「守り」 を恥じた孫社長
日本経済新聞掲載「経営の視点」
10月5日の午後8時58分、ソフトバンクの孫正義社長はツイッターでつぶやいた。
「少し守りに入りかけている己を恥じる。もっと捨ててかからねば」
「守り」とは、どういう意味か。孫社長のツイッターを見ていた170万人のフォローワーは首をかしげたはずだ。
なにせソフトバンクは4日前に国内携帯電話4位のイー・アクセスの買収を発表したばかり。
株式交換だが時価に換算すれば1800億円の巨額買収だ。十分攻めているではないか。
10月10日の午後11時41分にはこうつぶやいた。
「目標が低すぎないか?平凡な人生に満足していないか?」
米携帯電話3位のスプリント・ネクステルを買収するとの一報が流れたのは、翌日の11日だった。
英ボーダフォンの日本法人を買収したため2兆円を超えていた純利子負債を「ゼロにする」と宣言したのが2009年春。それから3年で同負債は5,000億円まで減った。
スプリントの買収を見送っても、誰も孫社長を責めはしなかっただろう。
「自分はよくやっているではないか」。現状に安住しそうな自分を叱ったのが5日のつぶやきだ。
この日は孫社長が尊敬する米アップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏の命日でもあった。
ジョブズ氏は生前、「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定を私は本当にやりたいだろうか?」と自らに問いかけてから仕事に向かったという。
日本テレコム、ボーダフォン日本法人、ウイルコムと、業績不振の3社を買収して立て直した孫社長だが、米企業であるスプリントの再建は勝手が違うかもしれない。
1兆5700億円という買収金額も小さくはない。それでも孫社長は踏み込んだ。
それは成長を希求してやまないある種の狂気だ。
「毎週テレビ会議を開き、毎月米国に行く」米メディアからスプリント再建の方策を問われた孫社長はこう答えた。
飽くなき成長への欲望は、裏目に出れば会社を存亡の危機に追い込むかもしれない。
だが、リスクを避けける「正気」が会社をむしばむこともある.。
4期連続の赤字に苦しむソニーの幹部は、その原因を一言でこう言い表した「CFO(最高財務責任者)経営」
CFOが悪いという意味ではない。バブル経済の崩壊後は、どの会社でもリスクを管理するCFOの権限が強くなった。
「投資はキャッシュフローの範囲内で」「手元資金は厚く」。
リスクを避ける経営を続けた結果、多くの企業が成長の芽を摘んでしまい、縮小均衡のアリ地獄にはまり込んだ。
「ビジネスはゲームだ。そのゲームに勝つこと、これに勝る快感はない」と言ったのは米ゼネラル・エレトニック(GE)のジャック・ウェルチ元最高経営者(CEO)。彼はこうも言っている。
「勝っている会社、そこに働く人々こそが、健全な経済を支えるエンジンだ。彼らこそが自由で民主的な社会の礎なのだ」
日本の企業の多くが「勝つ快感」を忘れて久しい。
日本経済のエンジンは冷えたままだ。責任は経営者にある。
以上
孫社長のような将来を見据えた経営をされておられる経営者は沢山おられることと思います。
反面、国内生産を海外生産に移行されておられる経営者も沢山おられます。
円高で国際競争に勝てないのが主な理由とは思いますが、国内産業、特に中小零細企業、しいては、国民の生活を考えれば、円高是正を強く政府に働きかけるとか、国内消費分は国内で生産するとか、日本技術の流出を止めるとか、リスクを覚悟の上、国内で国際競争できる製品を作り、日本経済の再生に向けた経営を望みます。
税理士ゆーちゃん より
最後まで読んで頂き、有難うございます
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