、ニューヨークに旅立った。
その作品の稽古は過酷で、書き下ろし作品の為、監督の気分で、物語りが変更されて行く。
普通は、脚本通り、よっぽどの事が無い限り、変更は無いが、今回は、初演である事から、固まっていない部分が多々あり、その都度、変更になった台本が渡される。
「明日迄に覚えて来てね。」
そんな軽い言葉で内容や、台詞ががらっと変る。
白人のキャストが不満タラタラ。
でも瑠璃達、日本人は、内容を確認して、確かにこっちの方が良い!