電機連合、ベア統一要求へ 高まる賃上げムード
日本経済新聞 掲載
電機各社の労組で構成する電機連合は2014年春季労使交渉でベースアップ(ベア)に相当する賃金改善を要求する方向で協議に入った。
加盟各企業の収益は改善傾向にあり、ベアの機運は高まっているが、シャープが再建途上にあるなど業績格差も広がる。個別の組合がどこまで足並みをそろえられるかが焦点になりそうだ。
ベアの統一要求が実現すれば2009年以来5年ぶりとなる。
電機連合は12月中旬に春季労使交渉で提示する統一要求の素案を作成、来年1月末に正式決定する。09年交渉では4500円を要求したが、その後はリーマン・ショックや長引く円高の影響で加盟企業の業績が低迷し改善要求を見送ってきた。
同連合傘下の主要企業である日立製作所の川村隆会長は「選択肢の一つ」と語り、ベアに慎重だった前年までとの姿勢の違いを示した。
東芝も年間一時金で利益還元する基本方針は堅持するが、同社首脳は「組合からベアの要求が来たら状況をみて判断したい」と含みをもたせる。
ただ加盟企業の業績にはばらつきが出ている。パナソニックとシャープはテレビや液晶パネル事業の不振で13年3月期に巨額の最終赤字を計上。特にシャープは今期に増資に踏み切るなど経営再建に向けた取り組みが続く。
電機連合では交渉力を高めるために、加盟各社が足並みをそろえて会社側と交渉するのが原則。業績が厳しい組合でもできる限り一体交渉に参加できるよう統一要求案を作成する見通しだ。
政府では安倍晋三首相がデフレ脱却にむけ企業経営者に賃上げを要請している。
甘利明経済財政・再生相も「収益が上がっているのに賃金や下請け代金を上げないと恥ずかしいという環境をつくりたい」と発言、企業側をけん制している。
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