水で洗えて丈夫な木綿のきもの。普段着として着るのにとても実用的ですが、絹と比べると暑いのが難点です。久留米絣の夏バージョンの夏久留米絣は肌への接触面を少なくすることによって春先から初夏向きにつくられています。こちらは、量産型のお手頃価格帯の久留米絣です。


「お安いものは偽物ですか…?」と聞かれることがありますが、どこの産地でも時代によって効率化されたモノづくりがされていきます。産業革命以降、機械化によって量産化されていき、手仕事の技によるもののいくつかは、文化財保護法に基づいて重要無形文化財に指定されています。さらにややこしいのですが、重要無形文化財の技の指定条件と経済産業省による伝統的工芸品の指定条件は異なります。

なので、化学染料をつかった染色や力織機で織ったものだから、偽物というわけではありません。久留米絣の場合は、重要無形文化財や伝統的産業品の指定条件を満たし昔ながらのつくり方を伝承しているものと、生産効率をあげて実現した手頃な価格帯でつくられているものがあるということです。

「本物か偽物かではなく」て、「売り手がその違いをきちんと把握し、消費者に伝えることができているのか?」ということが重要かとおもいます。

残念ながら、きもの業界の方でも理解していない人が多いように見受けられます。ファッションとして着ているきものエンドユーザーが理解しなければならない理由はありませんが、知らないことにつけこむ(もしくは自分も知らないから曖昧となる)きもの業界の方がいらっしゃるのが現状です。

現代ではどうしても高価格帯になってしまう昔ながらの手仕事によるものが、量産型のものと混在して扱われ、売れなくなりつくられなくなってしまう…、という状況を少しでも打破できるように、日々学び、それぞれの特性を理解して、きものエンドユーザーの視点から解析し、情報を発信しています。

●重要無形文化財の指定条件は満たしていない、お手頃価格の久留米絣●
これは夏久留米絣です。夏久留米絣ならではの織りの工夫の具体的なところは未確認。これから調べます。
久留米絣は水洗いができ丈夫ですので普段きものとして着るのに適しています。重要無形文化財の指定条件を満たしているような高価格帯のものを日常に着つづけることは中々難しいので、効率化され量産化されたものがあるというのは、きもの生活をしている私にとって有り難い。絣つくりや織りは機械化されているところがあるとはいえ多くは熟練の技をつかった人の手でつくられています。


●久留米絣の歴史●
江戸後期に井上伝という13歳の少女が、着古した藍染めのきものが白い斑文になっていることに興味をもち、その布をほどいたところ、糸が藍色に白の斑になっていることから、藍色と白の斑の糸で織りあげることを思いついたと伝えられています。後に東芝の創始者である田中久重(当時15歳) の協力によって板を彫って糸を挟んで模様をだす絣の板締め方法を考案し絣を織りだすことに成功します。これらは雪降り、霰織などといわれたのだそう。後に有馬藩 の御用絵師であった大蔵太蔵による緯線台の考案から生まれた「絵台」の発明によって世界に類のない絵絣がつくられるようになりました。

明治時代に産業革命以降の生産の効率化により他地域に先駆けて機械化され量産されるようになり普段着のきものとして大きく発展していきます。現在も重要無形文化財の指定条件を満たしている手づくりのものと機械化され化学染料で染められているものまであります。

●久留米絣の重要無形文化財の技の指定条件●
①手括りによる絣糸をつかっていること ②純正天然藍による糸染め ③投杼の手織り織機で織ること

●久留米絣の伝統的工芸品の指定条件●
•先染めの平織り •絣糸は経糸及び緯糸、もしくは緯糸につかうこと •緯糸の打ち込みは投杼もしくは踏木による飛杼 この3つの技がつかわれている絣織であること。絣糸の染色法は括りか織締め。木綿糸。

こちらは、重要無形文化財指定条件の技を満たしている松枝哲哉先生の久留米絣
松枝哲哉先生の講座「絣を創る」のレポはこちら☆


【6月27日の装い】東京◇晴れ(湿度51%、暑くてジメジメ…) / 最低気温21℃ 最高気温30℃

縞に花柄絣の夏久留米絣に染谷唯の熱帯魚の紅型の夏帯をコーディネート

丹後の小林染工房の丹後ブルーの暈しの帯あげに龍工房のレースの帯〆

古布コラージュのバッグは松枝忍、小林染工房の丹後ブルーのしけ引き花緒の菱屋カレンブロッソ


日傘は綾の手紬染織工房の藍染め


う~ん…、縞のきものはやっぱり似合わない気がする…。

「きものカンタービレ♪」のFacebookページ矢印