Ⅰ企業の海外進出と空洞化
東レ経営研究所 増田貴司氏
4月5日日経夕刊寄稿
製造業の海外生産シフトが進み、国内産業の空洞化が問題になっている。
一方で、企業の海外進出が増えると、国内は空洞化するどころか、中長期的には投資収益増加などの恩恵を受けて国内の雇用も増加するという考え方が主流となってきた
最近では国や自治体が地場産業を国内に引き留めるのではなく、その海外展開を積極的に支援する政策を採用し始めている。
「企業の海外進出を促すことで国内の空洞化を回避する」という逆説的な方策が成功するためには前提条件があるように思う。
一つ目は、海外進出した企業が本社機能や研究開発部門を国内に残し、海外で稼いだ利益を国内に還流させて国内で投資するという前提である。
二つ目の前提は日本企業の海外工場での最終製品の生産が増えるほど、それをまかなう先端部材の日本からの輸出が増加するという、日本特有の国際分業形態が今後も維持されることだ。
これらの前提が満たされる保障はない、円高、高い法人税率、電力供給の制約、厳しい労働規制などを背景に、国内立地に見切りをつける企業が増えれば、海外で稼いだ利益は海外で再投資され、国内に還流しない。
東日本大震災後、アジア諸国が手厚い優遇措置を提示して日本企業の誘致に注力していることも忘れてはならない。
2つ目の前提も危ない。先端部材でも海外への生産移転が進み、海外生産拠点での部材の現地調達比率が高っまっているため、日本から現地向けの部材輸出が以前ほど増えなくなったいるからだ。
以上から、企業の海外進出を支援するだけでは、企業は強くなっても、国内の空洞化回避に必ずしもつながらないといえる。
企業が国を選ぶグローバル化の時代の国家経営は、国内を魅力ある投資環境に整備し、その国土で企業に存分に活動してもらう努力なしには成り立たないのだ。
以上
Ⅱ最近新聞記事に掲載されました
①日経4月5日 東レや日東電工が先端素材分野で中国の顧客企業との共同開発に乗り出す。現地などに専門拠点を設けて顧客に自社技術を公開し、共同でテーマを設定。太陽電池や機能性フィルムなど中国市場で需要が見込める高付加価値素材の開発を目指す。技術流出のリスクがあるが、成長市場で顧客ニーズを反映させた商品をいち早く投入し、販売を増やすことを優先する考えだ。
②日経4月5日 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は4日、ニューヨーク市内で記者会見し、高級ブランドの乗用車「インフィニティ」の海外生産を本格化する計画を明らかにした。海外で販売するインフィニティは、一車種を除きほぼ全量を日本で生産してきた。ゴーン氏は「円高がハンディキャップとなっている」と指摘し、中国と北米に生産移管する考えをしめした。
③日経4月8日 トヨタ自動車は海外で販売する車を対象に開発機能を現地に移す。まず米国で現地技術者が全面的に開発した乗用車を年内に発売。同様の手法を中国などにも段階的に広げる。日本に集中する開発機能を世界の主要市場に移し、現地のニーズを取り込むグローバル経営を加速させる。
以上の記事を見て政治家・経済界・国民・はこれからの日本経済に期待できると思う人は、まずおられないと思います。
これからの日本経済の再生に絶対必要な事を私なりに考えますと
①円高ー85円~100円で安定させる
②国内空洞化を防ぎ、逆に海外から人・物・金が集まる国造り
③先端技術の国内での向上・高付加価値製造業の海外流出を防ぐ
④経済活動コストを抑え、国際競争力を強化
政治家・経済界は将来の日本、子供達のことを考え行動して欲しいものです。
税理士ゆーちゃん より
最後まで読んで頂き、有難うございます
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