規制改革会議 49項目を検討 ネット活用 成長底上げ
日本経済新聞 掲載
政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は12日、来年6月の答申取りまとめに向けて議論する49個の検討項目を決めた。
民間の商取引の際にネットで本人確認する仕組みをつくるほか、企業が税務資料をネットで保存することを認めることが柱だ。
事務作業を効率化する狙い。アベノミクス第3の矢の成長戦略を規制改革の面から後押しする。
健康・医療、雇用、創業・IT、農業、貿易・投資の5つの作業部会ごとに項目をまとめた。最も多いのは創業・ITだ。
まず企業が保存を義務付けられている経費の領収書や取引の契約書をスキャンして、電子データで保存することを幅広く認める。企業にとっては保管スペースを圧縮できるほか、過去の資料を簡単に検索できるようになり、業務が効率化する。
民間の取引を活発にするため、免許証のコピーなどを郵送しなくても本人確認ができる方法をつくる。
外国為替証拠金(FX)取引の口座開設や、ネット保険の加入を簡単にできるようにする。金融機関が投資信託などの金融商品を顧客に説明するときは書類でなく、メールなど電子書面の提供を原則とする。行政から住民への通知も、希望者にはメールで送る。
規制改革会議は同日、ネット活用の一環として、一般用医薬品(大衆薬)のネット販売を全面解禁することを求める意見書をまとめた。政府は6月にネット販売解禁を閣議決定したが、厚労省が一部の薬を例外扱いとするうえ、ネット業者に厳しい規制をかけることを検討している。
作業部会
※ 健康・医療
・診療所による在宅医療の促進
・一部の診察・治療行為を看護師に解禁
※ 雇用
・フレックスタイム制や最良労働制の拡大
・有期契約の研究者の労働時間を延長
※ 創業・IT
・国税書類を電子保存しやすく
・メーカーによる小売店の価格調査の解禁
・食料品の移動販売をやりやすく
・外国人技能実習生の期間・業種の延長
※ 農業
・農業生産法人の設立要件を緩める
・農協・農業委員会のあり方の見直し
※ 貿易・投資
・外資の日本支店を設立しやすく
・国際空港の発着枠の拡大
本会議の優先項目
※ 混合診療の拡大
※ 介護・保育への株式会社の参入促進
※ 農地集約のための規制改革
以上