太物って何? 太物サミット at 宮崎市民プラザ その① / 2016年5月 宮崎の旅 その2 のつづき(^-^)/

太物サミット当日の宮崎はザンザン降りの大雨でした。太物である綿や麻の利点は、水に強く縮まない摩擦にも強いということ。雨だからといって着ることを諦めることがないきもの、それが太物です。なので太物サミットの日が雨でもそう悪くはないのです。

今では太物は先染め(糸を染めてから織る)ものが主流となっていますが、後染め(白生地に織りあげてから染める)の小紋タイプもあります。私的には、雨の日でも心置きなく着ることができる木綿のきもので後染めのオシャレなものをつくってほしい~と思っていますので、ぜひ、つくり手の方や着物業界の方にも知っていただきたい!と藍の型染めの木綿きものを選びました。

正藍型染師の田中昭夫さんが理想とする藍染め木綿のために、木綿の源流の産地といわれる三河岡崎の機屋さんと相談してつくったという、半紡績の神谷木綿は真綿紬のように柔らかい。 和棉だけではないようですが、和棉のような風合いです。身体にどっしりと沿いますがその落ち感が着心地が良いのです。そして藍染めが清々しく気持ちが良い~:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

【5月28日の装い】宮崎◇大雨(湿度92%、土砂降りでした) / 最低気温19℃ 最高気温23℃

田中昭夫の藍染めの神谷木綿にぬぬパナの前津雪絵の絹×苧麻の八重山交布(ぐんぼう)の六寸帯をコーディネート。袖口をみると浸染による藍染めだということがおわかりになるかと思います。手にしているのは東京からいらしたきもの好きの方のロボホン。お利口でびっくり@@;

旅には便利なカルタ結びにしています。六寸帯なのでもっと大きくすることもできるのですが、コンパクトにまとめました。太物サミットの参加者のカルタ結び率は高かったです!3分の1ぐらいでしょうか?

帯〆の代わりにフランス製のアンティークリボン、帯留は瀬底島のびんがた工房べにきちの髪留

リボンはしごき帯のようにわざと長くしています。


エキシビジョン•太物スタイルズと太物サミットの様子へつづきます(^-^)/

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みやざきエクスプレスに乗船! きものでカーフェリー / 2016年5月 宮崎の旅 その1 のつづき(^-^)/

G7伊勢志摩2016年サミットの翌日、宮崎では「第1回 太物サミット」が開催されましたヾ(@°▽°@)ノ G7のサミットと時期がかぶったのは偶然だそう。私は関西からフェリーで当日の朝現地入りしましたが、前日は大韓航空機のエンジン出火で羽田空港の滑走路が閉鎖される事態となり、欠航や遅延が相次いで、東京からの人は大変だったようです。


太物サミットの会場は宮崎市民プラザ。宮崎港からバスで30分くらいだったでしょうか。この日はあいにくの大雨でした。しかし<太物>を語るには、この雨はじつは悪くない…と思っておりました。


そもそも「太物」って何でしょうか。<布の歴史のおさらい>
※サミットでは語られていないので朝香沙都子の見解です。

かつて庶民にとって絹織物は特別なものでした。絹の中で紬は庶民が着ても良しとされたのは、長い繊維が取れない屑繭を農閑期に時間をかけて糸にしたからです。当時は時間にかかる賃金はカウントされていません。※これが現代との大きな違いで、今は時間がかかる手紡ぎの紬は高価格です。


多くの庶民にとっての日常着は、古代は野山に自生する植物(藤、楮、葛、シナノキなど)から繊維を取り出して布を織り、麻(大麻、苧麻)の栽培がされようになると麻織物でした。<布>は麻織物の代名詞となりました。


江戸時代になり国産木綿の栽培に成功すると一気に綿織物が普及します。この頃の綿花は和棉といわれている短繊維。短繊維を手紡ぎすると糸は太くなります。太い糸で織ると地厚で織り目も粗くなることから綿織物のことを「太物」というようになりました。綿織物は他の植物のように績むのではなく紡いで糸にします。そして染色もしやすい。さらに柔らかくて保温性が高く摩擦に強く丈夫であることから庶民の日常のきものとして定着しました。明治になると産業革命から長繊維の木綿の紡績糸が生産されるようになると和棉は減少の一途を辿ることになり、今では希少品となっています。
絹織物を扱うところは「呉服商」、綿織物、麻織物、毛織物を扱うところは「太物商」といわれたことから、その名残りもあり広義の意味で絹織物以外の反物を「太物」というようになります。絹糸と比べると糸が太いことから反物の巻きが太くなることからでもあったようです。

水洗いができること、絹にはない、野趣あふれる素材や素朴な風合い、絣や縞の魅力もあるとことが太物の魅力です。量産できるものは低価格帯であるのも日常着として重要。和棉や原始布、上布など希少性の高いものは高級な日常着となっています。


今の時代は身分格差がありませんので、庶民でも日常から絹織物を着ます。そしてきものを着ることが多くの人にとっての特別なオシャレになると、太物を着る人は激減してしまいました…。

しかしここ数年の傾向ですが、きものを日常で楽しむ人がでてきました。すると「水で洗えるきものを着たい」という利便性を重視するきものユーザーが増えてきたのです。夏ものの麻織物の小千谷縮をはじめとして、単衣として季節を問わない木綿のきものも着る人が多くなりました。

一度無くなりかけたものというのは、後継者がいません。なので太物をつくっているところは産地でもたった1件というレッドリストとなっているところがとても多いのです。そして扱っている呉服屋さんもあまりないのが現状です。すると日本全国で同じようなきものを求めている人は同じようなところに集まります。

今回の太物サミットは宮崎にある1件の呉服屋さんの発案ではじまりました。「染織こだま」さんです。もともとはごく一般的な呉服屋さんで、太物専門というわけでもなかったそうなのですが、現在の社長である児玉健作さんが日常にきものを着るようになってから太物を多く扱うようになったのだそうです。

そして「もっと自然に多くの人にきものを楽しんでほしい」という熱い想いからの太物サミットの開催だったかと思います。


つづきます(^-^)/

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Textile COCOONの西川はるえさん、シルバージュエリーデザイナーの勝山英恵さん、染織作家の原千絵さんによる「3人の手しごと展」が日本橋高島屋にて開催中(~6月28日まで) ※その後、横浜高島屋(7月6日~12日)へ巡回します。

左から、原千絵さん、西川はるえさん、木村孝先生、勝山英恵さんカメラ


孝先生とお会いすることができたので、ご一緒させていただきました。ひとつひとつの作品を丁寧にみてくださり「好きなことができる(つくれる)というのは本当に幸せなことよ」と何度も何度もおっしゃっていました。


ぬぬパナのつくり手でもある原千絵さん。
佐々木苑子先生に師事し、大塚テキスタイルデザイン専門学校で講師を務め、さらに大城廣四郎工房で琉球絣の技を取得、現在は郡上で織物をされています。ぬぬパナでも原さんの作品を拝見していますが、素人にはわからない高度な技をつかいながらも完成度も高い作品をつくられる方です。そしてマイクロスコープで見ると織の精密な揃いに驚きます(^_^;) ご一緒させていただいた八重山の旅はとても勉強になりました!

野蚕糸の自然の色をそのまま生かしたすくい織の帯。リボンのようにみえるのは生皮苧糸がつかわれています。この生皮苧の糸も自然のままの色。孝先生に「この織りは、またエラい手のかかることをしてはるな~、価格はこれでいいのん(安すぎじゃない?)」と評されておりました。いつも思うのですが、難しいところですね…。凝ったものは真面目につくられているものほどお安かったりするので。。。

裾濃の緑から黄色が美しい駒上布のきもの。琉球絣の技が生かされています。
近い将来、原さんにしかつくれないであろう私好みの絣着尺を織ってもらいたいな…:*:・( ̄∀ ̄)・:*:


Textile COCOONの西川はるえさん。
じつは前々からお会いしたいと思っていました! というのは、日本では今はほぼ織られていないイラクサの織物をつくられている方がいると、古代織産地連絡会の方からお聞きしていたから。


西川さんは喜如嘉の芭蕉布会館の伝承生出身。現在はネパールからイラクサ糸と大麻糸を取り寄せ、工房で草木染めをし、帯や小物をつくられています。

ネパール産のイラクサ糸。苧麻もイラクサ科ですので仲間ですが、ネパールのイラクサはアローというのだそうです。


アンデルセン童話「白鳥の王子」の中にイラクサの織物がでてきます。
呪いをかけられてしまった11人の兄を救うために、無言でイラクサの織物をするお姫さまのお話です。イラクサの布を織りあげるまでは口を聞いてはいけない、イラクサには棘があってイラクサ摘みでは血だらけになってしまう、糸をつくるために足でイラクサを踏むと傷だらけになってしまう、しかし織りあがった布で兄たちは呪縛から開放され白鳥から人間の姿になって、めでたしめでたし♪ (ひとりの王子は袖が間に合わず片手が翼のまま…という説もあり。アンデルセン童話って怖いところがあった気がする…)
この童話の影響なのか、棘のあるイラクサの繊維の織物というものに憧れを抱いております♪


このスピンドルで紡がれます。ネパールのマガール族の人が紡いでいる動画をみせていただきましたが(ありがとうございます!)、ろくろのように操っていました(@@;


ネパール産の大麻糸。日本の大麻糸は根と天を撚りつないで績んでつくりますが、ネパールでは紡ぐのだそう。糸にするときに叩くそうですが日本の大麻糸よりちょっと固めでザックリした印象。


ネパール産の大麻もイラクサもどちらの糸も素朴で野趣あふれるものですが、織りにくそう。アッツシに近い印象でした。苧麻や芭蕉と同じく乾燥には弱いのか、毛羽は立たないのか、染めやすいのか染めにくいのか、いろいろとお聞きしそびれました…(^_^;)

今回(というか新宿髙島屋の最終日)は、大麻の花緒をいただきました。焦茶か臙脂色系のザックリした台でぞうりをつくりたい。


シルバージュエリーデザイナーの勝山英恵さん

ご自身もきものがお好きとのことで、洒落た帯留をつくっていらっしゃいます。

孝先生は、シルバー細工の帯留を簪にオーダーされていらしゃいました。月にかかる瑞雲のイメージだそうです。なるほど。。。


今の時代「手しごとによるモノづくり」は好きでなければできません。そして製作できる環境が整うかどうかが難しいところです。孝先生がおっしゃるところの、<好きなことができる(つくれる)つくり手の作品>を着ることができたら、きもの好きとしてもより幸せだと思います。(「あんたはどこまでも前向きやな~」っとおっしゃってくださいましたが…^^;)
自分が着てみたいものは数限りなくたくさんありますが、そのすべてを購入することはできませんので、せめてその作品が、もとめられている誰かの眼に届くようにつながったら良いなと思っています。どんなに良いものも滞っていたら次の作品づくりにつながりませんし、それではこの先つくられていない…という事になりかねませんので。良いものが伝承していくことを願って「きものカンタービレ♪」をつづけていますドキドキ

「3人の手しごと展」それぞれの素材選びから個性が溢れる魅力的な作品展です。おすすめ!


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